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第79話  The Dream 『Get Dreamy』 (1967) Norway

今夜の一曲 Night Of The Lonely Organist And His Mysterious Pals


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 テリエ・リピダル(Terje Rypdal)がらみでたどり着いたノルウェイのアシッド・ロック・バンドだが、これが調べれば調べるほどに面白い。ノルウェイ発、サイケデリック・アンダーグラウンド、ザ・ドリーム(The Dream)。バンド・メンバーには1968年以降、あのヤン・ガルバレク(Sax, Fl)(Jan Garbarek)も、その名を連ねているし。

 この曲はテルミン風のSEに導かれるアップ・ビート・ジャムだが、このグルーヴィーさはブッカー・T(Booker T. & the M.G.'s)みたいで痛快だ。アルバム全体の指向性はプロコル・ハルム(Procol Harum)だったり、ブライアン・オーガー(Brian Auger)だったり。はたまたラスカルズ風、ジミヘン風に迫るかと思えば、レイドバック・ソウルやジャズの表情すら垣間見せる。そこに必殺、サイケ風味を散らせば一丁上がりっ!である。

 演奏とか三人で分け合っているヴォーカルは、とても完璧とはほど遠い。だが、この説明つかない不思議な魅力は何なんだ。やりたいことをひたすら詰め込んで面白がっているところも何だか憎めない。このアルバムに整合性とか首尾一貫を求めるのは意味がなかろう。まさに破天荒な60s末の空気をたっぷり詰め込んだおもちゃ箱のようなアルバムだ。1967年、スカンジナビアからの一撃。


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 本作『Get Dreamy』はノルウェイのポリドールからリリースされた。テリエ・リピダル(g)は後にECMの連作で才能を開花させていく。クリスチャン・レイム(Christian Reim)(org)は後年、ジャズ畑での活動で名を馳せる。

 アルバム収録の「Hey Jimi」は、ジミ・ヘンドリクスの「Hey Joe」へのトリビュートだが、これについては盛りの良い話を聞いた。テリエが後年のインタビューで明かしたのだが、彼は『Get Dreamy』をジミヘン本人に贈ったというのだ。

 実は、テリエのガールフレンドが、ジミのガールフレンドの一人と知り合いだった。テリエは自らのサイン・レコードに「トリビュート」であることを明記してジミにプレゼントした。


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 ジミの死後、ジミのロンドンのレコード・コレクションの一部を購入したマニア氏が、そのサインLPを発見。で、テリエのエージェントにFaxを入れたそうな。喜色満面のテリエは折り返し、氏に電話を入れる。マニア氏は「『Get Dreamy』には確かにジミが聞き込んだ痕がありますよ!」と伝えた。

 ザ・ドリームがジミヘンにインスパイヤされて結成されたという事実を考えれば、彼らはこの知らせを天にも昇るような面持ちで聞いたのではなかろうか(出典「Norwegian Legend Terje Rypdal」by Barry Cleveland / SearchGuitarplayer.com 2014年1月30日のインタビュー)。

 そうこうするうち、な・な・なんと、そのマニア氏の投稿(Recordmecca - Fine Music Collectibles - June 19th, 2010)を発見してしまいましたよ、わたくし。その投稿者はオークションに出された21枚のジミヘンのレコード・ライブラリーを見事射止めた。オークションはジミのガールフレンドであるキャシー・エッチンガム(Kathy Etchingham)の委託だった。


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 マニア氏はFEDEXの小包を震える手で開ける。そこにはロンドン・イヤーズのジミが浴びた音楽的影響の一端がそのまま封じ込められていた。ブルースものを中心に、ディラン(Bob Dylan)、ラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)、ビートルズ(The Beatles)のサージェント、ジェームス・ブラウン(James Brown)、ローランド・カーク(The Roland Kirk Quartet)、ウェス・モンゴメリ(Wes Montgomery)などのジャズ・タイトルの数々。

 ディランのアルバム『Bob Dylan's Greatest Hits』にはジミによるサイケな落書き、『Highway 61 Revisited』にはワイン・グラスを割ってしまった時のジミの血の跡まで残っていたと言う生々しさ。


