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第10話 Warm Dust 『Peace For Out Time』  (1971)   UK

今夜の一曲  Blood Of My Fathers


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 シカゴやBS&Tといった米国勢のブラス・ロック旋風に対する英国からの回答の一つ。デビュー作『And It Came To Pass』(1970)にして二枚組というのも、何かを意識していたに違いないのですが、この曲は彼らのセカンド『Peace For Our Time』(1971)から。アルバムの内容はブルージーでジャジーなサイケ・ブラス・ロックとなっています。

 反戦コンセプトをスローガンに、ナレーションとSEでつないだ作風はいかにもで、思わずにんまり。これがまた英国風の陰影のあるサウンドで、もうたまりません。ツイン・サックス編成のホーンにキャラックのオルガンとレスのヴォーカルが絡む展開は、手に汗握る思いです。いいですね、このB級感覚!

 Paul Carrackは、ウォーム・ダスト解散後、Ace(1974年)を皮切りに、再編Roxy Music、Mike + the Mechanics, Steve Hackett, Eric Clapton, Nick Lowe, Roger Waters, Ringo Starr などとプレイし、表街道をひた走ります。そういう意味では、彼の輝かしい経歴の中で最も地味で金にならなかった時代がウォーム・ダストだったと言えそうです。

 さて、本作『Peace For Our Time』を理解するのに避けて通れないことが二つあります。まず、アルバム・タイトルの由来から。

 時は1938年、ナチス・ドイツの攻撃的な対外拡張政策が危惧されていました。英国のアーサー・ネヴィル・チェンバレン首相は、武力行使ではなく、講和(ミュンヘン協定)によって戦争を回避しようとしました。

 帰国の途につき、ヘストン空港に降り立ったチェンバレン首相は "This is peace for our time."「これが我々の時代の平和だ」と宣言しました。いかにもヨーロッパの平和が実現したかにみえました。しかし、その「平和」は一年ともたず、敢えなく破られ、それが第二次世界大戦を招く伏線になってしまいました。

 このアルバムを理解するための、もう一つのポイントが、ティモシー・リアリー(Timothy Leary)博士の著作『The Politics Of Extasy』(1968年)だと言われています。サイケデリック・エクスプロージョンの起爆剤の一つとなった本書の "turn on, tune in, and drop out" をカルト信仰した若者たちは、独自の平和観を身につけていきました。

 Warm Dust もそんな若者だったのです。折しもベトナム戦争は泥沼化。失くさずとも済む命がいくつも無為に散っていきました。

 人は歴史から多くを学んで賢く生きるもの。しかし、血を血で洗う戦乱のニュースは引きも切らず。2014年7月15日ロイター通信によると、ガザ地区への空爆をイスラエルが再開したと伝えています・・・

Dransfield (Les) Walker / Vocals, Harmonica, Vibraphone, Shaker
Paul Carrack / Organ, Piano, Timpani, Vocals
Terry Comer / Bass
Keith Bailey / Drums, Congas, Maracas, Vocals
Alan Solomon / Baritone Sax, Soprano Sax, Flute, Clarinet, Organ, Electronics
John Surguy / Tenor Sax, Flute, Oboe, Guitar, Vocals


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テーマ : 洋楽ロック
ジャンル : 音楽

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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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