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第115話 Frob 『Frob』 (1976) Germany

今夜の一曲  Spaces


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1976年に1000枚のみ、ひっそりとリリースされていたクラウト・ジャズ・ロック。プロデュースの甘さやアレンジの弱さをを味方につけたような、不思議感あふれる音像。まさに時代の異端児。セールス的に撃沈したとはいえ、闇に葬り去るにはあまりに惜しい。ソリッドなギターと陰りのあるオルガン・プレイが際立つ力作。

オープナーの「Wassertropfen」はいきなりキャッチー。ドイツ語のタイトルは「水のしずく」という意味らしい。灼け付くようなギターが主導する挨拶代わりの一曲。アイソトープ(Isotope)、時にマハビシュヌ(The Mahavishnu Orchestra)を思い出させるが、アルバム通すと、曲傾向は結構クロス・ジャンルだ。


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フロブ(Frob)の唯一作は1976年製ということで、多くの先達を教科書とした余裕も感じられる。初期ニュークリアス(Nucleus)やソフト・マシーン(Soft Machine)みたいな手触りもある。そうかと思えば健康優良児のキャメル(Camel)も好きだし、極悪非道のエンブリオ(Embryo)だって好きですよ、みたいなオーラを発していて面白おかしい。毒も薬もすべてが栄養ドリンクになる世界だね。

曲名を見ると英語・ドイツ語・フランス語が入り乱れている。その理由はメンバー構成にあると見た。バンドはドイツで1973年に結成されている。そこにフランス出身でドイツで音楽学校の教員をしていたフィリップ・カイヤ(Philippe Caillat)(g)が加わる。フロブ(Frob)のギグを見て参加を決めたとか。


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フィリップがバンドに加入したのが1975年。かくして、フランス勢1、ドイツ勢3の混成部隊。レコーディングはフィリップの友人のスタジオ(Studio Guy Simon)のある、南仏モンペリエで行われた。

1976年にプライベート・レーベル、ムジークラーデン(Musikladen)(英語ではMusic Storeの意味)から秘かに限定リリースされていた、いわゆる幻の作品。自分はGarden Of Delightsのカタログ#104で初めて知りました(2004年)。


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popsikeのオークションのセールス・トークを読んでみると、ハード・サイケ・フュージョンとか、プログ・インスト・インプロ大爆発(※)だなんてぶち上げてますね。アウト・オブ・フォーカス(Out Of Focus)やエレクトリック・サンドウィッチ(Electric Sandwich)のファンは見逃せない!とも。イセベルグ(Iceberg)風とかユッカ・トローネン(Jukka Tolonen)風と捉えるレコ評もありました。まぁ、色んなとらえ方があるもんだ。

※Hard Psychedelic Fusion, a Progressive Instrumental Improvisational Fireworks!

いずれにしても、このアルバムがもし、1971年製のピルツ(Piltz)盤だったなら、恐らくクラウトの超レアリティーだったんじゃないかという想像は面白いですよね。


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一言でいえば、フロブ(Frob)は、フィリップによるギター・フロントのジャズ・ロック。そこに絡むペーター・シュミッツ(Peter Schmits)のオルガンが、これまた捨てがたい。K.D.リヒター(K.D. Richter)のベースと、ピーター・マイフェルツ(Peter Meuffels)のドラムスのリズム陣も絶妙。サウンドがカンタベリーにたそがれると、もうそれだけで、このバンドの全てを許しちゃいますね。


Philippe Caillat / guitar
Peter Meuffels / drums
K.D. Richter / bass
Peter Schmits / keyboards


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テーマ : プログレ
ジャンル : 音楽

第114話 10cc 『The Original Soundtrack』 (オリジナル・サウンドトラック) (1975) U.K.

今夜の一曲  Life is a Minestrone 「人生は野菜スープ」


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<なぜか突然、スープ考>

おいおい、ちょっと待てよ。「人生は野菜スープ」って・・・? はて、不思議なタイトル。これは自分にとって長年の謎だった。

原題は「Life Is A Minestrone」=「人生はミネストローネ」です。でも、ミネストローネと野菜スープはイコール・・・ではありません。それに、野菜スープと聞いて思い浮かべるスープは、人それぞれでしょう。


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ホットなスープばかりじゃなく、スペインのガスパッチョや、アメリカのヴィシソワーズみたいに、冷製スープだってあります。でも、この曲をたとえ真夏に聞こうが、歌詞に歌われるスープは熱いスープでないといけません。そうでないと、次の節で歌われる「冷たいラザーニャ」の比喩が生きてこないのです。

