第113話 Joe Sample 『Rainbow Seeker』 (虹の楽園) (1978) U.S.

今夜の一曲  Melodies of Love


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「メロディーズ・オブ・ラブ」・・・この曲を聞くと、スイッチが入ったかのように、あの頃の思い出がさらさらと流れ出す。あの懐かしい時代へとタイム・トリップです。アジムス(Azymuth)のテーマ曲で始まるクロス・オーバー・イレブンでもオン・エアされた覚えもありますよ。

この曲は、聞く人それぞれに、自由に想像の翼を羽ばたかせてくれます。押しつけがましさがないので、聞く人ごと、それぞれの心象風景が焼きつけられているのではないでしょうか。さて、あなたの甘酸っぱい思い出は何でしょうか?(笑)


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ジョー・サンプル(Joe Sample)は、まだまだ人種差別の色が濃く残る時代に育ちました。そんな苦しさから逃れようと、彼はひたすら音楽にのめりこみました。そんな背景があるからこそ、彼は「悩みを抱える人たちの心の重荷を解くために、音楽を創るんだ。」って語っているんです。

確かに、この曲の前では、しばし心の痛みを忘れていられる。この曲はジョーの人生哲学が現れた極上のヒーリング・ミュージックなのです。


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ジョーのリーダー・アルバムとしては、1969年の『Fancy Dance』に次ぐ二作目。しかし、作風や演奏スタイルはがらり変わって、音楽的環境や彼の年齢を映してか、いわゆるコンテンポラリー・ジャズの顔をしています。

しかし、それをもって日和(ひよ)ったはと言いたくありません。クルセイダーズ(The Crusaders)や、セッション・ミュージシャンとしての八面六臂の活動から学んだ成果が実を結び、これまでの技巧的なファンク・ジャズとは無縁ながらもコンテンポラリーな作風の佳作に仕上がっています。


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スムーズ・ジャズ? ただの(←傍点つき)フュージョン? そう呼ぶのなら、それでもいい。人は年を重ねていつまでも尖ってはいられませんから。

「Melodies Of Love」はジョーお得意のアコピの響きを大切にしたピースですが、曲によってはスタッフ(Stuff)のようなグルーヴが冴える粋なアレンジが楽しめます。「Islands In The Rain」などはその好例ですね。


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「あなたはジャズ・ミュージシャンですか?」という問いに、ジョーはあるインタビューで「いや、自分はジャズ・ゴスペル・ブルース・ミュージシャンだ。」なんて答えていました。ジャズ・クルセイダース(The Jazz Crusaders)の結成から幾星霜。彼のルーツが様々な音楽様式とブレンドして、至高のスタイルに熟成したかよう。

彼の経歴をさぐってみると、米国テキサス生まれながら、ルーツはその隣国ルイジアナでした。洪水の災禍を避け、その後テキサス東南部に移住。そうした意味でも、彼の音楽的素養は前述の音楽ジャンル以外にも、クレオール文化から多くを学んだのかもしれません。ラテン、クラシックも自然に消化しています。


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1960年にジャズ・クルセイダーズの創設メンバーとして活動を開始。ハード・バップからスタートしてアート・ブレイキーズ・ジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey & The Jazz Messengers)のむこうを張って気を吐きます。

1971年にはグループ名をクルセイダーズに変更。当時の鍵盤奏者を否が応でも巻き込んでいったキーボードのエレクトリック化も、前向きに受け入れました。


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エレクトリック楽器のみならず、持ち味のアコピのプレイ・センスの良さはセッション・ミュージシャンとしての活動にも輝きを与えました。ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)、マービン・ゲイ(Marvin Gaye)、ティナ・ターナー(Tina Turner)、BBキング(B. B. King)、ジョー・コッカー(Joe Cocker)、ミニー・リパートン(Minnie Riperton)、アル・ジャロー(Al Jarreau)など、数々のアーチストの代表作に貢献しています。

彼は翌1979年にも、同傾向の『Carmel』(渚にて)をリリースしています。1980年代になると、結婚生活の崩壊や、病気の悪化といった逆境に悩まされながらも、その後も息の長い活動をしていました。


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しかし、残念ながら、昨年夏(2014, Sep. 12)、彼の訃報が伝えられたのです。けれども、彼の作品の数々は色あせることなく、これからも、聞く人にみずみずしい感動を与え続けてくれるでしょう。

Keyboards – Joe Sample
Bass – Pops Popwell
Drums – Stix Hooper
Guitar – Barry Finnerty
Percussion – Stix Hooper, Paulinho Da Costa
Flute – Ernie Watts, William Green
Piccolo Flute – Ernie Watts, William Green
Saxophone – Ernie Watts, Fred Jackson, William Green
Trombone – Garnett Brown
Trumpet – Jay DaVersa, Robert Bryant Jr., Steven Madaio
Strings – Joe Sample, Sid Sharp





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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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