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 その小包には、我がザ・ドリームの『Get Dreamy』も含まれていた。「Hey Jimi」は、ジミに対する最初期のトリビュートということになる。「Hey Joe」は1966年12月のシングル・リリースだったから。

 問題は、ジャケ裏のメッセージだった。それはテリエの直筆だった。「あなたに敬意を表して"Hey Jimi"を書きました。他の曲も気に入ってくれるとうれしいです。」とある。これにはマニア氏も驚いた。テリエの名とジミの名でググってみた。すると、テリエが生前のジミに『Get Dreamy』を贈っていたことを知る。2005年のことである。

 そこで、テリエのマネージャのメアドに連絡を取った。折り返し、テリエから「ジミが実際にアルバムを手にしたことがわかって嬉しい。」というメッセージが返ってきた。さらにテリエは「もし、それを売却するようなことがあったら、是非とも最初に私にメール下さい。」とも言ってきたそうだ。勿論、売却することはなかったようだが・・・


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 さてさて、吠えるオルガン、ワイルドなファズ・ギター、テープの逆回転、ソウルフルなヴォーカル、キャッチーなホーン、ドリーミーなフルート、チープなSE。どこを切り取ってもキッチュな魅力が満載・・・こうしてきめゼリフを並べあげると、悪徳商人になった気分になる。しかし、この怪しさこそザ・ドリームの魅力そのもの、と居直る私。

 これを聴いた友人(NTさん)は次のように言っている。「1967年のノルウェーでこのサウンドは、ベスト・サイケでは済まされない驚異的脅威(!)を感じます。ディスク・ユニオンによると、一昨年LPのみ600枚再発されたということですが、CD化はないのでしょうか。」

 確かめてみると、それはサイケ専門レーベルのシャドックス(Shadoks)から再発されたLP(Shadoks 151; 600 numbered / 180g pressing / heavy sleeve / big poster - insert)のことだった。今世紀になってからはCDも再発されていることも判明。

 また、友人(CMさん)は「これはかっこいい!でも、北欧というよりブリティッシュな匂い。アグリー・カスタード(Ugly custard) とか思い出しました。これのCD見た覚えありますよ。」と。

 テリエは、ザ・ドリームでの経験をもとに、満を持してソロ作『Bleak House』(1968)の制作に突入する。

<第68話  Terje Rypdal  『Bleak House』へ>

Terje Rypdal - guitar & vocals
Christian Reim - piano, organ & vocals
Tom Karlsen - percussion & vocals
Hans Marius Stormoen - bass & vocals



さて、次回は再びソフト・マシーンの深淵へ。
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ジャンル : 音楽

第68話  Terje Rypdal 『Bleak House』(1968) Norway

今夜の一曲 Dead Man's Tale


Bleak House


 ECMのイメージの強いテリエ・リピダルですが、彼の原点の一つをここに見たり、という感じ。1968年の1stソロ『ブリーク・ハウス』(Bleak House)は北欧ジャズ・ロックの重要作。

 核心は、その枠からはみ出たようなオープニング曲「Dead Man's Tale」!こいつがまた、震っちゃう。テリエのギター、フルート、ヴォーカルも味があるけど、クリスチャン・レイム(Christian Reim)のオルガンも言うことなし! と、早くも無駄にミーハーぶりを発揮する私。

 北欧独特のクールな音空間の支配する後年のアルバム群と違って、本作はまだ当時の空気を映して、新しき時代への胎動を感じさせます。整理のつかない混沌があまりにエロティック。このあたりは文章になりにくい部分なので、表現に逡巡するところ・・・そう言って文章力の無さをゴマかす私がここにいる(汗;)


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 テリエはマルチ・インストルメンタリストだったんですねぇ。幼少からピアノ、トランペットには親しんで来たようですが、最終的に彼が選んだのはギター。しかも、独学。才能ある人がうらやましいぜっ。

 もともと彼は、ザ・シャドウズ((The Shadows)や、ザ・ベンチャーズ(The Ventures)目指してましたが、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)に衝撃を受け、スタイルを一変させます。それが形になったのがサイケ・ロック・バンドのドリームズ(Dreams)『Get Dreamy』(1967)。Yeah ! Go! Go! フラワー・チルドレン! ・・・おいおい、大丈夫か、君ぃ。