単にスープと聞いて、あなたはどんなスープを思い浮かべるでしょうか。かなりの確率でポタージュとか、コンソメ、クラムチャウダーを思い浮かべる人が、多そうですね。


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スープは実にディープな世界。コンソメ? ブイヤベース? ポタージュ? 中華? はたまた和風? でも、この曲に関しては、スープのベースが何であれ、ミネストローネでなければ光らない。

そう、「人生はトムヤンクン」とか、「人生は味噌スープ」では困るんです。やはり、ここはエリック・スチュワート(Eric Stewart)がおっしゃるように、完熟トマトどっさりの熱々のミネストローネに、パルメザン・チーズをたっぷりかけて、まさに人生を食す勢いが大事なんです。


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まぁ、しかし、ミネストローネは野菜スープの一種だから、いいじゃん。とおっしゃる方もみえるでしょう。でも、野菜スープ=ミネストローネではありませんからね。この広い世界にはその土地土地の野菜スープがある。サムゲタン(参鶏湯)だってわたくし的には捨てがたいですし(ぶつぶつ・・・)。

しかも、この曲は後述のように、「ミネストローネ」をキーワードに作られた曲なんです。


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ではマーキュリー(日本フォノグラム?)の担当者はどうして「人生は野菜スープ」と翻訳したのか・・・それは簡単に想像できます。1975年の時点で、ミネストローネの何たるかを知っている人は、まずいなかったのだと思います。ミネストローネは日本でまだ市民権を得ていませんでした。

先日、某所の倉庫型量販店で、キャンベル(Campbell's)のスープ缶を目撃。それはミネストローネではなく、クラムチャウダーでしたが・・・なんと50oz(オンス)のデカい1.41kg缶×2パックでガツンと存在感をアピールしてました。キャンベルにはミネストローネのラインナップもあったはずなので、さっそく調べてみると・・・


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あったあった。キャンベルの濃縮スープ缶。「ミネストローネ缶」の野菜は、主役のトマト&トマト・ピューレ以外に、にんじん・ポテト・赤いんげん豆・さやいんげん・セロリ・キャベツ・ズッキーニ・玉ねぎ! まぁ、これにパプリカ・なす・アスパラガス・コーンなどを加えれば無敵でしょう。

さらにカペリーニとかのショートパスタとベーコンを混ぜ込み、パセリ、ローリエ、バジルなどで味を調えればパーフェクト。ホットなニンニクの効いたヤツが出来あがったら、最後の仕上げはスチュワートも言うように、パルメザン・チーズをごっそりかけて、熱いやつを、ふ~ふ~言いながら食べるわけですね。


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ミネストローネはトマト・スープの定番、イタ飯スープの中でも人気スープの筆頭。「人生はミネストローネ」という比喩が生きてくればこそ、冷蔵庫に突っ込まれたままの冷えてマズいラザーニャとの対比で「生」と「死」を喩えているのも、よーく理解できます。

個人的な恨みを言うわけじゃありませんが、自分はかつてイタリアを旅行したとき、お世辞にも小ぎれいとは言えないトラットリアでラザーニャを注文したら、冷え切ってとんでもないのが出てきてキレかかりました。そんなことを今でも親のかたきのように、覚えているなんて、食べ物の恨みは恐ろしいですね。


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ところでスチュワートがこの曲で描いた主人公は、時間と空間を自由に飛び回るディレッタントです。ディレッタントと言うのは、俗人でありながら、愛や学問・芸術を知ったかぶるスノッブのことですね。奔放で、放埒な人生を生きる主人公の彼にとって、まさに「人生」は何でもありのごった煮「ミネストローネ」と同義というわけだ。

ところで、スチュワートはどこからこの曲のヒントを得たのでしょう・・・ある日『オリジナル・サウンドトラック』のレコーディング・セッションを終えて、がロル・クレーム(Lol Creme)と車で帰宅途中のことでした。カー・ラジオでBBCを聞いていたら、アナウンサーが「ミ・・・ストローネ」と言ったように聞こえたそうです。


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「えっ?今、ラジオで『人生はミネストローネ』って言わなかった?」人生はまさに何でもありのごった煮スープ。その一方で「死」とは三日前に冷蔵庫にしまい込んだままのラザーニャみたいなもの。誰も食べたがらない。こんな想像にインスパイアされて曲作りが始まり、たった一日という勢いで曲が完成したようです。

