第95話 Deep Purple 『Machine Head』 (1972) U.K.

今夜の一曲  Smoke On The Water


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前回の夜話で、ディープ・パープルがIt's A Beautiful Dayの「Bombay Calling」を参考に「Child In Time」を作曲したことに触れました。でも、〇〇が〇〇に似ているだなんて、この手の話は業界には山ほどある話です。

学生の頃に読んだジョージ・ハリソン(George Harrison)のインタビュー。インタビュアがジョージに「マイ・スウィート・ロード」(My Sweet Lord)(1970)はシフォンズ(The Chiffons)の「イカした彼」(He's So Fine)(1963)を剽窃したと言われていますが?・・・と質問していました。

当時、「剽窃」(ひょうせつ)だなんて言葉を知らず、「ジョージは難しい言葉を知ってるんだなぁ」と妙に感心した覚えが・・・。でも、考えてもみれば、「剽窃」というのは日本語ですよね。私も間抜けですなぁ。この言葉を使ったのは日本人の翻訳者だし(笑)。

エドウィン・ホーキンス・シンガー(The Edwin Hawkins Singers) の取り上げた18世紀の賛美歌「Oh Happy Day」(1968)。ジョージはこの曲にインスパイアされて「My Sweet Lord」を書きあげたそうです。しかし、意図してか意図せずかを問わず、ジョージの敗訴という形で裁判は結審します。


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ジョン・レノン(John Lennon)にしても、「カム・トゥゲザー」(Come Together)(1969)はチャック・ベリー(Chuck Berry)の「ユー・キャント・キャッチ・ミー」(You Can't Catch Me)(1956)に酷似している、との指摘を受けました。ジョンは騒動を鎮めるために、『Rock 'n' Roll 』(1975)でこの曲を取り上げ、印税を支払うという形で決着を図りました。

音楽の世界だけではありませんが、互いに影響を「与え&与えられ」の世界において、オリジナルと二番煎じとの線引きは非常に難しくなっています。

ロックの世界でも古くはビーチ・ボーイズの「Surfin' USA」(1963)とチャック・ベリーの「Sweet Little Sixteen」(1958)。ドアーズの「Hello I Love You」(1968)とキンクスの「All Day And All Of The Night」(1964)など、枚挙にいとまがありません。

Deep Purpleのイアン・ギラン(Ian Gillan)も、「Child In Time」でみせたファルセット・スクリームのアイデアは独創ではなく、エドガー・ウィンター(Edgar Winter)の「タバコ・ロード」(Tobacco Road)から得たと語っています。


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Deep Purpleの全英第二位シングル曲「ブラック・ナイト」(Black Night)(1971)はどうでしょう。リッキー・ネルソン(Ricky Nelson)の「サマー・タイム」(Summertime)(1962)のリフにインスパイアされた、と言ったのはロジャー・グローヴァー(Roger Glover)だったか、ジョン・ロード(Jon Lord)だったか・・・

※「Summertime」の元ネタはジョージ・ガーシュイン(George Gershwin)の同名オリジナル曲。オペラ作『ポーギーとベス』(Porgy and Bess)(1935)のために書き下ろされた。

それに、「Black Night」はブルース・マグース(Blues Magoos)の「恋する青春」(We Ain't Got Nothin' Yet)(1966)にもよく似てますね。







ところで「Smoke On The Water」(1972)は、べートーヴェン(Ludwig van Beethoven)の交響曲第五番(The Symphony No. 5 in C minor )に影響を受けた、とリッチー・ブラックモア(Ritchie Blackmore)は語っています。

けれども、一聴してそれがわかる人なんていないのではないでしょうか。むしろ、アストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto)&ギル・エヴァンス(Gil Evans)の「Maria Quiet」(Maria Moite)(1966)に似ている、という主張の方が、ピンポイントですよね。





また、「Burn」(1974)のリフ。これは、ガーシュイン(Gershwin)の「Fascinating Rhythm」(1924)からヒントを得た? そして、「Fireball」(1971)。こちらはカナダのバンド、ウォー・ピッグ(Warpig)の「Rock Star」(1970)からヒントを得た?







そっくりだから何なのか、ここでかっこ付きの「正論」あるいは「邪推」に決着をつけようとする意図はありません。お茶を濁すつもりはありませんが、ここは一つ、話題提供という事でご納得いだだけたら、と思います。みなさん、大人なんですから(笑)。

次回の音楽夜話は、私も愛してやまない大御所Led Zeppelinの登場です。これまた「〇〇似」「〇〇風」「〇〇的」・・・の宝庫。さすが、偉大なイノベーターはマジで話題豊富ですね。


Ritchie Blackmore – guitar
Jon Lord – keyboards
Ian Paice – drums, percussion
Ian Gillan – vocals, harmonica
Roger Glover – bass


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No title

こんばんは。
サーフィンUSAですが、これは作者にチャック・ベリーがクレジットされてますので、似てるのでなく同じ曲に別の歌詞を付けたものではないでしょうか。
Zeppelinを夢中で聴いてたのは10代の頃ですが、当時は元ネタとか知らずにいました。最近バート・ヤンシュのブラック・ウォーター・サイドを聴いて、ビックリしてたところです。

Surfin' USA

yuccalinaさん、こんばんは!

確かめてみたら、作曲クレジットにチャック・ベリーの名前が入っていますね!

どうやら、リリ-スされた1963年のクレジットにはチャック・ベリーの名前がなく、ブライアン・ウィルソンの名前だけだったようです。

ところが、さすがにトラブルになったので、1966年に発売されたビーチ・ボーイズのベスト・アルバムにはチャック・ベリーの名前を入れたらしいです。

和解も進んだようで、カール・ウィルソンによると、ビーチ・ボーイズがコペンハーゲンでチャック・ベリーに会った時、チャックはサーフィンUSAに好意的だったそうですよ。

それにしても、ブラック・ウォーター・サイドですか。この曲をペイジに紹介したのは、アル・スチュワートだったようです。なるほど、ペイジはアルの『Love Chronicles』(1969)でセッション・ミュージシャンとしてギター弾いてましたね!
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 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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