第145話  Kornelyans  『Not An Ordinary Life 』 (1974)

今夜の一曲  Not An Ordinary Life


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ビニール・マジック(Vinyl Magic)からの再発(1991)で初めて音に触れた、という方は健全だと申せましょう。情報が少なかった時代、てっきりイタリアものと勘違いした人も多かった。何と言ってもリコルディ(Ricordi)からのリリース。しかもカタログ・ナンバーがSMRL 6130だった。これが、何を意味しているかと言うと・・・

SMRL 6112 ジャン・ピエレッティ(Gian Pieretti)『Il Vestito Rosa Del Mio Amico Piero』
SMRL 6113 ムゼオ・ローゼンバッハ(Museo Rosenbach)『Zarathustra』
SMRL 6115 ロッキーズ・フィリィ(Rocky's Filj)『Storie Di Uomini E Non』
SMRL 6119 チェルヴェッロ(Cervello)『Melos』
SMRL 6123 バンコ(Banco Del Mutuo Soccorso)『Io Sono Nato Libero』
SMRL 6130 コルネリアンス(Kornelyans)『Not An Ordinary Life』
SMRL 6150 アックア・フラジーレ(Acqua Fragile)『Mass-Media Stars 』


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私的にはですね、どいつもこいつも手に入れようと必死になったなつかしい思い出がある(笑)やっぱり私はビョーキか?!いずれにしてもだ、これでコルネリアンス発売のタイム・ラインが見て取れるでしょ。

タイトル・曲名・歌詞ともに英語だったし、あまり期待せずに聞いた。ところがフタを開けてみると王道プログレ感満載のびっくり箱。逆の意味で期待外れを楽しめたアルバムだった。


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ただ、アルバムに一貫性はなく、収録全6曲中2曲が1st収録曲やシングル曲の焼き直し。PFMで言うと『Photos of Ghosts』(幻の映像)の位置づけですかね。
※「Fall Off The Land Of Woman」は「Bezglave Ja-Ha Horde」、「Generation 1942」は「Moja Generacija」のいわゆるスロー・バージョン。

後に知った前身のコルニ・グルーパ『Korni Grupa』(1972)(PGP RTB)は、まだまだサイケ・ロックの域だし、旧態依然たるサウンドにとどまっている。それでも、当時の熱いダイナミズムを体感できる佳作だし、母国語による歌唱は英詩よりも躍動的で、水を得た魚。


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どうやら彼ら、イエス(Yes)の『危機』(Close to the Edge)(Sept 13, 1972)を畏敬の念を持って聴き込んだのだろう。本作のレコーディング中には、あのジェネシス(Genesis)の『月影の騎士』(Selling England by the Pound)(Oct 12, 1973)もリリースされた。マハヴィシュヌ(The Mahavishnu Orchestra)『火の鳥』(Birds of Fire)(March 29, 1973)やEL&Pの影もちらつく。

ベオグラード(Belgrade)出身の彼らは、インターナショナルな成功を求めてイタリアに渡った。そしてカルロ・アルベルト・ロッシ(Carlo Alberto Rossi)のプロデュースでレコーディングに入る。


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でも、カルロと言えばミーナ(Mina)やミルヴァ(Milva)のヒット曲メイカーのイメージなのに、何故? う~む。それはともかく、ミーナのカバー曲「E Se Domani」(もしも明日)(1964)。まさに名曲っすね。すごいぞ、カルロ。※ジャケ写は「Tu Non Mi Lascerai」(1967)(タイトルは「トゥ・ノン・ミ・ラシェライ」、作曲はジョヴァンニ・ダンツィ Giovanni D'Anzi)

ちょっとwikiってみると、カルロは「伊太利亜の名プロデューサ&コンポーザで、時のPFMやBanco、Areaなどのプログレ畑の円盤製作に携わった」と書いてある。ホンマかいな?まぁ、確かに、彼のミラノにあるフォノラマ・スタジオ(Studi Fonorama)はアックア・フラジーレの1st『Acqua Fragile』のレコーディングでも使われてるし、何だかプログレ界とも濃く薄く関わりがありそうだな。


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レコーディング自体、前作のフェンダー・ローズとかピアノの音像からmoogやsolinaを加えてプログ感を全面に押し出した満艦飾(まんかんしょく)のいで立ち。これってカルロの意向か、リコルディの意向か、はたまたKornelije Kovacの意向だったのか。

しかし、売れなかった。っていうか、売り上げは1万枚程度。しかも、自信を持って乗り込んだユーロヴィジョン・コンテスト(Eurovision Song Contest)でも、自信作「Generation 42」(モヤ・ゲネラシヤ)は12位に終わった。しかし、何故セルビア語で歌ったのか謎。英詞の方が審査員のウケは良かったはずだ。だが、敢えて母国語で勝負したのはまさに彼らの自負の現れか。


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かくして、彼らの野望ははかなくも砕け散る。そうそう、本作のライセンスはイタリア本国、イスラエル、南米、それに日本だったってのは都市伝説か?いずれにせよ、英米でのリリースは叶わなかった。

(つづく)

Kornelije Kovac / keyboards
Josip Bocek / guitar
Bojan Hreljac / bass
Vladimir Furduj / drums
Zlatko Pejakovic / lead vocals



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第145話は・・・?

旧ユーゴ勢から、このバンドを取り上げてみようかと・・・
近日、アップ予定 (^_-)
でも、近日っていつさ (笑)

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INDEX(目次)

工事中・・・

第1話  Prosper 『Broken Door』  (1975)  Germany
第2話  Kestrel  『Kestrel』  (1975)  UK
第3話  Edwards Hand  『Edwards Hand』 (1969)  UK
第4話  Soft Machine  『Third』  (1970)  UK
第5話  Atoll  『L'Araignée-Mal』  (1975)  France
第6話  Vashti Bunyan  『Just Another Diamond Day』  (1970)  UK
第7話  Weather Report  『Weather Report』  (1971)  US
第8話  Fields  『Fields』  (1971)   UK
第9話  Apple 『An Apple A Day...』  (1969)  UK
第10話  Warm Dust  『Peace For Out Time』   (1971)    UK

第11話  Linda Perhacs  『Parallelograms』  (1970)  US
第12話  Miles Davis  『The Man With The Horn』  (1981)  US
第13話  Virginia Astley  『Promise Nothing』   (1983)  UK
第14話  Stackridge 『Extravaganza』   (1975)  UK
第15話  Argent  『Circus(サーカス幻想)』  (1975)  UK
第16話  Earth & Fire 『Atlantis』  (1973)   Netherlands
第17話  Airlord  『Clockwork Revenge』  (1977)  New Zealand
第18話  Flibbertigibbet 『Whistling Jigs To The Moon 』   (1977)  South Africa
第19話  Roxy Music 『Viva! The Live Roxy Music Album 』  (1976)  UK
第20話  Julian's Treatment 『A Time Before This』  (1970)  UK

第21話  Curved Air 『Air Cut』 (1973) UK
第22話  Barbara Dennerlein - Very Hot Stuff  (1992)  Germany
第23話  Agincourt  『Fly Away』  (1970)  UK
第24話  IF 『if 2』   (1970)  UK
第25話  Small Faces  『Ogdens' Nut Gone Flake』  (1968)   UK
第26話  Lift  『Caverns Of Your Brain』   (1974)  US
第27話  Ibis  『Sun Supreme』   (1974)  UK
第28話  Chico Science & Nação Zumbi 『CSNZ』 (1998) 『Afrociberdellia』 (1996) Brasil
第29話  Chick Corea   『Return To Forever』  (1972)  US
第30話  Banzai  『Hora Nata』   (1974)   Belgium

第31話  Fleetwood Mac  『Bare Trees』  (1974) U.K.
第32話  Triade  『1998: La Storia di Sabazio』  (1973)  Italy
第33話  Hugh Hopper  『Hopper Tunity Box』  (1977)   UK
第34話  Brainstorm  『Second Smile』  (1973)  Germany
第35話  Tito Schipa Jr.  『Orfeo 9』   (1973)  Italy
第36話  Roxy Music  『Country Life』  (1974)  UK
第37話  Soft Machine  『Volume Two』  (1969)  UK
第38話  Soft Machine  『BBC Radio 1967 - 71』  (1971)  UK
第39話  Keith Tippett Group 『Dedicated To You But You Weren't Listening』 (1971) UK
第40話  Matching Mole   『Matching Mole』  (1972)  UK

第41話  Earth & Fire   『Earth & Fire』   (1970)  Netherlands
第42話  Andwella   『People's People』  (1970)  UK
第43話  Herbie Hancock  『MWANDISHI』 (1971) US
第44話  Os Mutantes  『Jardim Eletrico』 (1971) Brasil
第45話  Opus Avantra  『Introspezione』  (1974)  Italy
第46話  Raspberries   『Fresh』 (1972) UK
第47話  Exmagma  『Exmagma』  (1973)  Germany
第48話  Bobak, Jons, Malone  『Motherlight』 (1969) UK
第49話  Erroll Garner 『Misty』(1954)US
第50話  PFM  『Photos Of Ghosts』  (1973)  Italy

第51話  Quiet Sun  『Mainstream』 (1975) UK
第52話  Nirvana  『All Of Us』 (1968) UK
第53話  Graham Bond Organisation  『There's A Bond Between Us』 (1965)  UK
第54話  Gino D'Eliso  『Il Mare(海の詞)』  (1976)  Italy
第55話  Fripp & Eno  『Evening Star』 (1975)  UK
第56話  Embryo  『Opal』  (1970)  Germany
第57話  The Millennium   『Begin』  その1 (1968)  U.S.
第58話  The Millennium   『Begin』  その2 (1968)  U.S.
第59話  Morgan 『Brown Out』 (1973) U.K.
第60話  The Kinks 『Kinda Kinks』  (1965)  U.K.

第61話  Marion Maerz 『I Go To Sleep』 (1967) Germany
第62話  Linda Lewis  『Not a Little Girl Anymore』  (1975)  U.K.
第63話  Rolling Stones  『Their Satanic Majesties Request』 (1967)  U.K.
第64話  Soft Machine  『Live At The Paradiso 1969』  (1995)  U.K.
第65話  The Jimi Hendrix Experience  『Electric Ladyland』  (1968)  U.S.
<追記> 第31話 「センチメンタル・レディ」の歌詞の謎について
第66話  Linda Perhacs  『The Soul of All Natural Things』  (2014)  U.S.
第67話  Marisa Monte 『Universo Ao Meu Redor(私のまわりの宇宙)』 (2006) U.S.
第68話  Terje Rypdal  『Bleak House』 (1968)  Norway
第69話  Tito Schipa Jr  『Io Ed Io Solo』  (1974)  Italy
第70話  The Beach Boys  『Friends』  (1968)  U.S.

第71話  Colosseum II  『Electric Savage』 (1977)  U.K.
第72話  Mellow Candle 『Swaddling Songs』 (抱擁の歌) (1972) U.K.
第73話  Mellow Candle  『Swaddling Songs Plus』  (1972)  U.K.
第74話  Rita Lee  『Build Up』 (1970) Brasil
第75話  Mellow Candle  「Feeling High / Tea With The Sun」 (1968) U.K.
第76話  Mama Lion  『Preserve Wildlife』  (1972) U.S.
第77話  Dionne Warwick 「Do You Know The Way to San José / Let Me Be Lonesome」 (1968) U.S.
第78話  Banco Del Mutuo Soccorso 『Io Sono Nato Libero』(1973)Italy
第79話  The Dream  『Get Dreamy』  (1967)  Norway
<ソフト・マシーンの深淵!?>
第80話  Soft Machine  『Noisette』  (1970)  U.K.

第81話  Soft Machine  『Live At The Proms』  (1970)  U.K.
第82話  Soft Machine  『Grides』  (1970)  U.K.
第83話  Soft Machine  『Backwards』  (1970)  U.K.
第84話  Soft Machine  『Live In 1970』  (1970)  U.K.
第85話  Bill Evans Trio  『Portrait In Jazz』  (1959)  U.S.
第86話  Bill Evans Trio  『Waltz For Debby』  (1961)  U.S.
第87話  Rod Stewart  『Fly Me to the Moon』  (2010)  U.K.
第88話  East Of Eden  『Mercator Projected』  (1969)  U.K.
第89話  The Beatles  『Revolver』 (1966) U.K.
第90話  U.K.  『Danger Money』  (1979)  U.K.