日本に海外の缶詰スープが入ってきたのは、1951年のこと。1962年にはスープ製品の輸入が自由化されました。しかし、その味覚は日本人の舌に合わず、定着しなかったようです。1964年にはクノール社からスープ五種が発売されています。


smus.jpg


この時はじめて、日本人の食卓に本格的な西洋風のスープが紹介されたようです。当時発売されたクノールの商品構成は、マッシュルーム、オニオン・クリーム、チキン・クリーム、チキン・ヌードル、ビーフ・ヌードルの五種。けれども、その後の主力商品はコーン・クリームに移行します。

1960年代の日本のスープ市場はクノール社がシェア85%なので、クノールの商品ラインナップを見ていけば、1975年のアルバム・リリース時のスープ界を巡る事情は透けてみえそうです。1973年にはコーン・クリームがカップで登場していますから、依然としてコーン・クリームは主力だったのでしょうか。


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クノールの商品ラインナップにミネストローネがいつ登場したのかは、はっきりしませんでしたが、クノール・ギャラリーを見る限り、ひょっとして1990年代? まさか・・・そんなに遅くってことはないような気もしますが・・・。

そう考えていくと、1975年当時としては、あの曲のタイトル(邦題)は、やはり「人生は野菜スープ」しかなかったのでしょう。みなさんもミネストローネを食しながら、人生をエンジョイしてみませんか(笑)。


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Lol Creme – guitar, keyboards, violin, vocals
Kevin Godley – drums, keyboards, cello, vocals
Graham Gouldman – bass, guitar, vocals
Eric Stewart – guitar, keyboards, vocals




テーマ : 洋楽
ジャンル : 音楽

第113話 Joe Sample 『Rainbow Seeker』 (虹の楽園) (1978) U.S.

今夜の一曲  Melodies of Love


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「メロディーズ・オブ・ラブ」・・・この曲を聞くと、スイッチが入ったかのように、あの頃の思い出がさらさらと流れ出す。あの懐かしい時代へとタイム・トリップです。アジムス(Azymuth)のテーマ曲で始まるクロス・オーバー・イレブンでもオン・エアされた覚えもありますよ。

この曲は、聞く人それぞれに、自由に想像の翼を羽ばたかせてくれます。押しつけがましさがないので、聞く人ごと、それぞれの心象風景が焼きつけられているのではないでしょうか。さて、あなたの甘酸っぱい思い出は何でしょうか?(笑)


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ジョー・サンプル(Joe Sample)は、まだまだ人種差別の色が濃く残る時代に育ちました。そんな苦しさから逃れようと、彼はひたすら音楽にのめりこみました。そんな背景があるからこそ、彼は「悩みを抱える人たちの心の重荷を解くために、音楽を創るんだ。」って語っているんです。

確かに、この曲の前では、しばし心の痛みを忘れていられる。この曲はジョーの人生哲学が現れた極上のヒーリング・ミュージックなのです。


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ジョーのリーダー・アルバムとしては、1969年の『Fancy Dance』に次ぐ二作目。しかし、作風や演奏スタイルはがらり変わって、音楽的環境や彼の年齢を映してか、いわゆるコンテンポラリー・ジャズの顔をしています。

しかし、それをもって日和(ひよ)ったはと言いたくありません。クルセイダーズ(The Crusaders)や、セッション・ミュージシャンとしての八面六臂の活動から学んだ成果が実を結び、これまでの技巧的なファンク・ジャズとは無縁ながらもコンテンポラリーな作風の佳作に仕上がっています。


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スムーズ・ジャズ? ただの(←傍点つき)フュージョン? そう呼ぶのなら、それでもいい。人は年を重ねていつまでも尖ってはいられませんから。

「Melodies Of Love」はジョーお得意のアコピの響きを大切にしたピースですが、曲によってはスタッフ(Stuff)のようなグルーヴが冴える粋なアレンジが楽しめます。「Islands In The Rain」などはその好例ですね。


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「あなたはジャズ・ミュージシャンですか?」という問いに、ジョーはあるインタビューで「いや、自分はジャズ・ゴスペル・ブルース・ミュージシャンだ。」なんて答えていました。ジャズ・クルセイダース(The Jazz Crusaders)の結成から幾星霜。彼のルーツが様々な音楽様式とブレンドして、至高のスタイルに熟成したかよう。

