第30話  Banzai 『Hora Nata』  (1974)  Belgium

今夜の一曲  We're So Sorry


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 GENESIS / YESスクールの5人組、バンザイ(Banzai)。派手なメイクと怪しげなコスチュームのジャケットが、いかにもキワモノっぽくて良い。(笑)

 1974年の『ホラ・ナタ』(Hora Nata)が唯一作です。アルバム・トータルのイメージはジャズ・フレーバーのあるMelodic Prog。大作中心で、5曲中3曲がインストになっています。フォーカスやキャメルからの影響も見え隠れします。

 バンザイのブレーンはEvert Verhees(g)とErry Foix(ds)。作曲担当はEvertですが、Erryは作詞、スリーブ・デザイン&ペインティング、ステージ・ショーを担当するなど、重要な「仕掛け人」を演じています。

 今回取り上げた「We're So Sorry」は、アルバム未収のシングル曲。アルバムのイメージと違って、ポップで垢抜けています。そういう意味では、これを彼らの代表曲扱いするのは反則技かもしれませんね。

 ウェスト・コースト風のコーラスの際立つさわやかサウンド。海外のレビュー見ると、これが結構、酷評されてたりする。でも、憎めない曲なんです。

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 スードニム盤(Pseudonym)『ホラ・ナタ』に収められた6曲のボーナス曲は、基本的にシングル仕様。かなりキャッチーな路線になっていて、曲によっては中期キャラヴァンや10CCの匂いもします。

 ベルギーのプログレと言えば、マキャヴェル(Machiavel)と並び、本国では認知度はかなり高かったようです。

 1973年、Humo magazineの選定する人気投票で、ベルギーの国産バンド第三位にランクされました。Humo誌はベルギーのTV&ラジオ・ガイドです。ミュージシャンの発掘やロック・コンサートを積極的に支援してきました。

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 バンザイは1971年、アントウェルペン(アントワープ)(Antwerpen)で結成されました。1973年にはビルゼン(Bilzen)のロック・フェス(Bilzen rock & jazz festival)で GOLDEN EARRING, PROCOL HARUM、ARGENTと共演を果たしています。

 同年9月30日にはトゥルンハウト(Turnhout)のフェスでKAYAK、FOCUSらと同じステージを踏むなど、実力派ぶりを証明しました。

 彼らはベルギー本国のみならず、オランダでも意欲的に活動しました。その結果、デルタ・レーベル(Delta)との契約が成立します。真偽のほどは不明ですが、バンザイはSUPERSISTERのメンバーによって見いだされたと言う説もあります。

 1974年、7インチ・シングル「Hora Nata / Good Morning Life」をリリース。続いて本作『ホラ・ナタ』が登場。その後さらに、二枚の7インチ「We're So Sorry / Be Careful Now」(1974)「Talking About My Love / On The Rocks」(1975)がリリースされました。

 しかし、レコード会社が敢えなく倒産。セカンド・アルバムをリリースするための会社が見つからず、1976年解散に至ります。

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 さて、バンザイに限らず、小国のアーチストは英語での勝負を厭いません。ロックに限定した話ではありません。その背景を少しのぞいてみましょう。

 ベルギーの人口は1,100万人。東京都の人口(1,350万)よりも少ないのです。当然、ベルギー国内だけを市場にしていても商業ベースには乗りません。ターゲットをベネルクス三国(ベルギー・オランダ・ルクセンブルク)に広げてさえ、人口は所詮2,700万人にとどまります。それほど閉じた空間なのです。

 活動のための基本言語をベネルクスの公用語(オランダ語・フランス語)にすれば、ターゲットだけでなく、収益すら絞り込まれてしまう。そういうわけで小国の常ですが、勝負言語として英語を選択せざるをえないのです。

 比べてみると、日本は人口1億3千万人弱。音楽も日本国内だけで収益構造が成り立っています。英語が苦手なら日本語で勝負できる土壌がある。

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 その点、我々にとっては小国の抱える悩みは、基本的には理解しにくいのかもしれません。あのABBAにしても、スウェーデン語で歌ったならば、950万人分の市場しか開拓できなかったのです。すなわち、東京都の7割程度の人口というわけです。

 そうは言っても、バンザイの活動エリアはベネルクス諸国、ドイツ、スカンジナビアなどに限定されていたのが実情です。結局はローカルな活動にとどまらざるを得ず、しかもそれをレコード会社の限定的なプロモーションに依存せざるを得なかったところに悲劇がありました。

 突き抜けるオリジナリティに欠けていたと言えば、確かにそれだけの事かもしれません。しかし、彼らは疑いなくベルギーの生んだ輝かしいシンフォニック・ロック・グループの一つ。陽の目も見ず、埋もれさせてしまうには、あまりに悲しいバンドです。

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Peter Torfs / organ, piano, electric piano, string ensemble, moog, vocals
John Mc O / acoustic guitar, electric guitar, vocals
Ludwig Kemat / tumbas, metallophone, marimba, vibraphone, percussion, alto saxophone
Evert Verhees / acoustic guitar, electric bass, bass pedals, piano, vocals
Erry Foix / drums, percussion


<関連記事> 英語で歌うということ 第50話 PFM 『Photos Of Ghosts』へ
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 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

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 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

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