第91話  King Crimson  『Live In USA』  (1975)  U.K
第92話  Curved Air  『Phantasmagoria』 (1972) U.K.
第93話  Don "Sugarcane" Harris, Jean-Luc Ponty, Nipso Brantner & Michał Urbaniak  『New Violin Summit』 (1972) Germany
第94話  It's a Beautiful Day  『It's A Beautiful Day』  (1969)   U.S.
第95話  Deep Purple  『Machine Head』  (1972)  U.K.
第96話  Led Zeppelin  『Led Zeppelin II』  (1969)  U.K
第97話  The United States Of America   『Same』  (1968 )  U.S.
第98話  East Of Eden  『錯乱』  (Snafu)  (1970)  U.K.
第99話  The Who  『Who's Next』  (1971)  U.K.
第100話 Nirvana U.K.  『Local Anaesthetic』  (局部麻酔)  (1971)  U.K.

第101話 Traffic  『Last Exit』 (1969) U.K.
第102話 Gracious  『Gracious!』 (1970) U.K.
第103話 Nucleus  『Elastic Rock』 (1970) U.K.
第104話 Jean-Claude Vincent  『Lettre Au Passé』 (1977) France
第105話 Sunforest  『Sound Of Sunforest』 (1969) U.S.
第106話 Johnny Mathis  『Heavenly』 (1959) U.S.
第107話 Dando Shaft 『Dando Shaft』 (1971) U.K.
第108話 Dando Shaft 『An Evening With....Dando Shaft』 (1970) U.K.
第109話 Pink Floyd 『Soundtrack from the Film More』 (1969) U.K.
第110話 Graham Bond 『Holy Magick』 (1970) U.K.

第111話 Graham Bond 『Love Is the Law』 (1968) U.K.
第112話 Paris 『Paris』 (パリス・デビュー) (1976) U.S.
第113話 Joe Sample 『Rainbow Seeker』 (虹の楽園) (1978) U.S.
第114話 10cc 『The Original Soundtrack』 (オリジナル・サウンドトラック) (1975) U.K.
第115話 Frob 『Frob』 (1976) Germany
第116話 Ramses 『La Leyla』 (1976) Germany
第117話 Ramases 『Space Hymns』 (宇宙賛歌) (1971) U.K.
第118話 Phil Manzanera 『Diamond Head』 (1975) U.K.
第119話 Phil Manzanera / 801 『Listen Now』 (1977) U.K.
第120話 New Trolls 『FS』 (エッフェ・エッセ) (1981) Italy

第121話 Herbie Hancock 『Speak Like a Child』 (1968) U.S.
第122話 Herbie Hancock / The Yardbirds 『Blow Up』 (欲望)(1966) U.S.
第123話 David Hemmings 『Happens』 (1967) U.K.
第124話 The Byrds 『Fifth Dimention』 (霧の五次元) (1966) U.S.
第125話 The Warriors 『Bolton Club '65』 (1965) U.K.
第126話 King Crimson 『Islands』 (1971) U.K.
第127話 Danny Kirwan 『Second Chapter』 (1975) U.K.
第128話 Jethro Tull 『This Was』 (1968) U.K.
第129話 Mia Martini 『Oltre la Collina』 (1971) Italy
第130話 Philamore Lincoln 『The North Wind Blew South』 (1970) U.K.

第131話 Joni Mitchell 『The Hissing of Summer Lawns』 (夏草の誘い)(1975) Canada
第132話  Soft Machine  『Triple Echo』 (1977)U.K.
第133話  Centipede 『Septober Energy』 (1971) U.K.
第134話  Alain Goraguer 『La Planète Sauvage』 (1973) France
第135話  Schizo 『Schizo!』 (1972) France
第136話  Wolgang Dauners Et Cetera 『Et Cetera 』 (1971) Germany
第137話  Ahmad Jamal 『The Awakening』 (1970)
第138話  Serge Gainsbourg 『Histoire De Melody Nelson ‎』 メロディ・ネルソンの物語 (1971) France
第139話  Blue Mitchell  『The Thing To Do ‎』  (1965)
第140話  Duncan Mackay 『Chimera ‎』 (1974) South Africa

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第144話  The Dave Brubeck Quartet  デイヴ・ブルーベック 『Time Out』 (1959)

今夜の一曲  Blue Rondo à la Turk

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ジャジーな夜、第四弾、「D」のコラムです。

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Danny Gatton & Joey DeFrancesco - Kindred Spirits
ダニー・ガットンとジョーイ・デフランチェスコの連名作『Relentless』には人をとりこにする魅力がある。テレキャスとハモンドB3の絶妙なコラボに息を飲む。(1994)

Danny Gatton & Joey DeFrancesco - The Pits
ダニーがリトル・フィート(Little Feat)への参加を要請されていた、という噂も納得。言わずと知れたテレキャスの達人。スリーヴの表がテレキャスで裏がB3ってのもストレートなメッセージだね。(1994)


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Dave Brubeck Quartet - Blue Rondo à la Turk
「テイク・ファイヴ」(Take Five)のポール・デズモンド(Paul Desmond )による甘いメロディでブルーベック・スクールに入門した私を驚かせたのがこれだった。なるほど、キース・エマーソン(Keith Emerson)のナイス(The Nice)の原点はやはりこれだ、と再確認したものだ。(1959)

Dave Brubeck Quartet - Far More Blue
『Time Further Out』は変拍子ジャズの展示場。3+2だろうが、2+2+2+3だろうが、小難しい事はさておき、舞うように歌うデズモンドのアルト・サックス、軽やかにスイングするブルーベックのピアノは最高だ。(1961)


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Dave Brubeck Trio - Indiana 
2003年に発売された『Essential Dave Brubeck』は全31曲、CD二枚組の集大成だった。そのCD1のオープニングが「インディアナ」。リリカルでスインギーなメロディが脳裏から離れない。(1950)

Dave Brubeck Trio - Laura
「Indiana」は1950年にファンタジー(Fantasy)からシングル発売された。そのB面がこれ。現代音楽の影響か、不協和音のブロック・コードにはたまげた。これはまさにジャズ界のバルトーク(Bartók)。(1950)


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Dinah Washington - What Difference A Day Makes
「縁は異なもの」ダイナ・ワシントンの名唱。ゴスペル、R&B、ジャズ、トラッド・ポップ・・・彼女の魔法にかかれば、いかなるジャンルの歌も心に染みいる名曲に仕上がる。(1959)

Dinah Washington with Quincy Jones Octet - Blue Gardenia
エマーシー(EmArcy)やマーキュリー(Mercury)に残した作品群はいずれも佳曲ぞろい。スキャットものでもない、シャウトものでもない、そんな彼女のスタイル。私は好きだ。(1959)


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Dominick Farinacci - Bibo No Aozora 
ドミニク・ファリナッチ。1983年生まれの新進気鋭の米国トランペッター。若き日の彼がドラマーのオーディションに落ちたのは不幸中の幸いだった(笑)。あのクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)をして "This kid is 360 degree!" と驚かせた男。日本でも根強い人気を誇る。(2009)


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Donald Byrd - Shangri-La 
1961年、ブルーノート(Blue Note Records)に残した作品。バード流のハードバップのショーケース。ペッパー・アダムス(Pepper Adams)のバリトン・サックスやハービー・ハンコック(Herbie Hancock)のファンキーなピアノがたまんない。(1961)

Duke Pearson - Wahoo 
フロントに三管を配したセクステトット。所帯が大きくなればなるほど、アレンジ能力が問われるが、ピアソンはそれを難なくこなしている。クランショウ&ローカー(Cranshoaw & Roker)のリズム陣をバックにピアソン(piano)+バード・ヘンダーソン・スポルディング(Pearson + Byrd - Henderson - Spaulding )の布陣は強烈。(1964)

では、みなさん、おやすみなさい。


Dave Brubeck – piano
Paul Desmond – alto saxophone
Eugene Wright – bass
Joe Morello – drums


テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

第143話  Cressida 『Asylum』 クレシダ 『アサイラム』 (1971)

今夜の一曲 Munich

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悪女三題

<悪女その1>

実は、うちの近くの田んぼに、こんなかかしが立っているんです。そこを通るたび、ヴァーティゴ(Vertigo)の、かのバンドを思い出すわけです(笑)。そんなわけで私の日常と非日常は、境界線が非常にあいまいなのだ。全くめまい(!)がしますね。

クレシーダと聞いて、もひとつ思い出すのが日米貿易摩擦だったりする(?)。繊維、鉄鋼に端を発した日米の貿易戦争は、日本が国際競争力を高めるに従い、米国政財界をイラっとさせた。1970年代にはカラーテレビ、そして自動車輸出へと飛び火。その後ハイテク産業や農産品へと争点が移っていくわけです。

自動車に関しては、ビッグ3の苦境を尻目に日本車は快進撃を続け、集中豪雨的な輸出が争点となり、現地生産と輸出自主規制の荒波に激しく揉まれました。そんな中、クレシーダと言えば、トヨタが誇るマークⅡの海外仕様車のネーミングでしたね。

もちろん、グループ名の由来は、ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare)の悲劇『トロイラスとクレシーダ』(Troilus and Cressida)から来ています。トロイの王子、トロイラスと永遠の愛を誓ったかにみえたクレシーダ。しかし、いとも簡単に他の男に寝返ってしまう彼女は、いかにも悪女のイメージそのものにみえます。

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恋愛の不条理は万古不易の摂理なのかもしれません。でも、クレシーダを悪女と称するのなら、現代ほど超「悪女」!の跋扈する戦慄の時代もないのかもしれません。

さて、我がヴァーティゴのクレシーダに話を戻しましょう。オルガンの比重が高いことで、ナイス(The Nice)の派生バンドのイメージが強いのですが、一聴して感じたのはムーディー・ブルース(The Moody Blues)やドアーズ(The Doors)だったりします。

デビュー前にはハンブルグ(Hamburg, Germany)のスター・クラブ(Star-Club)でコラシアム(Colosseum)やイースト・オブ・エデン(East of Eden)とギグに明け暮れました。その後もヨーロッパを舞台にブラック・サバス(Black Sabbath)やブライアン・オーガー(Brian Auger)、バークレイ・ジェームス・ハーヴェスト(Barclay James Harvest)とツアーに出ています。

当時の何でもありの実験的でクロス・ジャンル&ハイブリッドなサウンドを、自分流に仕上げた結果がクレシーダのサウンド。それが極上の英国然たる気品に満ちた音に仕上がった。それは当然の帰結か、それとも予想外の副産物だったのか。

<悪女その2>

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キッシング・スペル(Kissing Spell)(1992)、アカルマ(Akarma)(1999)が再発したダーク(Dark)の『ラウンド・ジ・エッジ』(Round the Edges)。こいつにはビビりました。ダークは1000枚程度のプライベート・プレス。それがゆえに不遇をかこってきたヘヴィ・サイケなレア・アイテム。

なんたってロジャー・ディーン(Roger Dean)ジャケで知られるクリア・ブルー・スカイ(Clear Blue Sky)(1970)にチビった恥ずべき過去のある私ですからね。ヒプノシス(Hipgnosis)に対バン張るようなヤバいジャケットを擁するダークの唯一作。その遅れてきた再発には、感きわまって思わずコブシを握り締めたものです。

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悪女ウィキッド・レディ(Wicked Lady)はそのダーク絡み。ハーフ・ブートだろうがスリー・クォーター・ブート(?)だろうが、思わず悶絶!失禁!!キッシング・スペル(Kissing Spell)(1994)再発が先行しましたが、その後Guerssenが正式に再発(2012)にこぎ着けました。

ウィキッド・レディの『サイコティック・オーバーキル』(Psychotic Overkill)。仕掛け人の一人は、ダークでセカンド・ギターを務めていたマーティン・ウィーヴァー(Martin Weaver)。彼がダーク以前にギターを担当していたのがウィキッド・レディです。

ところが、歯切れの良いダークに比べると、こちらはワウとヘヴィ・ファズにまみれた混沌たるハード・サイケなパワー・トリオ。

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それでも、時代を先取ったかのようなメタリック感が印象に残る曲もあったりして。邪悪なブルー・チア(Blue Cheer)と評した人もいますが、なるほどです。サイコティック・オーバーキル(psychotic overkill)というよりもナーコティック・オーバードーズ(narcotic overdose)って感じにも聞こえる。ドラマーは後に28歳で精神病院(アサイラム)行きになってしまったし、泣けます。

