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第96話 Led Zeppelin 『Led Zeppelin II』 (1969) U.K

今夜の一曲  Whole Lotta Love (胸いっぱいの愛を)


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さて、無敵艦隊の勢いで一時代を築いたLed Zeppelin。先駆的なサウンド・イノヴェイターでありながらブルースやフォーク、サイケデリアなど、時流を捉えて疾走した彼らも、実はソング・ライティングの面では大いに物議を醸しました。

まず、「Whole Lotta Love」(胸いっぱいの愛を)。『Led Zeppelin II』(1969)のオープナーであると同時に3分12秒の短縮盤がシングル・リリースされ、ビルボード第4位まで登り詰めた名曲。ツェッペリンはこれをBonham, Jones, Page & Plantのクレジットでリリースしました。

ところが、Willie Dixonが書き、Muddy Watersの演奏で知られる「You Need Love」(1963)と同じにおいがぷんぷん。歌詞などはモロですね。「Whole Lotta Love」の最後のコーラス後のラインにある「Shake For Me」「Backdoor Man」などはシカゴ・ブルース界のマスター、ハウリン・ウルフ(Howlin' Wolf)の『Howlin' Wolf』(1962)収録曲タイトル(Dixon / Wolf)まんまでした。

プラントが歌唱のスタイルとしてお手本にしたのは、スモール・フェイセズ(Small Faces)による「You Need Love」のカバー曲「You Need Loving」(1966)(クレジットは何とMarriott / Lane)だったかもしれません。







プラントの唱法はスティーヴ・マリオット(Steve Marriott)を意識しまくり。プラントはマリオットになりたかった男だ。Small Facesのギグにも通いつめていたし(Kidderminster / Stourbridgeのギグなど)、そのギグ恒例のオープニング曲は「You Need Loving」だった。

そう考えると、「似ている」のも当然の成り行きと言える。が、それをノー・クレジットでやってしまったがゆえの、著作権問題がらみの訴訟沙汰。かくかくしかじか、最終的にクレジットは、Dixon, Bonham, Jones, Page, Plantに変更されました(1987)。

※ペイジにとっても、ニュー・ヤードバーズ(New Yardbirds)のヴォーカリストとしてマリオットが最有力候補だったが、あっけなくふられたという経緯がある。また、スティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)、テリー・リード(Terry Reid)の名も、ペイジの青写真にはあった。だが、計画は暗礁に乗り上げていた。

※ディクソン側が訴えたのはSmall Faces ではなく、Led Zeppellinだった。どうやらDixonの娘のシャーリ(Shirli)(13歳)が友達の家で「Whole Lotta Love」を耳にして、どこかで聞いた曲だなぁ、と思ってレコードを借りた。それを家に持ち帰って父親に聞かせたと言う。


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同じく『Led Zepelin II』のトラブル事案としては、「Lemon Song」があげられます。この曲は、チェスター・バーネット(ハウリン・ウルフ)<Chester (Howlin' Wolf) Burnett>の「Killing Floor」(1964)と、ロバート・ジョンソン(Robert Leroy Johnson)の「Travelling Riverside Blues」(1937)の合わせ技と言われています。

着地点としては、1970年代になってバーネットの名前をクレジットに加え、Howlin' Wolf, Bonham, Jones, Page, Plantとすることで一件落着。

「Bring It On Home」では、サニー・ボーイ・ウィリアムソンII(Sonny Boy Williamson II)の曲が(1963)引用されました。これもノー・クレジット。

また、デビュー作『Led Zeppelin』(1969)では、「Dazed And Confused」でトラブル発生。ジェイク・ホルムス(Jake Holmes)のデビュー作『The Above Ground Sound』(1967)に収められた同曲。ジェイク自身もトラッドを引用した模様。まず前段として、それをジミー・ペイジ在籍のヤードバーズ(Yardbirds)がカバーしています。





ジェイクはニューヨークでヤードバーズの前座をつとめたことがあります。自分の曲がノー・クレジットでツェッペリンに引用されたことを知ったジェイクは、ペイジに「一言くらい断って欲しい」と手紙を送りました。けれども、返事はなかったとのこと。この件は2010年に訴訟となり、2012年に決着。クレジットは"inspired by Jake Holmes"と変更されました。

「Babe I'm Gonna Leave You」はTrad. arr. Jimmy Pageとなっていますが、実は元歌があることが判明しました。ジョーン・バエズ(Joan Baez)がカバーしたアン・ブレドン(Anne Bredon)の「Babe I'm Gonna Leave You」(1960)です。ペイジ側に悪意はなかったにせよ、最終的にはクレジットの変更(Anne Bredon, Page & Plant) を余儀なくされました。

「How Many More Times」では、ハウリン・ウルフの「How Many More Years」(1951)、アルバート・キング(Albert King)の「The Hunter」(1967)が曲中でメドレー演奏されているものの、これもノー・クレジットであることが問題視されました。