彼の経歴をさぐってみると、米国テキサス生まれながら、ルーツはその隣国ルイジアナでした。洪水の災禍を避け、その後テキサス東南部に移住。そうした意味でも、彼の音楽的素養は前述の音楽ジャンル以外にも、クレオール文化から多くを学んだのかもしれません。ラテン、クラシックも自然に消化しています。


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1960年にジャズ・クルセイダーズの創設メンバーとして活動を開始。ハード・バップからスタートしてアート・ブレイキーズ・ジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey & The Jazz Messengers)のむこうを張って気を吐きます。

1971年にはグループ名をクルセイダーズに変更。当時の鍵盤奏者を否が応でも巻き込んでいったキーボードのエレクトリック化も、前向きに受け入れました。


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エレクトリック楽器のみならず、持ち味のアコピのプレイ・センスの良さはセッション・ミュージシャンとしての活動にも輝きを与えました。ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)、マービン・ゲイ(Marvin Gaye)、ティナ・ターナー(Tina Turner)、BBキング(B. B. King)、ジョー・コッカー(Joe Cocker)、ミニー・リパートン(Minnie Riperton)、アル・ジャロー(Al Jarreau)など、数々のアーチストの代表作に貢献しています。

彼は翌1979年にも、同傾向の『Carmel』(渚にて)をリリースしています。1980年代になると、結婚生活の崩壊や、病気の悪化といった逆境に悩まされながらも、その後も息の長い活動をしていました。


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しかし、残念ながら、昨年夏(2014, Sep. 12)、彼の訃報が伝えられたのです。けれども、彼の作品の数々は色あせることなく、これからも、聞く人にみずみずしい感動を与え続けてくれるでしょう。

Keyboards – Joe Sample
Bass – Pops Popwell
Drums – Stix Hooper
Guitar – Barry Finnerty
Percussion – Stix Hooper, Paulinho Da Costa
Flute – Ernie Watts, William Green
Piccolo Flute – Ernie Watts, William Green
Saxophone – Ernie Watts, Fred Jackson, William Green
Trombone – Garnett Brown
Trumpet – Jay DaVersa, Robert Bryant Jr., Steven Madaio
Strings – Joe Sample, Sid Sharp





テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

第112話 Paris 『Paris』 (パリス・デビュー) (1976) U.S.

今夜の一曲  Black Book


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失意のうちにフリートウッド・マック(Fleetwood Mac)を去ったボブ・ウェルチ(Bob Welch)。その彼が、ジミー・ロビンソン(Jimmy Robnson)とともに画策したアルバムは、何とまぁツェッペリンの香りがぷんぷんした。

ロビンソンはマックの『クリスタルの謎』(Heroes Are Hard to Find)(1974)でエンジニアを務めていたが、後にディテクティヴ(Detective)(※)『直撃波』(1977)のプロデュースにアンディ・ジョンズ(Andy Johns)と共に携わるなど、この手のバンド・サウンドに心酔していたフシがある。


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※ツェッペリン主導のスワン・ソング(Swan Song)所属バンドで元シルヴァー・ヘッド(Silver Head)のマイケル・デ・バレス(Michael Des Barres)、元イエス(Yes)のトニー・ケイ(Tony Kaye)を擁するハード・ロック・バンド。そのあまりにZepクローンなサウンドゆえに、プロデューサーのジミー・ロビンソンは、「実はジミー・ペイジ(Jimmy Page)の偽名ではないか?」と噂されたほど。

パリスのパーソネルは、ジェスロ・タル(Jethro Tull)出身のグレン・コーニック(Glenn Cornick)と、トッド・ラングレン(Todd Rundgren)のナッズ(Nazz)出身、トム・ムーニー(Thom Mooney)とのトリオ編成。トムは当初、本作レコーディングのためだけに参加したのだが、メンバー間の協働は鉄壁だった。


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それにしてもだ、このツェッペリン本家に迫る(凌駕する)勢いの技巧的なサウンド・メイキングは驚きだ。シャープに磨き上げられたストイックなギター・リフに覆いかぶさる分厚く重層的なレイヤー。気づけばもうパリスの音宇宙のただ中。

しかし、ツェッペリンと比較するのは失礼というものかもしれない。ヘヴィーなリフと取り憑かれたようにミスティックなメロディーが、脳の聴覚野に突き刺さる。それが頭蓋に反響し、脳髄が不思議に共振する。