ウィキッド・レディはキッシング・スペルのジャケットの聖母然たる女性の印象が強かった。こんな美しい女性が「悪女」かと思うにつけ、「それはないでしょ」って感じだー。

マーティン・ウィーヴァーはGuerssenでの再発(2012)にあたり、彼なりの悪女のイメージをジャケ絵にしましたが、こちらの女性にならダマされても文句は言うまい(笑)。

<悪女その3>

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最後にもうひとり「悪女」を紹介しましょう。こちらも強烈です。ナンシー・シナトラとリー・ヘイゼルウッド(Nancy Sinatra & Lee Hazlewood)のコラボした「サマー・ワイン」(Summer Wine)。

ナンシーは父親(Frank Sinatra)のご威光にもかかわらず、パッとしないポップコーン・オールディーズ(Popcorn Oldies)を地で行く、かわい子ちゃんシンガーでした。ところが、「レモンのキッス」(Like I Do)(1962)や「イチゴの片想い」(Tonight You Belong to Me)(1962)をかなぐり捨て、悪女路線へとイメーチェン図ったのが「サマー・ワイン」(1967)でした。

その仕掛け人はプロデューサー、ソングライターのリー・ヘイゼルウッド。この男、これがなかなかデキる男。フィル・スペクター(Phil Spector)にだって負けちゃいない。

ポップ・センスの中に、なんでテープの逆回転が挿入されるのかって不思議感満載の「Sand」、七変化する弦やデュアン・エディ(Duane Eddy)のギターが心に響く「No she won't」など・・・サッカリン・アンダーグランド? カウボーイ・サイケデリア? どう呼んでも彼らの本質には届かない。

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その「サマー・ワイン」ですが、
Strawberries, cherries and an angel's kiss in spring
My summer wine is really made from all these things

・・・と女にダマされて丸ハダカにされてさえ、

And left me craving for...more summer wine
Oh..oh..summer wine

と言わせるなんて、ナンシーの「悪女」ぶりは筋金入りです。誰ですか?どうせ、ダマされるのなら、こんな女がいいなんて言ってるのは(笑)?古典落語の『鰍沢(かじかざわ)』はいかにも作り事に思えるけど、こちらはありそで、もっともっと恐いなぁ。

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第142話  Neutrons 『Black Hole Stars』 (1974)

今夜の一曲 Going to India

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昨年6月「アメリカの研究チーム・ライゴ(LIGO - Laser Interferometer Gravitational Wave Observatory)が『重力波』(gravitational wave)を観測した」というニュースは、世界を驚かせました。『重力波』と言うのは、大きな質量を持つ天体が光速で運動すると空間がゆがみ、それが波動となって伝わっていく現象のことです。(わかんな~い^^;)

ところが、それを実際に観測する作業は困難を極めました。重力波は天才物理学者アインシュタインが予言した天文学的現象です。私がもっと早くに世に出ていたら、アインシュタインを出し抜くことができたのに残念です(笑)。いずれにせよ、アインシュタインから100年がたって、今回ようやく観測に成功!!

重力波を観測することで可能になることが沢山あります。それはたとえば遠方の天体や天文現象を精度の低い電磁波に頼らずに調査できることです。


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今回の重力波はブラックホールが、いかに巨大化するかの謎を解いてくれました。理論上、誕生する時には、太陽の質量の十数倍にしかならないブラックホール。なのに、宇宙空間には、どうして太陽の質量の何百万倍もの超巨大なブラックホールが存在しているのでしょうか。

ことの真相は、ブラックホールは合体して成長していくのです。検出された重力波は約13億年前、太陽の29倍の質量と36倍の質量を持つブラックホール同士が合体し、太陽の質量の62倍の質量のブラックホールが生まれた際に発生したものでした。

一般に重力波が発生する天文学的現象は次の三つが代表的なものとされています。
①超新星爆発
②中性子(ニュートロン)星の合体
③ブラックホールの合体


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ニュートロン、ブラックホールとくれば、アインシュタインに先を越された私も面目躍如。勝手知ったる我が土俵です。稀勢の里がんばれ!(意味不明)

そんなわけで(マエフリ長いな)引っ張り出したニュートロンズ(The Neutrons)の『ブラック・ホール・スター』(Black Hole Star)。

マン(Man)のスピン・オフというより、ピート・ブラウン&ピブロクト(Pete Brown & Piblokto!)の塾生たちの野心に火がついたのがニュートロンズなのだろう。


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キー・パーソンの一人がフィル・ライアン(Phil Ryan)。彼はアイズ・オブ・ブルー(The Eyes of Blue)、ビッグ・スリープ(Big Sleep)、ウェルシュ・ロック・バンド、マン(Man)に足跡を残してきた。

ドラムスのジョン・ウェザース(John Weathers)はアイズ・オブ・ブルー、ビッグ・スリープ、ワイルド・ターキー(Wild Turkey)、ジェントル・ジャイアント(Gentle Giant)を支えた逸材だ。フィル・ライアンとも旧知の仲。

フィル・ライアンやジョン・ウェザースの文脈で語られる事が多かったニュートロンズだが、ウィル・ユアット(Will Youatt)がギターにベースにヴォーカルにと、実にいい仕事をしている。


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かのウィル・ユアット君はクイックサンド(Quicksand)の初期のメンバーだった。重要なのは、彼が在籍していたマン(Man)にも、フィル・ライアンが、その名を連ねていたこと。

マンからフィル・ライアンとウィル・ユアットが脱退する形で結成したのが、ニュートロンズだった。

というよりも、フィル・ライアン、ウィル・ユアット、ジョン・ウェザースの三人はピート・ブラウン&ピブロクトのギグで顔を合わせた仲だという事実を見逃してはいけない。


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他のメンバーについてもコメントしておくと、タフ・ウィリアムズ(Ray “Taff” Williams)もウェールズ人脈。アイズ・オブ・ブルー、ビッグ・スリープのメンバー。フィル・ライアンやジョン・ウェザースとも臭い飯(?)を食った仲だ。

スチュワート・ゴードン(Stewart Gordon)はインクレディブル・ストリング・バンド(The Incredible String Band)出身。ヴォーカルをとっているキャロメイ・ディクソン(Caromay Dixon)は彼のガールフレンドで当時17歳だった。

1974年作なので、遅れてきたサウンドではあるけれど、ブリット・フォークのおいしい部分を抽出したような部分もあるし、キーボードも結構イケイケですしね。今夜の一曲もサイケ・ポップの残照がまばゆいなぁ。


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Phil Ryan / keyboards, vocals
Will Youatt / bass, guitars, vocals
John "Pugwash" Weathers / drums
Martin Wallace / guitars, vocals
Ray "Taff" Williams / guitars, bass
Stuart Gordon / strings, string arrangement
Caromay Dixon / vocals
Pique (Withers) / hand drums
The 4 Skins / backing vocals
The Quickies / backing vocals


テーマ : サイケデリック
ジャンル : 音楽

第141話  Chico Hamilton 『Peregrinations』 (1975) (ペレグリネーションズ) 

今夜の一曲 Abdullah And Abraham

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ジャジーな夜、第三弾、「C」のコラムです。

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Cannonball Adderley - Willow Weep For Me 
この大食漢(cannibal)な男 キャノンボール(Cannonball)アダレイは、ジャズのイディオムすら喰らい尽くすかのように、多彩な表現力でオーディエンスを魅了した。 『Bohemia After Dark』 (1955)

Cassandra Wilson - Red Guitar  
カサンドラ・ウィルソン来日!ってことでマイ・ブームに盛り上がったが、仕事とバッティングして涙の海に沈む。TIME誌絶賛の米国ジャズ・ヴォーカリスト。ブルージーかつ官能的な物憂い歌唱でグラミー受賞二度。クロスジャンルなのに八方美人を感じさせない魅力。 『Another Country 』 (2012)


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Chick Corea - Touchstone: Procession, Ceremony, Departure 
リターン・トゥ・フォーエヴァーが久々の再会を果たして話題になった。アル・ディ・メオラ(Al Di Meola)、スタンリー・クラーク(Stanley Clarke)、レニー・ホワイト(Lenny White)、パコ・デ・ルシア(Paco de Lucía)、ゲイル・モラン(Gayle Moran)らの競演に狂喜。 『Touchstone』 (1982)

Chick Corea & Herbie Hancock - Maiden Voyage 
1978年2月。二人のマエストロが電気楽器を捨ててアコピ一つで相まみえたデュエル。こんなコンサートを視た人は幸せだ。 『Evening With Herbie Hancock & Chick Corea In Concert』 (1978)


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Chico Hamilton - Gengis 
チコ・ハミルトン。米国を代表するジャズ・ドラマー。チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)やデクスター・ゴードン(Dexter Gordon)とは、チコが学生時代(Jefferson High School)に参加したジャズ・バンドつながり。2013年没。彼はマレットとブラシのウィザードでもあった。 『The Master』 (1973) Enterprise, Stax

Chico Hamilton - The Morning Side Of Love 
ジョー・ベック(Joe Beck)のギターが妙にエロティックに響く。チコは、デクスター・ゴードン(Dexter Gordon)、レスター・ヤング(Lester Young)、カウント・ベイシー(William "Count" Basie)らのバンドで揉まれる中で自身の音を作り上げてきた。jazzyでsoulfulでfusionでspiritualでbossaな『Peregrinations』(ペレグリネーションズ)より。 (1975) Blue Note

Chico Hamilton - Peregrinations 
チコ・ハミルトンの門下から旅立ったメンツには、ロン・カーター(Ron Carter)、ラリー・コリエル(Larry Coryell)、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)、ジム・ホール(Jim Hall)など。ここでチコは、バディ・コレット(Buddy Collette)やチャールズ・ロイド(Charles Lloyd )に負けぬ逸材、アーサー・ブライス(Arthur Blythe)と組んで気を吐いた。


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Curtis Stigers - Real Emotional

器用さが裏目に出るアーチストもいる音楽の世界で、カーティス・スタイガースは見事にファンの心をつかんだ。サックス演奏もヴォーカルも、実に堂に入ったものだ。乾いた心を潤してくれる一服の清涼剤。 『Real Emotional』 (2007)

ではでは。みなさん、よい夢を・・・


Chico Hamilton - drums, percussion
Arthur Blythe - alto saxophone
Arnie Lawrence - tenor saxophone, soprano saxophone
Joe Beck, Barry Finnerty - electric guitar
Steve Turre - electric bass, trombone
Abdullah - congas, bongos, percussion
Jerry Peters - piano, electric piano
Charlotte Politte - synthesizer programs
Julia Tillman Waters, Luther Waters, Maxine Willard Waters, Oren Waters - vocals

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

第140話  Duncan Mackay 『Chimera ‎』 (1974)

今夜の一曲 Morpheus


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こいつを手に入れたのは、確か世紀末前後だったと思う。ダンカン・マッケイの『キメラ』(Chimera)・・・おぬし、なかなかやるのぉ・・・ってヤツだ。こいつは衝撃的だった。感動の涙に身もだえした覚えがある(笑)。

当時、呆れるほど知名度低かったこの音源。中古円盤屋の某氏のご厚意がなかったら、2008年のSecond Harvest再発までは、その存在を知らなかったと思いますね。

EL&PやThe Niceに触発されたキーボード・ロックの一つの完成形に思えたし、UKのプロト・タイプにも思える先鋭さも兼ね備えていた、と絶賛しておこう(笑)。


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英米追従のヒットチャート・フォロワの印象が深い南アフリカ。彼(か)の地でトニー・オーランドとドーン(Tony Orlando & Dawn)の「黄色いリボン」(Tie a Yellow Ribbon Round the Ole Oak Tree)(1973)が大ブレークしたとか、ポップ・トップス(Pop Tops)の「マミー・ブルー」(Mammy Blue)のご当地カバー(1971)が12週連続ヒットチャートNo.1を記録した、と聞いても驚きはしない。

カナミー(Canamii)などのMORシンフォ・プログは例外として、異端児はどこの世界にもいるわけだ。フリーダムズ・チルドレン(Freedom's Children)やホーク(Hawk)を知ったのは随分後の事だったが、それでもオーティス・ウェイグッド(Otis Waygood)、サック(Suck)、アブストラクト・トゥルース(Abstract Truth)、マッカリー・ワークショップ(McCully Workshop)などは、異端審問に遭いかねない際どい香りがした。

が、何でまた『キメラ』がヨハネスブルク(Johannesburg)でレコーディングされたのか、大きな謎だった。まさかアリソン・オドンネル(Alison O'Donnell)のフリバーティジベット(Flibbertigibbet)みたいな逃避行(?)でもあるまいしなぁ。


