第116話 Ramses 『La Leyla』 (1976) Germany

今夜の一曲  Devil Inside


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<その1>ラムゼス(Ramses)の巻


世の中にはよく似た名前のアーチストがたくさんいますね。バッハと言っても、ヨハン・セバスチャン・バッハ(Johann Sebastian Bach)ばかりじゃなく、J.S.の長男、対位法の巨匠ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ(Wilhelm Friedemann Bach)だっていますし。

ロックの世界でも、サーカスなどはメル・コリンズ(Mel Collins)のCircusもあれば、『One Plus...』のCirkusもありましたね。

私が随分長い間勘違いしていたのが、フォーカル・ポイントでした。Focal Point、Folkal Point,、あなたはどちらのサウンドがお好みでしょうか(笑)。

さて、今回取り上げるのは、これまたマイナーなグループではありますが、ラムゼス(ラムセス?)(Ramses)です。そして、次回取り上げる予定のアーチストがラマセス(Ramases)です。う~ん、なんのこっちゃ。あ、そう言えば、売れなかったスーパー・グループ、ラマタム(Ramatam)ってのもありました。


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さて、それでは、まずはラムゼス(Ramses)の出番です。当時、中古盤屋にカットアウト盤がごろごろしていてました。ジャケも素敵にダサい。なかなか食指が動かなかった。ダマされたと思って買ってみて、針を降ろして(死語)びっくり。食わず嫌いは損である。

ドイツで1976年にスカイ・レコード(Sky Records)からリリースされたラムゼスのデビュー作。日本ではポリドールから発売(邦題『アメリカン・ドリーム』)されています。帯のキャッチ・コピーは「ヨーロッパで群を抜く実力と人気。今、アメリカ、日本へ上陸開始」とある!う~む。

曲傾向はバラエティーに富むが、ジェネシス(Genesis)やキャメル(Camel)、ユーライア・ヒープ(Uriah Heep)、アイアン・バタフライ(Iron Butterfly)、イエス(Yes)と言った影響も指摘できる。


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ミーハー発言が許されるならば、ムーグ、ハモンドオルガン、ソリーナなどのヴィンテージ・キーボード群(1976年だから当たり前か・・・)が、これでもかとフィーチャーされるところが涙を誘う。

基本はブルージーなヘヴィ・ロックなのだが、そこにダイナミックなギターと壮大なキーボードの波が交互に現れては消え、ファンタジックなストーリーを紡ぎ始めると彼らの独壇場だ。時にファラオの呪いにかけられるような催眠的なアプローチもある。

そう、グループ名の由来は、古代エジプト第19王朝のファラオ、ラムセスⅡ世。1972年のグループ結成当時、グループ名はRamses IIだった。その後、スカイと契約を結ぶに当たって、グループ名をRamsesと変更している。


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このアルバムは1週間で集中的にレコーディングされた。プロデュースはコニー・プランク(Conny Plank)と、ジェーン(Jane)のプロデューサーだったクラウス・ヘス(Klaus Hess)が共同で作業している。

ドイツ本国のバンドと比較するならば、エロイ(Eloy)やジェーンを意識したサウンドとも言えるだろうか。

レコーディング・メンバーのうち、実はオリジナル・メンバーは二人だけ。Voのヘルベルト・ナート(Herbert Natho)と、Bのハンス・クリンカマー(Hans D. Klinkhammer)の二人がそれ。

バンドにとって転機になったのは、サウンドの要となったKeyのヴィンフリート(Winfried)とGのノルベルト(Norbert)のランホルスト(Langhorst)兄弟のバンド加入だった。そしてDsのラインハルト・シュローター(Reinhard Schröter)が脇を固める。


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バンドは1978年には同メンバーで同傾向の『Eternity Rise』をリリース。その後ヴォーカリストのヘルベルト・ナート(Herbert Natho)は、体調を崩してバンドを去ることになる。

ところで、ラムゼスのオリジナルのドイツ・スカイ盤(Sky002)とUS & Candaの※アンヌイ・コエプティス(Annuit Coeptis)盤(AC-1002)とでは、B面1曲目が違うのです。いずれの曲も演奏と曲のランニング・ライムは一緒。でも、タイトルと歌詞が違う。(※ラテン語でundertakings「仕事・事業」の意味か)

曲のタイトルは、原盤が「War」、US盤が「Noise」。Warはベトナム反戦歌でした。それで、アメリカ側のレコード会社に拒否られたとのこと。やむなく急きょ、歌詞をさし変えてレコーディングし直したというわけ。


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でも、反戦歌なんてザラな時代。何故・・・? 恐らく、彼らが米国の国内アーチストではなかったという事と、アメリカ市場に打って出ようとする新参者のバンドには、ふさわしくなかろう、という売り手側の判断もあったのでしょう。マネージメント側にとっては、金(かね)の前では「沈黙は金(きん)」なのでしょうか。

「War」の歌詞は、何の大義で戦うのかも知らされない兵士の虚無を歌い上げています。彼らは理由もわからず、単に「ビッグ・ボス」のために戦っている・・・という歌。

ところが、歌詞が差し替えられた「Noise」では、TVやラジオ、ジェット機などの都会の騒音に夜も眠れないと嘆き、悪臭や、目に余る大気と水質の汚染に恨み節。そして、静けさと平穏が欲しい・・・と歌っているのです。


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そしてコーラスの「War, everywhere, everywhere Look around man!」のWarが、Noiseにすげ替えられて、「Noise, everywhere, everywhere Look around man!」となっています。ベトナム・ネタは使えなくても、環境問題ネタで勝負。転んでもタダでは起きないというわけでしょうか。

さて、締めくくりに、このバンド名の発音について。日本ではラムゼス、或いはラムセスと呼称されるのが一般的です。英語では、Ramsesはファラオの名前にちなめば、ram-seez(ラムスィーズ)と発音されるようです。

何故、こんな話をしたのかと言うと、実は英国にロジャー・ディーン(Roger Dean)のジャケットで知られる、ラマゼス(Ramases)というバンドが存在するからです。さて、次回はその謎めいた強烈なカルト・バンド、ラマゼスについて取り上げてみたいと思います。




Hans D. Klinkhammer - bass
Norbert Langhorst - guitars
Winfried Langhorst - keyboards, vocals
Herbert Natho - vocals
Reinhard Schröter - drums, percussion

<第117話 ラマセスの巻 Ramases 『Space Hymns』 U.K. 1971へ>
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 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

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