さらに、『Led Zeppelin IV』(1971)では、「Stairway To Heaven」(天国への階段)(1971)とスピリット(Spirit)の「Taurus」(1968)のイントロのリフが似ているとして訴訟に発展し、現在係争中です。





ツェッペリンは初めての米国ツアー(1968)でクリスマスの翌日、スピリットの前座を務めました(the Denver Auditorium Arena)。それ以降も何度かステージを共にしています。状況証拠として「Taurus」を聴いたツェッペリンが同曲を拝借したというのが、争点の一つです。

スピリットのギタリスト、ランディ・カリフォルニア(Randy California)は「一言、ペイジにThank Youと言ってほしかっただけだ」とのことですが、結局その言葉はなかった。両曲を聞き比べてみて、みなさんの率直な印象はいかがでしょう。

ツェッペリンからは、ちょっと離れましょう。ここに、もう一つ踏み絵があります。イーグルス(The Eagles)のミリオン・セラー「Hotel California」(ホテル・カリフォルニア)(1977)。名曲ですよね!

ここで先入観なしに、ジェスロ・タル(Jethro Tull)の「We Used To Know」(1969)を聞いてみて下さい。偶然の産物?他人のそら似?それとも、似ても似つかない赤の他人?





借用&引用疑惑だなんて、遡れば日常茶飯事だったのでしょうか。スメタナ(Smetana)の『わが祖国』の第二曲「モルダウ」(Moldau)(1874)は良いのか? イスラエルの国歌はどんな経緯で選定されたのか? 楽聖ベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調『英雄(エロイカ)』(1804)(Symphony No. 3 in E-flat major)の第1楽章は良いのか?

※スメタナの「モルダウ」は15世紀から16世紀にイタリアで活躍したテノール歌手ジュゼッペ・チェンチ(Giuseppe Cenci)の「ラン・マントヴァーナ」(La Mantovana)を改変している。

※ベートーヴェンの「英雄」のテーマはモーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)の歌劇『バスティアンとバスティエンヌ』(Bastien und Bastienne K.50/K.46b)序曲(1767)のテーマに似ている。


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「似てる」「似てない」は個人の印象に負う部分も大きいので、これを明確な基準をもって正否を判断するのは難しい。法律の視点に立ってさえ、現在では「4小節以内、あるいは15秒以内の短いフレーズの引用」であっても著作権上アウトとなる可能性は十分あります。

まぁ、深いテーマですね。影響を「与え&与えられ」、刺激を「与え&与えられ」、その結果として合法的かつ良い意味での「ライバル意識」を燃やす中で『切磋琢磨』ができればいいのですが・・・。ひいてはそれがファンに感動を与えてくれる・・・

今回の夜話は、誰それを「糾弾」するとか「揶揄」するとかではなく、敬愛するミュージシャンたちに対する「オマージュ」だと思って頂ければ・・・やっぱり私は大人だなぁ(^_^;)


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Jimmy Page – electric and acoustic guitars, backing vocals, theremin on "Whole Lotta Love"
Robert Plant – lead vocals, harmonica on "Bring It On Home"
John Paul Jones – bass guitar, organ on "Thank You"
John Bonham – drums, timpani





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テーマ : 洋楽ロック
ジャンル : 音楽

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こんばんは。以下は私の想像であって、裏付けはとれてないのですが、ディクソンは個人の利害よりも、黒人の権利保護と地位向上の目的もあってZeppelinを訴えたのかもしれない。彼が音楽家だけでなくビジネスのセンスもあり、最初の黒人の会社重役かも?と言われていた、と最近知りました。後にブルースの著作権保護の為の財団も設立。そんなディクソンが訴訟を起こす相手としては、よりビッグなZeppelinを選ぶのも不思議はないですけど、私としてはアトランティックレコードだったことも重要ではないかと思っています。設立初期からブルースやソウル等黒人音楽を沢山出していた老舗レコード会社が、あのパクリっぽい曲をスルーしたのか?と思ったら、腹立たしくなるのも当然かな?とか。
と、まあ、あくまでも、私だったらこう思う、ってだけの話ですが。

ディクソン

 こんばんは。なるほど、仮説であるにしても、なかなか説得力がありますね。実際に訴訟事案として取り上げたのは後々になってのことかもしれませんが、1970年あたりはまだまだ人種差別の種はくすぶってましたね。 そう言えば、ジミ・ヘンドリックスがロンドンのサマルカンド・ホテルで昏睡に陥った時にも、駆けつけた警官は、相手がブラックであることを知るやいなや、態度がぞんざいで横柄になったと伝えられています。救急車を呼んだモニカが白人であったこともあって余計に、警官の好奇の目にさらされたとも。
 相手がアトランティック・レコードだったから余計に・・・という推測にも興味をそそられました。アーチスト本人が著作権に疎ければ、それを助言したり支援してあげるのが、マネージメント側でしょう。そうした意味では、プロダクション側の不手際を棚にあげて、アーチストだけを責めるのは酷ですね。
 コメントありがとうございました。面白い指摘に感謝致します。


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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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