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けれども、そんな謎も後発のCDリリースのライナーで一挙解決。それによるとだ・・・ダンカンはキーボード以前にローティーンにしてヴァイオリンの名手。1963年には、奨学金もらって、ダーウィン(Charles Darwin)やジョン・ピール(John Peel)を排出したイングランドのシュルーズベリー校(Shrewsbury School)で学んでいる。

60年代の後半には、はたまたどんな事情か、家族で南アフリカに居を移した。ダンカンは大学(Port Elizabeth University, Eastern Cape Province)で学士を取り、ヴァイオリンも教えていたらしい。キーボードも腕利きで、ローカルな活動で頭角を現し、1970年はセルジオ・メンデス(Sergio Mendes)バンドのメンバーとしてブラジル・ツアーにも同行した。

1971年、ダンカンはドラマーのマイク・グレイ(Mike Gray)と共にヨハネスブルクに移り、ホテルのキャバレーでギグっていた。そんな折、彼らの演奏を聴いて感銘を受けたスコットランド人のトム・ブキャナン(Tom Buchan)が、ある提案をする。


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かくして古レストランを改造し、そこを活動の拠点とした。そのステージ兼スタジオはニューヨークのジャズ・クラブにちなんで、「ブランチ・オフィス」(Branch Office)と名付けられた。そして、時間を忘れてリハーサルに明け暮れる。

キーボードが山と積まれ、レスリー・スピーカがぶんぶん回り、ダンカンはキーボードからキーボードの間を忙しく飛び回ってはペダルベースを踏みならす。それを煽るマイクのドデカいツーバス・ドラムスが雷鳴のように響きわたった。

来る日も来る日もリハを繰り返す。EL&PやThe Nice、Peddlersらの曲を交えながら、ダンカンのオリジナル曲が披露される。バンドはギグを繰り返すうち、一部のファンの間で熱狂的な支持を得る。ダンカンは兄のゴードン(Gordon Mackay)のヴァイオリンとキーボードを加え、三輪車(The Tricycle)と名づけたトリオ・バンドでの演奏に我を忘れる。

ある満員御礼のステージを見に来たのが、フォノグラム・インターナショナル(Phonoguram International)のピーター・ナイト(Peter Knight)。そんな彼に見初められたのを契機に、一気にレコーディング話が具体化した。


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1974年4月、ヨハネスブルクのギャロ・スタジオ(Gallo Studio)でレコーディング。費やしたのは一週間のみ。その間、スタジオとクラブを行ったり来たりで、重い機材を忙しく移動させている。アルバムはほとんどライブ録音されたらしい。

英国に戻ってコックニー・レベル(Steve Harley & Cockney Rebel)(1975 - 1977)に加入する前、ダンカンはコラシアムII(Colosseum II)のメンバー候補に挙がったが、最終的にはドン・エイリー(Don Airey)にその座を譲った。

ダンカンは1977年にセカンド・ソロ『スコア』(Score)をリリース。ジャケ写の彼は相変わらずだが、コックニー・レベルを支えた隠花植物のような腐臭は脇に置いといて、プレグレ風味のポップ・センスの炸裂する好アルバムに仕上がった。往年の夢を束の間見せてくれる白日の夢と言ったところか。


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このアルバムには前作『キメラ』と同じモチーフが立ち現れる。二作が兄弟の仕上がりというわけではない。日の当たる場所に出なかった『キメラ』を無きモノとして、再び秀逸な素材は使い回したいという、プロデューサのジョン・ウェットンとダンカンの意向が強く表れているのではないか。

「No Return」「Pillow Schmillow」などのジョン・ウェットン(John Wetton)のヴォーカルも役者だ。アンドリュー・マカロック(Andrew McCulloch)のドラムスも、骨太にアルバムを支える。

「Time Is No Healer」で流れるようなフルートのカウンターメロディを奏でているのはメル・コリンズ(Mel Collins)だ。スティーヴ・ハーレイ(Steve Harley)の艶姿(あですがた)も文句なし。

それにしても、クライヴ・チェイマン(Clive Chaman)がベースを担当しているのは異業種交流っぽく感じた。このミスマッチはかなり嬉しい驚きではある。

彼はジーザス・クライスト・スーパースター(Jesus Christ Superstar)やジェフ・ベック・グループ(Jeff Beck Group)、ハミングバード(Hummingbird)、ブライアン・オーガーズ・オブリヴィオン・エクスプレス(Brian Auger's Oblivion Express)、リンダ・ルイス(Linda Lewis)『Not A Little Girl Anymore』などでナイス・プレイ。彼の粘っこい演奏がここでどう活かされているか目(耳?)が離せないでしょ?





Duncan Mackay – Vocals, Grand Piano, Hammond B3 Organ, Denon Electric Piano, Clavichord, ARP 2600 & Odyssey Synthesizers, Bass Pedals
Mike Gray – Drums, Backing Vocals
Gordon Mackay – Violin, Electric Piano, Piano

テーマ : プログレ
ジャンル : 音楽

第139話 Blue Mitchell 『The Thing To Do ‎』 (1965)

今夜の一曲 Chick's Tune

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さてさて、ジャジーな夜、第二弾、「B」のコラムです。


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Big John Patton - The Yodel
(ビッグ)ジョン・パットン。不器用ながらもセンスの良さの際立つ諸作をブルー・ノートに残した米国のジャズ・オルガニスト。グラント・グリーン(Grant Green)のギターとは最高に相性が良い。

Big John Patton - Soul Woman
ボビー・ハッチャーソン(Bobby Hutcherson)をヴァイヴに迎えた『Let 'em Roll』(1965)をイチオシしたい所ですが、この『Got a Good Thing Goin'』(1966)も捨てがたいねー。

Big John Patton - Ain't That Peculiar
A面③のこの曲はマーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)のカヴァー曲。どこまでも黒く、どこまでもソウルフルに。パットンは米国ミズーリ州生まれ。1935年生、2002年没。

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Blue Mitchell - Chick's Tune
米国人トランペット奏者。ハード・バップ時代を代表するトランペッターだった。リバーサイド(Riverside)、ブルーノート(Blue Note)、メインストリーム(Mainstream)等に佳作を残した。70年代には活動の幅を広げ、ジョン・メイオール(John Mayall)とのコラボでも活躍した。Chickというのは勿論・・・!

Blue Mitchell Quartet - I'll Close My Eyes
ウィントン・ケリー(Wynton Kelly)(p)のポイント高し。ミッチェルは1964年、自身のクインテットに、当時新人だったチック・コリア(Chick Corea)を起用して気を吐いた。『The Thing To Do』(1965)


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Brian Bennett - Children of Devon
クイーン(Queen)のロジャー・テイラー(Roger Taylor)にとって、ドラム・ヒーローが2人いる。1人はロバート・ワイアット(Robert Wyatt)。もう1人がこの人、ブライアン・ベネット。シャドウズ(The Shadows)出身。映画音楽、TVシリーズのスコアもお手の物。

Brian Bennett - Nuplex
これをジャズと呼ぶにはカテ違いかもしれないけれど、ジャズもベネットの素養の一部でしょう。ちなみにこれ、伝説的なKPMの1000シリーズのミュージック・ライブラリーの一枚なんです。『James Clark / Brian Bennett ‎– Suspended Woodwind』etc.(1974)


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Bud Powell - Time Waits
チャーリー・パーカー(Charlie Parker Jr.)とバド・パウエル(Bud Powell)を真の天才と評したのはマイルス・デイヴィス(Miles Davis)だったでしょうか。汲めども尽きぬ奔放なイマジネーションと神がかり的な演奏。どこを切り取っても絵になる。『Time Waits; The Amazing Bud Powell Vol.4』(1958)

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Bud Powell Trio - I Should Care
ジャズ・ピアノの世界にビバップのイディオムを導入。p, b, dsのピアノ・トリオのフォーマットを持ち込んだのはバド。ゆえにモダン・ジャズ・ピアノの父として敬愛を受けているわけですね。『The Bud Powell Trio』(1947)

ではでは。みなさん、よい夢を・・・

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

第138話 Serge Gainsbourg『Histoire De Melody Nelson ‎』 メロディ・ネルソンの物語 (1971)

今夜の一曲 Ballade De Melody Nelson

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こいつには打ちのめされましたね~、完膚なきまでに(笑)。

ゲンズブールがいかに変態かなんて、そんな週刊誌チックな話はどうでもいいんです。ゴッホ(Vincent Van Gogh)がどんなに奇行に走ろうが、その作品の芸術性にミソがつくことなんてないのと同様に。ゲンズブールにしたって、カラヴァッジョ(Caravaggio)みたいに殺人は犯していないですからねっ。


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そうは言っても、中年男のゲンズがロールス・ロイスをすっ飛ばしていて、チャリのメロディをひき殺しそうになりながら、この14歳女児をなんで口説き落としてしまうのか、これは確信犯でしかないですわ。

メロディ・ネルソンが、たとえロー・ティーンだったとしても、それはそれで架空の物語なので、まぁ、いいんです。もっとも架空と言っても、このストーリーはwikiると「ロリ志向の自伝まがい」(The Lolita-esque pseudo-autobiographical plot)なので、危ない男であることに変わりはありませんがね。


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このアルバムはゲンズやバーキンのトーキング・ヴォイスが主役を演じつつ、実はジャン・クロード・ヴァニエ(Jean-Claude Vannier)のオーソドックスでありながら、どこか屈折したオケやコラールの存在感が圧倒的なんです。

ところがですよ、この音源がCD化されたことで聞こえてしまったのが、ベースとドラムスの声でした。70年代初期特有の、もたったドラムスと、アタックに個性のあるカリッとしたファンキーなベースのうねりと絡み。時宜を得て奔放に唸りをあげるギターもジャンキーだ。こいつは、まさにアシッド・トキシック!


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で、誰なんだ?プレーしてるのは。調べてみるとこのアルバム、何と英国でレコーディングされている。ロンドンにあるマーブル・アーチ(Studio Marble Arch, London, England)じゃん。これはフィリップス系のスタジオだよ。

ってことは、バックを務めるのは、ここでプロダクションに雇われたスタジオ・ミュージシャンたちだ。このミュージシャンたちは長年、ノー・クレジットだった。けど、近年のメロネル再評価に伴って、ここぞとバックヤード音源がご開帳になったりで、謎の解明も進んだ模様。

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それによるとだ、ベースはブライアン・オジャース(Brian Odgers)。オジャースと言えば、すぐに思い浮かんだのはアル・スチュワート(Al Stewart)の作品です。確認してみると『Love Chronicles』(1969)『Orange』(1972)『Past, Present & Future』(1973)ですね。

他にも調べてみたらこれがまた面白い。たとえば、

ジャン&ロレイン(Jan & Lorraine)の『Gypsy People』(1969)
ジョン・マクラフリン(John McLaughlin)の『Extrapolation』(1969)
マイケル・ギブス(Michael Gibbs)の『Michael Gibbs』(1970)
ショーン・フィリップス(Shawn Phillips)の『Second Contribution』(1970)
ルー・リード(Lou Reed)の『Lou Reed』(1972)
ティア・ナ・ノーグ(Tir Na Nog)の『Strong In The Sun』(1973)
ダナ・ガレスピー(Dana Gillespie)の『Weren't Born A Man』(1973)
キャサリン・ハウ(Catherine Howe)の『Harry』(1975)
などなど・・・


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どんなスタイルにも合わせられる器用さは、ベイカー・ストリート・フィルハーモニック(Baker Street Philharmonic)の『By The Light Of The Moon』(1970)収録曲「Daydream」一つ取り上げても一聴瞭然ですね。

調べてみて収穫だったのがスウィート・サーズデイ(Sweet Thursday)の同名アルバム(1969)(Tetragrammaton Records)。このアルバム、これまではゲスト参加のニッキー・ホプキンス(Nicky Hopkins)にしかキョーミなかったんです。ところが、オジャースのベースはオープナーからして鳥肌モノじゃないですかぁ。


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オジャースは自分のスタイルを創り上げてきたというより、時代の音を体で表現する才能に恵まれていたんでしょうね。ゲンズブールの諸作にも、以後、うねうねと関わっていきます。『Vu De L'Extérieur』(1973)『Rock Around The Bunker』(1975)『L'Homme À Tête De Chou』(1976)とかね。

