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第106話 Johnny Mathis  『Heavenly』 (1959) US

今夜の一曲  Misty


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週末の夜を一人寂しく過ごすあなたに贈る、珠玉のジャズ・スタンダード・ナンバー。え? ほっとけって?

さて、気を取り直して「ミスティ」です。作曲は、第49話で取り上げたエロール・ガーナー(Erroll Louis Garner)(1954)。

ガーナーは左利きだったこともあり、ビハインド・ザ・ビート(※)と呼ばれる独特のスウィング感を生み出した事でも知られています。この両手のコンビネーションは強烈かつ完璧ゆえ、トリオを越える大がかりな編成を必要としなかったとさえ言われています。

※His Swing-meets-Bop style is immediately recognizable - complex introduction segue into a rhythm play between left and right hands, the right hand playing "behind the beat" set by the left. (Harlem Jazz Adventures: A European Baron's Memoir, 1934-1969, By Timme Rosenkrantz, Fradley Hamilton Garner)
※左手のビートに遅れ気味に右手の演奏を展開させることで独特のタイム感と揺らぎを産み出していく。


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ハモンド(B-3)の名手、ジミー・スミス(Jimmy Smith)は繰り返し、エロール・ガーナーのキーボード・アプローチをオルガンに応用することで、オルガン奏法に革新をもたらすことに成功したと語っています。(出典;Harlem Jazz Adventures)

また、ガーナーは楽譜が読めなかったとも伝えられていますが、優れた音感や耳覚えの良さで、それが全く弱点と感じられないほど、存分に天才ぶりを発揮しました。

即興も得意とし、一日で三枚のアルバムを録音して、それが全てワン・テイクだったという武勇伝すらあります。ガーナーはアート・テイタム(Art Tatum)の後任として脚光を浴び、23歳にしてチャーリー・パーカー(Charlie Parker)と共演するという栄誉に預かりました。


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ニューヨークからボストンに向かう飛行機の窓から見た霧の印象を、ピアノで華麗に歌い上げたのが「ミスティ」だと言われています。そのガーナーのオリジナルは、1955年にジョニー・バーク(Johnny Burke)(※)の詞を得て、ロマンチックなラブ・ソングに生まれ変わりました。

(※)米国生まれの作詞家。1920年代から50年代にかけて活躍。作曲家ジミー・ヴァン・ヒューゼン(Jimmy van Heusen)とのコラボ等で名作を残した。代表作は"Swinging on a Star" "It Could Happen to You" "But Beautiful" "Here's That Rainy Day" "To See You Is to Love You" "Suddenly It's Spring" "Like Someone in Love"


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1959年、ジョニー・マティス(Johnny Mathis)がこの曲を歌い、大ヒットとなります。『Heavenly』に収められた「ミスティ」は、US Pop Chart Singleで最高12位を記録します。マティス自身もピアノの名手だったそうです。

さて、そのマティス。彼には陸上の世界でオリンピック代表選手(高跳び)をめざす、という夢がありました。しかし、父のアドバイスもあり、歌手になるという夢を追う決断に身をゆだねます。それが大当たり。

1957年にはデビュー曲を録音。これが何と、あのマイルス・デイビス(Miles Davis)のプロデューサーとして有名なテオ・マセロ(Teo Macero)指揮のオケをバックに歌う栄誉を得ています。


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これを皮切りに、マティスはヒットを連発。その一つが、この「ミスティ」というわけです。その後、ミスティは多くの歌手によって歌い継がれます。一例をあげると、1959年にはエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)やサラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)。1960年には、アンディ・ウィリアムス(Andy Williams)やフランク・シナトラ(Frank Sinatra)。

「ミスティ」は名実共に、不滅のジャズ・スタンダードとなった感があります。そして、ジョニー・マティスもまた、全米を代表するポップス&ジャズ・シンガーとしての地位を確立しました。彼にはフィリー・ソウル(Philadelphia Soul)を歌った名盤もあって楽しめます。

歴代の米国大統領たち(※)も彼の音楽に親しんだという話ですが、セレブのみならず、市井の人々にこそ語り継がれるべきシンガーでしょう。

※レーガン大統領、クリントン大統領、チャールス皇太子、故ダイアナ妃の前で歌を披露した。President (Reagan, Clinton) / Royalty (Prince Charles, Princess Diana)

特に「ミスティ」は歌詞も素晴らしい逸品。このメロメロソング、恋するカップルには、たまらない贈り物でしょう。そんなわけで週末をお一人で過ごされる方々も、年末には素敵なクリスマスを過ごされることを心より祈っています。え? ほっとけって?








さて、次回はキーフのジャケットが飾るネオンレーベルの某アーチストです。
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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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