第128話 Jethro Tull 『This Was』 (1968)

今夜の一曲  Dharma for One


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この曲の初期のヴァージョンは、この通りインストでした。デビュー作 『This Was』 からのカット。当時はまだ、イアン・アンダーソン(Ian Anderson)とミック・エイブラムス(Mick Abrahams)の双頭バンドでした。

どう聞いても、プログレ色ともフォーク色とも路線の違うブルース・ロックっぽい展開。これも、エイブラムスの個性を色濃く映しているせいですが、主導権を握らせまいとするイアン・アンダーソンもなかなかのくせ者。


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ギターの腕でミック・エイブラムスに勝てないと悟ったイアン・アンダーソンは、対抗できる楽器を求めて楽器屋さんに足を運びました。バイオリンとフルートが第一候補でした。どっちがいいか迷っていたら、店主がフルートの方が簡単だよ、とアドバイスしてくれたそうです。

「Dharma for One 」(ダーマ・フォア・ワン)は、アメリカではチャート62位止まりでしたが、クセのある、あまりにインパクトのあるサウンドは強烈な個性を放っています。『This was』から曲を紹介するならば、本来「A Song For Jeffrey」や「Serenade To A Cuckoo」などが適当かもしれません。なのに、あえてこれを選んだのは、筆者の思い入れということで(笑)。

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「Dharma for One 」にはスピリチャルな詩がつけられ、コンサートの定番になりました。ワイト島やタングルウッドでの動画が公開されています。

この曲は彼らの代表曲の一つになった感があります。2008年バーゼル公演では、バンドの初期にイアンが改造した管楽器、クラグホーン(Claghorn)を持ち出し、イアンが解説する珍しい動画もあります。


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この曲をいくつかのバンドがカバーしていますが、中でもびっくりなのが、ファッション・ピンク(Fashion Pink)(ドイツ 1970)。これにはびっくり。しかも意外に整合感に満ちているんです。ある意味、優等生っぽい音で、先達から学ぼうとするドイツ人の一途さを反映しているのかもしれません。逆に言えば、ジェスロ・タルの方が、酩酊状態っていうか、混迷きわめた展開ですね。

まぁ、ある意味、このファッション・ピンクがブレインストーム(Brainstorm)に発展したのは合点がいく気がします。しかし、ファッション・ピンク時代はまだまだ試行錯誤で、スペンサー・デイビス・グループ(Spencer Davis Group)の「アイム・ア・マン」(I'm a Man)をやったり、サイケ・ジャムの域を出ない部分もあるんですけど。


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ファッション・ピンクの発展形のブレインストームのファースト。こりゃ、また、あんまりなジャケットで涙が出てきます。けど、ジャジーな展開とテーマのつけかたが素敵ですね。

ブレインストームはインターコート(INTERCORD)傘下にあるプログレ専門のシュピゲライ(SPIEGELEI)と、アルバム二枚だけの契約を結びました。

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目玉焼きブランドの「シュピゲライ」はブレイン(Brain)やハーヴェスト(Harvest)に対抗するプログレ・レーベルでした。まぁ、正確を期すなら、カタログにはジャズ系のリリースもかなりアップされています。

海外のプログレ組の駆け込み寺でもありました。ポーランドのSBBもそうです。ドイツ本国のバンドに限れば、メイン・アーチストたるに値する旗頭は、ヘルダーリン(Hoelderlin)でしょう。ミスティックなファーストこそPILZでしたが、復活セカンドからはシュピゲライで連戦連投です。

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ヘルダーリンと並んでシュピゲライのもう一つの筆頭がクラーン(Klaan)です。こいつも徹底的にクラウトしていて、不用意に聞くと頭がくらーんとしますね(意味不明)。

他の重要作としては、オイレンシューゲル(Eulenspygel)でしょうか、個人的に(笑)。なんか、このジャケ・センスはいかにも・・・ですし。

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オイレンシュピーゲルとと言えば、ジャケ・センスもぶっ飛んでました。セカンドの1972年作『アウシュス』(Ausschuß)。後年のウリ・トレプテ(Uli Trepte)『Spacebox』(1979)にも影響を与えたのかもしれません。

おっと、アモス・キー(Amos Key)を忘れてはいけないなぁ。こうしてつらつら名前を上げていくにつれ、ずぶずぶはまっていくのがクラウト・ロックの底なし沼です。ジェスロ・タルの話じゃなかったのか!とお怒りの皆さま。お怒りは最もです。安易にジャーマン・ロックの深淵をのぞき見ると、地獄をみますね。

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Ian Anderson – lead vocals, flute, mouth organ, "claghorn", piano
Mick Abrahams – guitar, backing and lead vocals, nine-string guitar
Glenn Cornick – bass guitar
Clive Bunker – drums, hooter, charm bracelet





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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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