 1968年には、クラーク/キューブリック(Arthur Charles Clarke / Stanley Kubrick)の『2001年宇宙の旅』(2001: A Space Odyssey)の影響を受け、1stソロの作成に入る。これが本作で、盟友ヤン・ガルバレク(Jan Garbarek)の協力も得ています。ロック、ジャズ、クラシックの影響下に作られた本作ですが、そのオープニングがこの恐ろしげな逸品。

 これが何とも言えないマイナー・キー・ブルースなんですが、テリエでないと作れない、北欧独特の透明感のある、透徹したゆらぎ感に満ちているのです。

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 後にテリエは「自身をジャズ・ギタリストだと思いますか?」というインタビューに答え、「No !」と即答しています。そうは言っても、彼はマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の『ビッチェス・ブリュー』(Bitches Brew)や、ウェザー・リポート(Weather Report)、マハビシュヌ・オーケストラ(The Mahavishnu Orchestra)の影響を多分に認めていて、目一杯、ジャズのシャワーは浴びていたようです。

 ジョン・コルトレーン(John Coltrane)の『メディテーション』(Meditations)(1966)(Pharoah Sanders とRashied Aliも参加)も好んで聞いたって言うし。後年、ミロスラフ・ビトウス(Mirosrav Vitouš)や、ジャック・ディジョネット(Jack DeJohnette)との共作もリリースし、創作意欲もフル・スロットル状態。『Rypdal, Vitous, DeJohnette』(1979)

 個人的には彼がプロデュースしたノルウェイのルーファス(Ruphus)の『Let Your Light Shine』(1976)も外せないところです。


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 ネット動画にはテリエがジョン・マクラフリン(John McLaughlin)の「Devotion」を演奏しているものがある、とNさんに教わりました。さっそく聞いてみると、Devotionは曲の後半ですね。テリエとの絶妙のコラボで知られるスヴァイヌン・ホヴェンショ(Sveinung Hovensjø) のベースも面白い。フェンダーの6弦ベースかぁ!素直に感動シマス。(Terje Rypdal Trio French TV 1973)

 動画はどうやらina.frで放映されたもの。さすが、INA!(フランス国立視聴覚研究所)。フランスの全ラジオ、テレビの視聴覚アーカイヴの宝庫と言われるだけあって、メジャーからサブカルまで何でもありってのが、ちょいと嬉しかったりする。

 試しに検索してみると、Ina公式チャンネルってのがヒットした。DVDのトレーラ(予告編)ばかりかな、って眉にツバつけたけど、とあるプレイリストが目に留まる。これは面白そう。手始めにエディット・ピアフ(Édith Piaf)の「ラ・ヴィ・アン・ローズ(ばら色の人生)」(La Vie En Rose)を聞いてみた。浸っちゃいますね~。大人だなぁ、わたしも。

 お次は、ミシェル・ベルジェ(Michel Berger)とフランス・ギャル(France Gall)夫妻のデュエット曲「Ca balance pas mal à Paris」を聞いてみよっと。やっぱ、俺ってミーハーだね。


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Terje Rypdal – flute, guitar, vocals
Christian Reim – organ, piano
Terje Venaas – bass
Jon Christensen – drums
Tom Karlsen – drums
Ditlef Eckhoff – trumpet
Kåre Furuholmen – trumpet
Jarl Johansen – trumpet
Kjell Haugen – trombone
Tore Nilsen – trombone
Øivind Westbye - trombone
Frode Thingnæs – trombone, tuba
Hans Knudsen – baritone saxophone
Calle Neumann – alto saxophone, flute
Jan Garbarek – tenor saxophone, fute, bells
Knut Riisnæs – tenor saxophone
Odd Ulleberg – french horn
Frøydis Ree Hauge – french horn





 次回は再び、イタリアものです。ティート・スキーパ・ジュニアの『Io Ed Io Solo』(1974)をメランコリックに聞いてみたいと思います。

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Author:ticca
 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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