このアルバムの魅力の一つはアルバム全編を貫くミスティックでオカルティックな歌詞だったりする。「ブラック・ブック」(Black Book)などその典型だが、そもそもこうしたソング・ライティングはウェルチの十八番(おはこ)だった。


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とは言うものの、マックと言えばピーター・グリーン(Peter Green)もドラッグの影響下、ミスティックな歌詞を書き上げていた(※)。そして、ウェルチもスーパーナチュラル(超自然)でオカルティックな人生観や自然観をテーマに「バミューダ・トライアングル」(Bermuda riangles)や「ゴースト」(The Ghost)、と言った作品を書き上げて真骨頂を示した。

※「The Supernatural」(1967)「Black Magic Woman」(1969)「The Green Manalishi」(1970)など。なお、「The Supernatural」はPeter Green参加のJohn Mayall & The Bluesbreakers 時代の作品。

※実はグリーンやウェルチだけでなく、スティーヴィー・ニックス(Stevie Nicks)も超自然的な視点に共感するような「リヤノン」(Rhiannon)をヒット・チャートに送り込んだ。こちらは、もろメアリ・リーダー(Mary Leader)著の『Triad: A Novel of the Supernatural』(1973)の影響のもと、作られた。


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個人的には『枯木』(Bare Trees)(1972)収録の「The Ghost」などはお気に入りで、ウェルチのヴォーカルと対位法で進行するメロトロン・フルートの妙に、なすすべもなくノックアウトされてしまった。

1999年のウェルチのインタビュー(※)によれば、このメロトロンはクリスティン・マクヴィー(Christine McVie)がプレイしているらしい。

※『The Penguin Q&A Sessions』Bob Welch, November 8 - 21, 1999


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ウェブ上には、このメロトロンが「生フルート」だとか、まさかの「クラリネット」!という評があった。だが、これは恐らく、ウェルチがスクール・オーケストラで6年間クラリネットを吹いていた、という経歴からの想像ではないか。ウェルチは「クラリネットじゃ女の子にもてないことがわかったから、クラリネットはやめたんだ。」と、上記Q&Aセッションで告白している。

『枯木』がリリースされた頃は、フリートウッド・マックの低迷期と言われる。それでもこのアルバムはプラチナ・ディスクを獲得した。バッキンガム&ニックス(Buckingham Nicks)を迎えて大ブレークするマックだが、それに先立つ時期としては、本作が唯一のミリオン・セラー作。


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その味のあるカバー・フォトを撮影したのは、ジョン・マクヴィー(John McVie)だった。英国の冬枯れの寂寥感がひしひしと伝わってくる。

マックの歴史をひもといてみると、ピーター・グリーン(Peter Green)は薬禍による精神変調。ジェレミー・スペンサー(Jeremy Spencer)はドラッグ漬けのあげく、新興宗教(The Children Of God)に入信するために脱退。


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おまけに、『枯木』を最後にダニー・カーワン(Danny Kirwan)もマックを去ることになる。彼は作曲の重圧からストレスにまみれ、何日も食事を摂らず、ビールだけで生きていたという伝説がある。

そのカーワン。コンサート前のチューニングでウェルチと口論になり、拳やら頭やら自ら壁に打ち付け、愛用のレス・ポールまでぶっ壊した。唯一味方だったフリートウッド(Mick Fleetwood)まで敵に回したというから、そりゃ彼の居場所はなくなるはずだ。


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ウェルチはマックの屋台骨としてのカーワンの才能は認めながらも、「煙草はせびるし、全くつきあいにくい奴だった。」とボヤいている。かくして、カーワンはアルコール依存症でクビ。本人も悲惨だったろうが、残された者たちも悲惨の二乗だろう・・・ショービズの世界、皆さん大変ですね。

とりとめもない話になりましたが、マックを巡る人間模様と痴話ばなしは、週刊誌ネタのオンパレード。せめてもの救いは、人間関係の泥沼とは無縁に、残された楽曲群が燦然と輝いていることでしょうか。




Robert Welch – Guitar, Lead Vocals
Glenn Cornick – Bass, Keyboards
Thom Mooney – Drums


<第31話  Fleetwood Mac 『Bare Trees』  (1974) へ>

テーマ : 洋楽ロック
ジャンル : 音楽

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ticca

Author:ticca
 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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