なお、ドラムスのダギー・ライト(Dougie Wright)もデラム(Deram)系にワクワクするようなアルバムを残しています。一例をあげると・・・


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サンフォレスト(Sunforest)の『Sound Of Sunforest』(1969)
ウィスラー(Whistler) の『Ho-Hum』(1971)
コズミック・アイ(Cosmic Eye)の『Dream Sequence』(1972)

ゲンズネタを語り始めたら底なし沼です(笑)。そうそう、メロディ・ネルソンに打ちのめされた私をさらに興奮のるつぼに放り込んだのがこれ。"La Horse"(1969)。


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ピエール・グラニエール・ドフェール(Pierre Grannier-Deferre)の映画『La Horse』(麻薬)のテーマ。プロモ用の7インチ45RPMしか存在しなかった激レア級。ここでもヴァニエ(Jean-Claude Vannier)の力は大きいぞ!SideBが "L'Alouette" (1969)ですね。

つくづくゲンズブールは全く油断ならないオヤジだぜ。


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Lyrics, Music, Piano, Vocals – Serge Gainsbourg
Vocals – Jane Birkin
Bass – Brian Odgers
Drums – Dougie Wright
Lead Guitar – Vic Flick
Rhythm Guitar – Big Jim Sullivan
Piano, Organ, Harmonium, Timbales – Jean-Claude Vannier
Keyboards – Roger Coulam
Choir – Grand Orchestre À Cordes Des Jeunesses Musicales De France
Cor Anglais – Georges Barboteu
Electric Violin – Jean-Luc Ponty
Orchestra conductor, arranged by – Jean-Claude Vannier


テーマ : 洋楽ロック
ジャンル : 音楽

第137話 Ahmad Jamal 『The Awakening』 (1970)

今夜の一曲 I Love Music

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久々にジャジーな夜を。もともとこれは短文投稿サイトにつぶやいたものを、アルファベティカルに並べ直したものです。おまけに私の嗜好どっぷりですし。ま、たまにはこんな夜にお付き合いくださいませ~(笑)

まずはAから。


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Ahmad Jamal - I Love Music:
ジャマルもいよいよフリー化したのかと思ったが、彼はフリーの敷居をまたぐことなく、独自の音宇宙に遊んだ。予想を裏切るスリリングな展開。それとは裏腹の孤高のリリシズムを感じる作品。

Ahmad Jamal - The Awakening
言うまでもなく1950年代のジャマルは素晴らしいのだが、この1970年作にはぶっ飛んだ。いくつものフラグメントが次々と流れるように展開しながらコラージュのような輝きを見せる。

Ahmad Jamal - Dolphin Dance
こういう曲を聴くと、マイルスがなぜアーマッド・ジャマルを手に入れたかったかが、よくわかる。ハンコック作のジャマル流の解釈は、とびっきりイマジナティヴだ。『The Awakening』(1970) Impulse


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Andrew Hill - Black Monday
難解だとか理解しがたい空気感と揶揄(やゆ)される事も多いアンドリュー・ヒル。別に理解しようとする必要なんてないと思う。やなものはやだし、感性に触れれば無条件に受け入れれば良い。ボビー・ハッチャーソン(Bobby Hutcherson)が良い味。『Andrew !!!』(1968)Blue Note


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Art Pepper - You Go to My Head
ジャック・シェルドン(Jack Sheldon)との二管のクインテット。麻薬渦に揉まれて刑務所から出所したアート・ペッパーをウェスト・コーストの腕達者が迎えた。tpとalto saxのコントラストがまぶしい。『The Return of Art Pepper』(1957)Jazz West


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Arturo Sandoval - Danzón De Los 100 Años
キューバ出身トランペット奏者。ハイノート・トランペッタとしての腕は過激。高音域の速いパッセージのソロが圧倒的。ビバップ、サルサ、クラシック何でもこいって感じ。そんな彼のこんなキュートな曲。『Un Siglo De Pasión』(2013) E35


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Art Tatum - Elegie
ラフマニノフはアート・テイタムを評して「歴史上のピアニストの中で最高だ」と言った。また、ホロヴィッツは「アートがクラシックの演奏家であれば、私たちの仕事がなくなってしまう」と驚愕した。『Piano Solos』(1940) Decca


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最後はラフマニノフついでにおまけってことで ^^;

Rachmaninoff - Piano Concerto No. 2, Op. 18 I. Moderato
ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番。ルビンシュタインの名演。こいつはピアノ協奏曲としては私的にはチャイ子さんの一番と双璧。 『Arthur Rubinstein with Chicago Symphony Orchestra, conducted by Fritz Reiner』(1956) RCA/BMG


テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

第136話  Wolgang Dauners Et Cetera 『Et Cetera 』 (1971)

今夜の一曲  Lady Blue

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<なんじゃこりゃ三題>

この世に、なんじゃこりゃ的なアルバムというのはあまたあるが、こいつをその筆頭にあげてもクレームを喰らうことはないでしょう(笑)。まずはウォルフガング・ダウナー(Wolfgang Dauner)のEt Cetera。

鳥肌立つファズ・サウンドからサイケな混沌に持ち込みつつ、冒頭のテーマに落ち着くオープナー。うさん臭い語りを切り裂いて汚れなきチャーチ・クワイヤーが浮き沈みする短いシークエンス。幽玄なメロトロンに繊細なアコギが絡む官能チューン。

B面の大曲は一聴するとエスニックなアプローチですが、延々とシタールが響いても意図してオリエンタルにはならず、ミステリアスな浮遊感のあるフリー・ジャズ的な展開。さらには、毒を喰らわば皿までのノリでエレクトロニクスが響きわたる無調の曲・・・


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セカンドの『Knirsch』(1972)となると、ジョン・ハイズマン(Jon Hiseman)とラリー・コリエル(Larry Coryell)を配して気を吐きました。ある意味、代表作とも言える出来とされてますが、彼らは、別に巨匠を迎えなくとも勝負できる、才覚のある非凡なユニットだったと思います。

Wolfgang Dauner - Synthesizer, Piano, Clavinet, Clavichord, Electronics, Percussion, Trumpet, Flute
Sigi Schwab - Guitar, Harp, Sitar, Banjo, Lute, Veena, Sarangi, Tambura, Psaltery, Flute, Balafon, Kalimba, Electronics
Eberhard Weber - Bass, Cello
Roland Wittich - Percussion
Fred Braceful - Percussion, Vocals, Bongos




さて、シグロ(Psiglo)を皮切りに、ウルグアイものを探していて見つけたウーゴとオズヴァルド(Hugo y Osvaldo)。最初に聞いたのが「Poema De Las Cinco Rosas」(5本の薔薇の詩?)こいつは妙ちくりんなボッサ・サイケデリアでハマりました。『La Bossa Nova de Hugo y Osvaldo』(1969)収録です。

浮遊感のあるドラムスに気だるいヴォーカルが乗ります。時折り交じるやる気のないコーラスが病的に素晴らしい。ぴろぴろしたオルガンがたなびいたかと思いきや、突如としてリズム・セクションを乗っ取ったりする。この病気ぶりは特筆ものだなぁ。


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ウーゴとオズヴァルドは、最初にどれを聴くかで印象はガラリ違ってきます。「Amaneciendo」などはソフト・ボッサの名曲ですね。ビートルズあり、バカラック(Burt Bacharach)ありで愉快なアルバムなんだけど、一笑に付せない魅力がありますよ。

ウーゴとオズヴァルドはウルグアイのビート・バンド、ロス・シェイカーズ(Los Shakaers)の中心メンバーでした。ビートルズに代表される60sポップスをお手本にした歌唱スタイルを模倣する中で、着実に実力を蓄えていったのです。

ビート・バンドから、独特の浮遊感を持ったサイケ&ソフト・ボッサ・デュオへ。確かに「Samba Doble」はキラーでした。でも、もっと驚いたのは、その後またスタイルをガラリ変えたことです。Opaでジャズやフュージョンに急接近。"Goldwings" "Magic Time"はスグレモノでしたよ。




最後に取り上げるのはジャン・ピエール・ミルーズ(Jean Pierre Mirouze)の手がけたOSTです。チープでカオスなサイケ映画『ル・マリアージュ・コレクティフ(集団結婚)』(Le Mariage Collectif)(フランス・デンマーク合作)(1971)がそれです。

ジャン・ピエール・ミルーズは60s後半のフランスの人気番組『ディム・ダム・ドム』(Dim Dam Dom)のショーのサウンド担当でした。映画の製作に当たったエルベ・ラマール(Hervé Lamarre)がディム・ダム・ドムのチームに音楽製作を依頼してきたことからミルーズに声がかかりました。


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ミルーズがオルガン奏者のジャン・ピエール・サバール(Jean-Pierre Sabar)を含めた演奏者をかき集め、1週間で9曲を書き上げました。ワールド・ミュージックを含めてジャンルレスな作曲に造詣の深かったミルーズにとっては、この程度の仕事はお茶の子さいさいだったのでしょう。

こいつが厄介なのは、7インチの数枚程度のアセテートだけしか存在しなかったことに尽きます。なぜテスト・プレスのみ?理由は単純。映画がアホすぎて興行的にこけたから。倒産した楽曲管理会社のゴミの山から2010年7月に見つかったアセテート。本アルバムは、そこからの盤起こしってのは偽らざる話らしい。


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フランスのこのジャンルはとにかくディープ。一時期、私はフランスのカルト領域にどっぷりでしたが、これはまだまだ大人しい部類でしょうか(笑)。


テーマ : サイケデリック
ジャンル : 音楽

第135話  Schizo 『Schizo!』 (1972)

今夜の一曲  Schizo (And The Little Girl)


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ユリュス/ディジュンクタ(Urus / Disjuncta)のカタログ界隈を眺めてみると、スキゾー(Schizo)とかね、これがまた、入手困難でオリジナルは一度も見たことがなかった。これがまた、リシャール・ピナス(Richard Pinhas)絡みのレア盤ときた。

このセルフ・プロデュースの7"シングル『Schizo (And The Little Girl) / Paraphrénia Praecox』はスキゾーの一年限りの活動を留めた貴重な記録となり、フレンチ・アンダーグラウンド・シーンに一石を投じました。

この作品は、オウン・レーベルであるSFP (Société Française de Productions Phonographiques)における唯一作となっています。


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実はスキゾーにはセカンド・シングルがあり、これはピナスがSFPに次いで始動させたディジュンクタからのセルフ・リリース。『Le Voyageur / Torcol 』がそれですが、何と無料配布されたという情報もあります。

ピナスは高校時代、後にマグマに加入するクラウス・ブラスキ(Klaus Blasquiz)と共にブルース・コンヴェンション(Blues Convention)で活動したと言われています。スキゾーを始動させた時、彼はソルボンヌ大学(パリ第八大学?)で哲学を専攻する学生でした。

彼は、フランスを代表する哲学者ジャン・フランソワ・リオタール(Jean-François Lyotard)の指導のもと、『精神分析と空想科学小説』( Le rapport entre la schizoanalyse et la science-fiction )の論文を書き上げてPh.Dを取得しています。


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また、セカンドの「Le Voyageur」には、哲学者ニーチェ(Friedrich Nietzsche)のテキストが、ピナスの敬愛する哲学者のジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze)によって、おどろおどろしいモノローグで収録されています。

参加メンバーはそのままエルドンのファースト・アルバム『Electronique Guerilla』に吸収されていきました。

1974年にファースト『Electronique Guerilla』をリリースしたエルドンですが、そのバンド名は米国のSFP作家ノーマン・スピンラッド(Norman Spinrad)の書いた小説『鉄の夢』(The Iron Dream)の中のディストピア(!)である架空の都市、ヘルドンから取られました。


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この作品中では、壮絶な核戦争が吹き荒れたのち、放射能に汚染された地球が、ミュータントの支配する地獄と化しています。かろうじて生き残った人類は、奇跡的に汚染をまぬがれた土地にヘルドン大共和国を樹立していましたが、ここにも、ミュータントの魔手が迫りつつありました。

そして今、風前の灯のヘルドンを救うべく、一人の男(フェリック・ジャガー)が立ち上がる・・・という筋立て。それにしても、ヒットラーがSF作家として登場するという奇想天外なプロットには驚かされます。

この作品はアメリカのみならず、フランスで絶大な支持を受けています。そして、ピナス自身も1973年にロサンゼルスで、自らスピンラッドに会っているのです。


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ところで、このピナスのヘヴィ・サイケでアヴァン・エレクトロニクスな初期メガレア作、前世紀のうちに再発されるだろうと期待していましたが、これがどうしてなかなか。

2005年にはドイツの Red Lounge Records ‎(RLR 006)からようやくファースト・シングルに加えてセカンドから「Le Voyageur」を加えた7"がリリースされていました。(Vinyl, 7", 45 RPM, Single)

私が初めて音の全貌に触れたのはキャプテン・トリップ様の紙ジャケ・シリーズ『Single Collection 1972-1980』CTCD-560.(2006)でした。頭の4曲がそのままSchizoのファースト&セカンド収録の4曲だったのです。

その後、2009年になって、スペインのWah Wah Recordsが、限定500でエルドンの『Electronique Guerilla』と抱き合わせでVinyl, 7", 33 ⅓ RPM, EP, のフォーマットでリイッシューしました。


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パリのレコード店がリリースしたSouffle Continu Records(FFL001 )(2014) の「Le Voyageur / Torcol」が最新のカタログというところでしょうか。first out of a reissue series of three groundbreaking 7inch EP by RICHARD PINHAS / SCHIZO / HELDONなんて書かれていますから、ちびってしまいますね。限定700枚のクリア・ヴァイナル(limited run of 700 pressed on clear vinyl 45 rpm)です。ちなみにお値段は€8.50

フリップ&イーノ(Robert Fripp and Brian Eno)の『No Pussyfooting』(1973)、キング・クリムゾン(King Crimson)の『Larks' Tongues in Aspic』(1973)、『Red』(1974)、フィリップ・グラス(Philip Glass)のミニマル・ミュージックの影響下に、独自の美学と哲学を貫こうと1974年から1979年を駆け抜け、7枚のアルバムを残したピナスのエルドン。

彼のルーツを見る思いでSchizoを聞き直してみるのもいいかもしれません。ネット・サイトのトカフィ(tokafi)には「ピナスへの15の質問」(15 Questions to Richard Pinhas)というページがあります。そこでピナスはこんなことを言っています。「なんだかんだ言っても、僕のやっているのはロックなんだ。ワグナーだってロックの歴史の一部なんだからさ。」(In any case, I feel as though I belong to Rock and Roll music... But then again, for me, even Wagner is a part of Rock n Roll history.)

むむむ・・・





1st Sigle『Schizo (And The Little Girl) / Paraphrénia Praecox』
Electric Guitar – Richard Pinhas
Voice – Pierre Roussel
Composed By – Pierre Roussel, Richard Pinhas


2nd Single『Le Voyageur / Torcol 』
Guitar, Synthesizer [VCS 3] – Richard Pinhas
Bass – Pierrot Roussel
Percussion – Coco Roussel
Piano, Synthesizer [Moog] – Patrick Gauthier
Guest [Guest Star], Vocals – Gilles Deleuze
Guest [Orthopedic Shoes], Synthesizer [Mini-Moog] – Georges Grumblatt

<追記>TRさんから、いただいたリプライに「オリジナルが家にあったと思ったら、スペイン盤でした。フランス盤は幻ですね。」とありました。でも、スペイン盤はスペイン盤で貴重ですね! Discophonものはtodocoleccionでは55ユーロつけてます。フランス盤オリジナルだとeBayでVG++/VG++が94ユーロですねぇ ^^;

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第134話 Alain Goraguer 『La Planète Sauvage』 (1973)

今夜の一曲  La Femme


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フレンチ・プログレ・ファンに地味におなじみ(笑)のアラン・ゴラゲール。ジャズ・ピアニスト、作曲家、アレンジャー。ボリス・ヴィアン(Boris Vian)やセルジュ・ゲンズブール(Serge Gainsbourg)の『山小舎の狼』(Les loups dans la bergerie)(1960)などで競演したミュージシャンです。

長編アニメ映画『ファンタスティック・プラネット』(La Planète sauvage / Fantastic Planet)の映画音楽を担当。映画の監督はルネ・ラルー(René Laloux)。

この映画は1973年のカンヌ国際映画祭で、アニメ映画としては初めて、な・な・なんと審査員特別賞を受賞してますね。原画は共同脚本を手掛けたローラン・トポール(Roland Topor)。

巨大なドラーグ族(the Draggs)に支配された、人間に似たオム族(The Oms)。オム族はドラーグ族のペットであったり、大量虐殺の対象だったりします。


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wikiってみると「奇妙な巨大生物の描写など、宮崎駿の漫画・アニメ『風の谷のナウシカ』に影響を与えたと指摘されている。」と書かれています。
※文化庁メディア芸術プラザVol.1 カットアウト・アニメーション「PICK UP」より

ストーリー自体はネット上で容易に検索できるので敢えて触れませんが、この作品はフランス・チェコ共同制作(A French / Czech co-production)となってますね。

フランスには長編アニメ映画を制作する環境がなかったようです。そこでチェコ・アニメの名匠イジー・トルンカ(Jiří Trnka)のスタジオに身を寄せたわけです。




※「トルンカの作品はチェコだけでなく他の東ヨーロッパのアニメーションの規範とされ、アニメーションに与えた影響はウォルト・ディズニーと比肩すると評価されている。」

※横田正夫、小出正志、池田宏編『アニメーションの事典』(朝倉書店, 2012年7月)
※岡田英美子「トルンカ」『東欧を知る事典』新訂増補収録(平凡社, 2001年3月)
※津堅信之『アニメーション学入門』(平凡社新書, 平凡社, 2005年9月)


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しかし、プラハでの制作が進みながら、コミュニスト当局からの干渉を受けて、パリに制作の拠点を移さねばならなかったとも聞きます。

チェコでの制作スタッフはルネ・ラルー以外はすべてチェコ人(当時)で、彼らは映画にチェコ風の味付けがしたくて、ルネをチェコ人ディレクター、ヨセフ・カブラ(Josef Kábrt)とすげ替えようとする不穏な動きがあったのです。制作は決して順風満帆ではなかったようです。
※IMdb "Fantastic Planet Trivia"

さて、忘れてはいけないのが、本映画のストーリーの原作者。フランスを代表するSF作家ステファン・ウル(Stefan Wul)。彼の小説『オム族がいっぱい』(Oms en Série)が原作です。

面白いつながりを感じるのは、ブラジルのオス・ムタンチス(Os Mutantes)。ブラジリアン・サイケからプログレまで、守備範囲の広い活動をしていた彼らですが、そのグループ名は、アルナウド(Arnaldo Baptista)とセルジオ(Sérgio Dias Baptista)の二人が読んでいた、ステファン・ウルの小説がヒントだったとか。


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そのタイトルが『La Mort Vivante』(The Living Death)(1958)。ポルトガル語訳の表題が『O Império dos Mutantes』(The Empire Of The Mutants)だったんですね。

いつぞや、これをSNSでつぶやいた時、私の敬愛する某マンガ家ATさんから「このアニメは音楽含め、初めて観た時の衝撃は忘れられませんでしたよ!!」とマニアックなリプライが帰ってきて、たまげました~(笑)。

ムタンチスと言えば、これが究極でしょう。「Mande Um Abraço Pra Velha」(1972)なんとまぁ、これをシングル・リリースするという暴挙に出るとは!ヒタ・リー(Rita Lee)も逃げ出すわけですね ^^; 




さて、今宵はトコを聞きながら、床につきましょうか(笑)一聴しただけで『Outro Lugar』には虜になりました。ロザリア・デ・ソウザ(Rosalia de Souza)やコラリー・クレモン(Coralie Clément)とのデュエットもいい味してます。一日のクールダウンにぴったりかな。


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第133話 Centipede 『Septober Energy』 (1971)

今夜の一曲  Septober Energy - Part 1


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1971年に二枚組の唯一作を残したセンティピード。これは果たしてワン・タイムのプロジェクトだったのか。それが気になっていました。

ムカデなるグループ名の由来は「50人と100本の足のための音楽」。本作Centipedeのレコーディングは1971年6月の4日間だけの日程。リリースは同年10月。
※Music for People and 100 Feet

そのセンティピードは前年1970年の11月15日付でコンサートを開いたという記録が残っています。

このリセウム(Lyceum)のコンサート時の写真がこれ。Cさんに指摘して頂いたのですが、写真中央、マイク・パトゥ(Mike Patto)とジュリー・ティペッツ(Julie Tippetts)の掲げた腕の間に鎮座しておみえなのは、まさにロバート・フリップ(Robert Fripp)(g)
ではありませんか。
※キースはティペット(Tippett)、ジュリーはティペッツ(Tippetts)なのか?


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マイケル・キング(Michael King)の『Wrong Movements / A Robert Wyatt History』によれば、「キース・ティペットは過去数ヶ月、大編成のための大曲の構想を練っていた。」とあります。

「このプロジェクトは最終的に2時間の組曲『Septober Energy』に結実した。だが、この実現しそうにないプロジェクトは、キースが中心となって集めたミュージシャンたちの同胞愛をいたく刺激した。」

キース・ティペットは次のように証言しています。「センティピードを編成した時、自分の知っている友人を、クラシックからジャズ、ジャズロック、ロックの世界まで、なるべく大勢入れたかった。ロバート・ワイアットは当然の選択だった。」

ティペットがThe Keith Tippett Groupとして『You Are Here... I Am There』をリリースしたのは1970年1月(Advision Studios, London)。セカンドの『Dedicated to You, But You Weren't Listening』は9月レコーディング(ワイアットも参加)、翌1971年1月のリリース。それを完成形に持っていくために『Septober Energy』を6月16~19日にレコーディング、10月8日にリリースしたという流れでしょうか。


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1970年の10月13~16日にはソフト・マシーンがオリンピック・スタジオで『Fourth』のレコーディング・セッションを開始しています。最終セッションが終了したのは11月16~18日で、これはセンティピードが11月15日にリセウムでの初コンサートを終えた翌日に当たります。

なので、この時期はセンティピードを構成する主要メンバーらがティペット・グループやソフト・マシーンと同時並行的にセッションを重ねて行く中で、キースがプロジェクトのコンセプトを固めていったと考えるのが妥当かと。

『Fourth』の最終セッションを終えた2日後の11月20日、21日には、センティピードはフランス、ボルドーにあるアルハンブラ劇場における「アーツ・フェスティバル」に参加。NME誌は「センティピード、フランスを侵略」(Centipede Invade France)という見出しを掲げて公演の成功ぶりを伝えています。(Roy Carrの記事による)

その後も各メンバーらはそれぞれの活動に忙しくした上で、1971年6月12日には、オランダのロッテルダムでコンサートを開きました。『Septober Energy』のレコーディングは、その4日後の6月16~19日となっています。


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ロイ・バビントン(Roy Babbington)はその録音風景について次のように述べています。「スタジオではミュージシャンを必要に応じて入れたり出したりしなければならなかった。何ページも綴じられた紙があって、そこに書いてある名前が呼ばれたら入っていって、自分のパートをやって、終わったら出ていく。

ありゃ、ちょっとしたもんだった。あんな手に負えないミュージシャン連中だけで何かをでっちあげちまおうって言うんだから。できたものを聞いた時には驚いたな。雰囲気がうまく捉えられていると思った。」

ジュリー・ティペッツは「バンドはレコードよりコンサートの方がずっと良かったわ。とても素晴らしい経験だったわ。」と語っています。

そして、1971年9月4日のメロディ・メイカー誌(Melody Maker)はロバート・ワイアットのソフト・マシン脱退(8月)を報じています。


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ワイアットはその後、マッチング・モールを始動させますが、同時にゴング(Gong)(9月18日)、アマルガム(Amalgam)(?)、ケヴィン・エアーズ(Kevin Ayers)(10月15日)、ゲイリー・バートン(Gary Burton)(11月)、ニュー・バイオリン・サミット(New Violin Suumit)(11月7日)への活動に奔走します。

センティピードでの活動に絞れば、10月14日ロイヤル・アルバート・ホール(Royal Albert Hall)、ファイナル公演が12月19日レインボー・シアター(Rainbow Theatre)。なお、12月29日、30日にはマッチング・モール(Matching Mole)のファースト『マッチング・モール』のためのセッションが行われました。

センティピードのジャケットにはワイアットのコメントが書かれています。ロバート・フリップの抱えた苦悩を案じつつ「それを語るも無意味だし、ジュリー・ティペットの詩について語るのもヤボだし」としながらも、「やっぱりニック・エヴァンス(Nick Evans)が発した『ワー・ヘイ(Wah-Hay)』」(勝ちどきの叫び)というメッセージだけは伝えておきましょうかね。」と締めくくっています。

何ともこのプロジェクト、本気なのかお遊びなのか、いかにも時代の寵児(異端児)たちの素晴らしき実験場となりましたね。フリップはティペット人脈での経験をクリムゾンの諸作に編み上げていく。


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Alto Saxophone – Dudu Pukwana, Ian McDonald, Jan Steel
Alto Saxophone, Saxello – Elton Dean
Baritone Saxophone, Clarinet – Dave White
Baritone Saxophone, Oboe – Karl Jenkins
Bass – Brian Belshaw, Dave Markee, Harry Miller, Jeff Clyne, Jill Lyons
Bass Saxophone, Soprano Saxophone – John Williams
Bass, Bass Guitar – Roy Babbington
Cello – Catherine Finnis, John Rees-Jones, Katherine Thulborn, Mike Hurwitz, Suki Towd, Tim Kramer
Cornet – Marc Charig, Mongezi Feza
Drums – Robert Wyatt, Tony Fennell
Drums, Percussion – John Marshall
Guitar – Brian Godding
Piano, Conductor – Keith Tippett
Tenor Saxophone – Alan Skidmore, Brian Smith, Gary Windo, Larry Stabbins
Trombone – Dave Amis, Dave Perrottet, Nick Evans, Paul Rutherford
Trumpet – Mick Collins, Peter Parkes
Trumpet, Flugelhorn – Ian Carr
Violin – Carol Slater, Channa Salononson, Colin Kitching, Esther Burgi, Garth Morton, John Trussler, Louise Jopling, Mica Gomberti, Philip Saudek, Rod Skeaping, Steve Rowlandson, Wendy Treacher
Violin [Lead] – Wilf Gibson
Vocals – Boz, Julie Tippett, Maggie Nichols, Mike Patto, Zoot Money
Producer – Robert Fripp


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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

第132話  Soft Machine  『Triple Echo』 (1977)

今夜の一曲  Memories


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このアルバムがクールだったのは、当時、公式リリースされていた作品群の「別テイク」や「未発ライブ」など、聞いた事のないレア音源がぎっしり詰まっていたことでした。学生時代、レコード屋の店頭で「発見」した時の興奮度は尋常ではありませんでした。

その後、個々の音源の完全版が続々とリリースされ、今、改めてトリプル・エコーを聴き返すと、本作は貴重な音源の一部を抜粋しただけのパッチワークにすぎないように思えます。それでも当時は、このアルバムは宝石箱そのものだったのです。


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それほど当時はソフト・マシーンに関するブート音源は限られていた。ですから、その後の怒濤のようなソフト・マシーン関連のリリース・ラッシュはまさにアンビリーバボーでした。

トリプル・エコーって何だろうか。検索すると、1972年の英国映画がヒットする。それが引用元かはわからないけれど。


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映画のアウトラインはこうだ。第二次世界大戦中、農場の娘のアリス(Glenda Jacson)は軍を脱走したバートン(Brian Deacon)をかくまう。やがて、軍の追っ手が農場に迫ってくる。バートンは女装してアリスの姉になりすまして生活し、軍の目をごまかす。しかし、あり得ない筋書きの中、軍曹(Oliver Reed)に女装を見抜かれてしまう。そして悲劇が・・・

果たして、ソフツのコンピのタイトル名の由来は?どなたかご存知の方、おみえでしょうか?


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Kevin Ayers - Bass
Robert Wyatt - Drums, Vocals
Daevid Allen - Guitar
Mike Ratledge - Organ
Wtitten by - Hugh Hopper





ため息をついたところで、キース・ティペット(The Keith Tippett Group)の『You Are Here... I Am There』が聞きたくなる。「昨年のような今晩」(This Evening Was Like Last Year)。キース・ティペットのファースト・ソロ。1969作。スウィンギング・ロンドンの空気に突如として異質な空気が流れた不思議な時代。

「Stately Dance For Miss Primm」孤高のエルトン・ディーン(Elton Dean)のサックス。浸ってしまうなぁ。


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「Thank You For The Smile」ん?いきなりHey Jude !? こういうユーモア感がセカンドのタイトル曲(Dedicated To You, But You Weren't Listening )につながったのかな。

当時のジャズ・ロック・シーンはロック側からのアプローチがある一方、ジャズ・サイドからロックへのアプローチも顕著だった。キース・ティペットは、チャールス・ミンガス(Charles Mingus)やジョージ・ラッセル(George Russell)、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)、ファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)経由でした。

とは言っても、キース・ティペットはもともとクラシック畑出身。彼のコンポジションのルーツは、ヴォーン・ウィリアムス(Ralph Vaughan Williams)、フレデリック・ディーリアス(Frederick Theodore Albert Delius)、ダリウス・ミヨー(Darius Milhaud)あたり。いかにも、でしょうか?


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それにしても、キース・ティペットのファーストはフリーキーとかアヴァンとか、言われますが、今聞くと、それほど前衛っぽく思えませんよね。時代感覚が変わったのか、自分の感性が寛容になったのか。これまた謎深し。

Jeff Clyne - Bass
Marc Charig - Cornet
Alan Jackson - Drums, Glockenspiel
Elton Dean - Saxophone
Nick Evans - Trombone
Keith Tippett - Piano


テーマ : サイケデリック
ジャンル : 音楽

第131話 Joni Mitchell 『The Hissing of Summer Lawns』 (1975)

今夜の一曲  In France They Kiss on Main Street


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ジョニ・ミッチェルのアルバムの中でも、初めて買った思い出深い一枚。あれは高校生の頃だったかな。思えば、ジョーン・バエズ(Joan Baez)やジュディ・コリンズ(Judy Collins)のフォロワで終わらなかったところがジョニのジョニたるゆえんだろう。後追いで聞いたにせよ、それほど、この1975年の『夏草の誘い』は突き抜けていた。

何といっても最高の栄誉はローリングストーン誌(Rolling Stone)の「ワースト・アルバム・オブ・ザ・イアー」に認定されたことです!でも、メディア受けする曲を書けばいいってものでもない。新機軸を打ち出さねば、進歩は望めないから。ただし、痛みは伴うからね。試行錯誤がすべて受け入れられたり、評価を受けたりするわけじゃないし。

ジャジーなオープナーに始まって、二曲目は思いっきりエスニックと前衛のブレンドしたアプローチ。ブルンジの打楽器集団を起用した民俗音楽的な曲調。おまけにムーグの使い方も一般受けとは無縁の、実に奇怪な雰囲気。おまけに歌詞はフランスの印象派画家、アンリ・ルソー(Henri Rousseau)を引用して幻想的で、わたくしたまりませぬ。


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そうこうするうち、昨年(2016年)の10月12日、JoniMitchell.comからのツイートがSNSに飛び込んできたことを思い出したよ。バッファロー・ニューズ(The Buffalo News)の Life & Artsのコラム、Neil & Joni: Long may they run がそれでした。

折しも、ジョニ・ミッチェルとニール・ヤングの自伝が発行された時です。いずれも、問答無用にカナダを代表してしまうミュージシャンたち。しかし、この二人、音楽スタイルも人生観も好対照。二人の自伝の書き方も、ジョニの内省に対して、ニールはフェティッシュに愛車を礼賛したセルフ・ヒストリーだし。


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※Neil Young; "Special Deluxe: A Memoir of Life & Cars,”※
※Joni Mitchaell.; "Joni Mitchell In Her Own Words: Conversations with Malka Marom”

ジョニの記事中には、ジュノー賞(JUNO賞)の話が出てきました。受賞の理由は、作曲活動とか、ミュージシャンとしての彼女のパフォーマンスに対するものでは全然なかった。なんとまあ、彼女のプロデュースの業績に対して!だったという点で、我々の意表を突いたね。

ジョニも複雑な思い。さもありなん。自分の「クリエイティブ」な仕事が、どう評価されているかは、アーチストにとって最大の関心事なのだから。


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記事に取り上げられていた、次作『Hejira』からの「ブラック・クロウ」(Black Cow)。音楽と恋にすがる人生に見たのは、光るものを見つけては急降下してくる不気味に黒いカラス。栄光と凋落の象徴とかね。

そして、一睡もせず迎えた朝、バスルームの鏡に見るやつれた自分の顔・・・そんなイメージがつづられる強烈な曲。ジョニが、そんな風に自分の人生を見ているなら悲しい。これは単なる歌の中での絵空事だと信じたい。

今でも鮮烈に覚えているのは、ジョニのコンサートで「チャイニーズ・カフェ」(Chinese Cafe)が流れてきた時の感動。「アンチェインド・メロディ」(Unchained Melody)が引用された名曲だった。モルジェロンズ病(Morgellons Syndrome)という難病と闘い、動脈瘤に倒れた闘病中のジョニ。早く癒えて欲しい。




Joni Mitchell : vocals, acoustic guitar, Moog, piano, keyboards, Arp, Farfisa
Graham Nash : background vocals
David Crosby : background vocals
James Taylor : background vocals, guitar
Robben Ford : electric guitar, dobro, guita
Jeff Baxter : electric guitar
Larry Carlton : electric guitar
Victor Feldman : electric piano, congas, vibes, keyboards, percussion
Joe Sample : electric piano, keyboards
John Guerin : drums, arrangement, Moog
Max Bennett : bass
Wilton Felder : bass
The Warrior Drums of Burund
Chuck Findley : horn, trumpet, flugelhorn
Bud Shank : saxophone and flute, bass flute
Dale Oehler : string arrangement


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気分を変えようと引っ張り出したのは、アーマ・トーマス(Irma Thomas)。数々の名曲をしみじみ歌いあげたアーマだが、この曲は鳥肌もの。ニューオーリーンズのソウル・クイーン、1964年作。

ストーンズ(The Rolling Stones))のカバー「Anyone Who Knows What Love Is」は「Time Is On My Side」のB面でしたが、アーマ・トーマスの代表曲の一つだと思いますよ。いまだ現役。日本公演行きたかったあ!




お次はこれ。ハービー・ハンコックの「オスティナート」(Ostinato)。ロニー・モントローズ(Ronnie Montrose)の参加云々はさておき、純粋に当時の時代背景の中で、いかにハービーが時代を切り開く音を模索していたのかが痛いほどわかるなぁ。

ハービー君、そんなに苦しまなくってもいいのに・・・と慰めたいところですが、ミュージシャンにとっては、「これぞ〇〇」という音を提示し続けることがアイデンティティー直結なんで、彼の抱えていた苦悩は察するに余りある。

いかにもベニー・モウピン(Bennie Maupin)という感じのバスクラの音が耳に入った瞬間、ビッチェス・ブリュー(Bitches Brew)の影がちらつくね。これ、好きなの!




最後に引っ張り出したのは、スターバック(Starbuck)ヒットしましたね、「恋のムーンライト」(Moonlight Feels Right)1976年ビルボード3位。ワンヒット・ワンダーで終わらせるにはあまりに惜しかった。見事な超絶マリンバ。よだれ垂れちゃいます。ブルース・ブラックマン(Vo)(Bruce Blackman)とボー・ワグナー(mrb)(Bo Wagner)のグループだった。




・・・というわけで今宵も良い夢が見られそうかな(笑)。

テーマ : 洋楽
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第130話 Philamore Lincoln 『The North Wind Blew South』 (1970)

今夜の一曲  When You Were Walking My Way


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このジャケ・デザイン、キラーでございますよ。サイケ・ポップの隠れ名盤、フィルモア・リンカンの唯一作。デザイナーのサンダース・ニコルソン(Sanders Nicolson)はショーン・フィリップス(Shawon Phillips)の『Second Contribution』に貢献しているんです。


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1曲目「The North Wind Blew South」に針を落とすと、いきなりドラムス&ベースにストリングスが被さってくる。曲全編に、はかなげなオルガンがたゆたい、そこにコーラスが「アアアアア~アアアアア~ア~」と重なるあたりはまさに確信犯ですね。

お次は「When You Were Walking My Way」です。ギター・ベース・ドラムスの軽快なリズムに木管系の管楽器のオブリガートが入ったかと思うと「ララララララ~ラ~」のコーラスに引き継がれる。早くも世捨て人街道まっしぐら。最後のサビのコーラスが二声のダブル・トラッキングになるあたり、これであの世行き確定でしょう。


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おまけに「You're The One」。これなどはジミー・ベイジ(Jimmy Page)のギター・ソロが炸裂。これ以上、私に火をつけないでほしい。もともと、ヤードバーズ(The Yardbirds)人脈で話題になった謎の一枚ですが、知れば知るほどおもしろい。


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メリー・ホプキン(Mary Hopkin)の「悲しき天使(Those were the days)」「Goodby」に次ぐシングル「夢見る港(Temma Harbour)」(1970)が彼の作品のカバーという話にも心惹かれますね。

が、ドラマーとしても、ブライアン・オーガー&トリニティ(Brian Auger and the Trinity)やグラハム・ボンド(Graham Bond)、ドン・レンデル(Don Rendell)で。ザ・フー(The Who)では、キース・ムーン(Keith Moon)の代役としてドラムスを叩いたという事実は、予想外に彼が音楽界に深く絡んでいたという事実をうかがい知ることができます。


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しかし、極めつけは、パラディン(Paladin)のファースト『Paladin』(1971)のプロデュースでしょう。これは彼がジュリアン・コーヴェイ&ザ・マシーン(Julien Covey and the Machine)時代に共に組んでいたピート・ソリー(Pete Solley)とキース・ウェッブ(Keith Webb)がパラディンに在籍していた事からのオファーでしょう。

「The Plains Of Delight」あかん、これでは・・・バイオ・セイフティ・レベル4なみの防御なくして健全な私生活はありえません。フィラモア・リンカーンだけは安易に聞いてはなりません。





Philamore Lincoln - Vocals, Flute, Guitars, Strings Arrangement.
Clem Cattini - Drums
Les Hurdle - Bass
Jimmy Page - Guitar on "You're The One"


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もうろうとした頭で次に引っ張り出したのは英国出身のシンガー&ソングライター、ヴィグラス&オズボーン(VIGRASS & OSBORNE)の『Queues』(1972)これ、何故か日本盤を持ってるんです。「秋はひとりぼっち」(Forever Autumn)は定番ですが、期待を裏切らない出来。

このアルバム、ギターがクリス・スペディング(Chris Spedding)だし、キーボードがアラン・ホークショー(Alan Hawkshaw)、パーカスはレイ・クーパー(Ray Cooper)だったりするからたまんない。シンセとプロデュースはジェフ・ウェイン(Jeff Wayne)。『宇宙戦争』(The War of the Worlds)(1978)が話題になったようですが、自分はまだ未聴。




Vocals, Lyrics – Gary Osborne, Paul Vigrass
Backing Vocals – Barry St. John, Doris Troy, Harry Vokales, Jimmy Thomas, Judith Powell, Liza Strike, Rob Freeman
Bass Guitar – Pete Morgan
Drums – Barry Morgan
Guitar – Caleb Quaye, Chris Spedding, Clive Hicks, Martin Kershaw
Keyboards – Alan Hawkshaw
Percussion – Alan Graham, Ray Cooper, Terry Emery
Moog Synthesizer – Jeff Wayne


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次に取り出したるは、またまた懲りずにマッチング・モール(Matching Mole)のセカンド『Matching Mole』から「オー・キャロライン(O Caroline)」。そこかしこで浮き名を流したサブカル・アーチスト&ジャーナリスト兼、政治活動家、キャロラインこと、キャロライン・クーン(Caroline Coon)。その後、パンク・シーンに鋭く切り込んでいく不思議ちゃん。ワイアット(Robert Wyatt)とは、そもそもどんな関係だったのでしょうか・・・(笑)


Bass Guitar – Bill MacCormick
Electric Piano – Dave McRae
Guitar – Phil Miller
Mellotron, Piano, Drums, Voice – Robert Wyatt
Piano, Organ – David Sinclair



<第40話  Matching Mole - 『Matching Mole』 (1972) UK へ>

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第129話 Mia Martini 『Oltre la Collina』 (1971)

今夜の一曲  Lacrime di marzo


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さっそくですが、秘蔵の一枚を。スリーヴ・デザインを見てぶっ飛んだ人もいるのではありませんか。

売れないアーチストのミミ・ベルテ(Mimi Berte)はミア・マルティーニと改名し、クラウディオ・バリオーニ(Claudio Baglioni)の協力を得て、『Oltre la Collina』で大変身を遂げます。

本作はRCA Italianaから1971年11月4日リリース。クラディオ・バリオーニは、当時RCAの新進気鋭のアーチストでした。

かたやニルヴァーナU.K.(Nirvana U.K.)の『Local Anaesthetic』(局部麻酔)はVertigoですから、フィリップス/フォノグラム系(Philips/Phonogram)傘下です。レコーディング・デイトは1970年11月から1971年1月となっています。

両者それぞれのスリーヴ担当はどうでしょう。本作のグラフィックはフォリーニョ(Foligno)、フォト担当はラッキー(Lucky)となっています。


mia (2)
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一方、ニルヴァーナU.K.は言わずと知れたKeefです。彼はVertigoや、Neon(RCA)で活動していましたから、本作(RCA Italiana)の製作スタッフと関連がないとは言いきれません。

ゆり椅子の使い回し疑惑を含め、謎は深まりますな。場合によっては、よくこれで問題にならなかったものだと。どなたか謎解きプリーズ・・・と他力本願(笑)

本来、今回の夜話はミア・マルティーニ、オルネッラ・ヴァノーニ(Ornella Vanoni)、ミルヴァ(Mirva)、イヴァ・ザニッキ(Iva Zanicchi)のイタリアの元祖歌姫たちを・・・と思っていましたが、なんだか今夜は妙にミアにはまりまくりです。

「Minuetto」(メヌエット)これは、ミアの1973年のシングル・リリース。ダリオ・バルダン・ベンボ(Dario Baldan Bembo)作曲ということで、取り上げてみました。この時代のイタリアの音には格別な芳香を感じます。




「Gesù è mio fratello/Gesù caro fratello」こんな動画があるなんて知ったのは、つい最近のことでした。妙に感心した覚えがあります。ミア・マルティーニと仕掛け人のクラウディオ・バリオーニのヴァージョンを並べた面白い動画だ、こりゃ。




さて、ミアの妹はロレダナ・ベルテ(Loredana Bertè)です。これまた超個性的なシンガー。テニス選手のビョルン・ボルグ(Björn Borg )とくっついて話題をまき散らしたりですね。

ところで勝手にクイズです。 これから、5人のミュージシャンをピックアップしたいと思います。 その四人の接点は何だと思いますか?

まずは、一人目。 ミアの妹、イタリア人ロレダーナ・ベルテ。 代表曲「Sei Bellissima」こんなこと彼女に言われたら、デロデロってとけちゃいますね。

続いて二人目。 スイスのバンド、ブレインチケット(Brainticket)のキーボード・プレーヤー、ヨエル・ファンドゥルーゲンブルーク(Joel Vandroogenbroeck,)。 ベルギー出身。




それでは三人目。NT Atomic Systemの超絶ドラマー。 イタリア人トゥリオ・デ・ピスコポ(Tullio De Piscopo)。

四人目はレナート・ゼロ(Renato Zero)、イタリアン・シンガー、作曲家、プロデューサー、ダンサー、俳優。フェデリーコ・フェリーニ(Federico Felllini)の『Satyricon 』(サテリコン)(1969)にも出演してド肝を抜きました。

最後にビル・コンティ(Bill Conti)ロッキーのテーマで知られるアメリカ人映画音楽作曲家。

この鬼が出るか蛇が出るか状態のメンツでレコーディングしたのが、ティート・スキーパ・ジュニア(Tito Schipa Jr.) の『Orfeo 9』(オルフェオ・ノーヴェ)でしたよ!音楽の世界にはこんな奇跡が起こるから面白い。




<第100話 Nirvana U.K. 『Local Anaesthetic』 (局部麻酔)へ>

<第35話  Tito Schipa Jr.  『Orfeo 9』 へ>

<第69話  Tito Schipa Jr 『Io Ed Io Solo』 へ>

テーマ : 洋楽ロック
ジャンル : 音楽

第128話 Jethro Tull 『This Was』 (1968)

今夜の一曲  Dharma for One


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この曲の初期のヴァージョンは、この通りインストでした。デビュー作 『This Was』 からのカット。当時はまだ、イアン・アンダーソン(Ian Anderson)とミック・エイブラムス(Mick Abrahams)の双頭バンドでした。

どう聞いても、プログレ色ともフォーク色とも路線の違うブルース・ロックっぽい展開。これも、エイブラムスの個性を色濃く映しているせいですが、主導権を握らせまいとするイアン・アンダーソンもなかなかのくせ者。


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ギターの腕でミック・エイブラムスに勝てないと悟ったイアン・アンダーソンは、対抗できる楽器を求めて楽器屋さんに足を運びました。バイオリンとフルートが第一候補でした。どっちがいいか迷っていたら、店主がフルートの方が簡単だよ、とアドバイスしてくれたそうです。

「Dharma for One 」(ダーマ・フォア・ワン)は、アメリカではチャート62位止まりでしたが、クセのある、あまりにインパクトのあるサウンドは強烈な個性を放っています。『This was』から曲を紹介するならば、本来「A Song For Jeffrey」や「Serenade To A Cuckoo」などが適当かもしれません。なのに、あえてこれを選んだのは、筆者の思い入れということで(笑)。

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「Dharma for One 」にはスピリチャルな詩がつけられ、コンサートの定番になりました。ワイト島やタングルウッドでの動画が公開されています。

この曲は彼らの代表曲の一つになった感があります。2008年バーゼル公演では、バンドの初期にイアンが改造した管楽器、クラグホーン(Claghorn)を持ち出し、イアンが解説する珍しい動画もあります。


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この曲をいくつかのバンドがカバーしていますが、中でもびっくりなのが、ファッション・ピンク(Fashion Pink)(ドイツ 1970)。これにはびっくり。しかも意外に整合感に満ちているんです。ある意味、優等生っぽい音で、先達から学ぼうとするドイツ人の一途さを反映しているのかもしれません。逆に言えば、ジェスロ・タルの方が、酩酊状態っていうか、混迷きわめた展開ですね。

まぁ、ある意味、このファッション・ピンクがブレインストーム(Brainstorm)に発展したのは合点がいく気がします。しかし、ファッション・ピンク時代はまだまだ試行錯誤で、スペンサー・デイビス・グループ(Spencer Davis Group)の「アイム・ア・マン」(I'm a Man)をやったり、サイケ・ジャムの域を出ない部分もあるんですけど。


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ファッション・ピンクの発展形のブレインストームのファースト。こりゃ、また、あんまりなジャケットで涙が出てきます。けど、ジャジーな展開とテーマのつけかたが素敵ですね。

ブレインストームはインターコート(INTERCORD)傘下にあるプログレ専門のシュピゲライ(SPIEGELEI)と、アルバム二枚だけの契約を結びました。

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目玉焼きブランドの「シュピゲライ」はブレイン(Brain)やハーヴェスト(Harvest)に対抗するプログレ・レーベルでした。まぁ、正確を期すなら、カタログにはジャズ系のリリースもかなりアップされています。

海外のプログレ組の駆け込み寺でもありました。ポーランドのSBBもそうです。ドイツ本国のバンドに限れば、メイン・アーチストたるに値する旗頭は、ヘルダーリン(Hoelderlin)でしょう。ミスティックなファーストこそPILZでしたが、復活セカンドからはシュピゲライで連戦連投です。

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ヘルダーリンと並んでシュピゲライのもう一つの筆頭がクラーン(Klaan)です。こいつも徹底的にクラウトしていて、不用意に聞くと頭がくらーんとしますね(意味不明)。

他の重要作としては、オイレンシューゲル(Eulenspygel)でしょうか、個人的に(笑)。なんか、このジャケ・センスはいかにも・・・ですし。

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オイレンシュピーゲルとと言えば、ジャケ・センスもぶっ飛んでました。セカンドの1972年作『アウシュス』(Ausschuß)。後年のウリ・トレプテ(Uli Trepte)『Spacebox』(1979)にも影響を与えたのかもしれません。

おっと、アモス・キー(Amos Key)を忘れてはいけないなぁ。こうしてつらつら名前を上げていくにつれ、ずぶずぶはまっていくのがクラウト・ロックの底なし沼です。ジェスロ・タルの話じゃなかったのか!とお怒りの皆さま。お怒りは最もです。安易にジャーマン・ロックの深淵をのぞき見ると、地獄をみますね。

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Ian Anderson – lead vocals, flute, mouth organ, "claghorn", piano
Mick Abrahams – guitar, backing and lead vocals, nine-string guitar
Glenn Cornick – bass guitar
Clive Bunker – drums, hooter, charm bracelet





テーマ : プログレ
ジャンル : 音楽

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Author:ticca
 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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