第126話 King Crimson 『Islands』 (1971)

今夜の一曲  Ladies Of The Road


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クリムゾンのライブ演奏は、ギグごとにかなり異なったアプローチをとることで知られています。ゆえに、コアに聞き込むほどに、病的な世界がエンジョイできます(笑)。

そういう理由で、私のブート・コレクションの中でも一番多いのがクリムゾンだったりします。前夜、とりあげた「Ladies Of The Road」 にしても、これをライブごとに追っていくと、この曲がどういう経緯で出来上がっていったかがわかってドキドキします(やはり私は病気?)。

この曲はアルバム『Islands』に収められています。発売こそ1971年12月3日でしたが、リリース以前から、ステージで演奏されていました。それを追うことで、メンバーたちがこの曲をどう解釈してきたかが浮かび上がってきます。

クリムゾンは1970年12月11日に『Lizard』をリリース。しかし、ギグのリハーサル中、レコーディングを支えたメンバーが次々とバンドを去っていきます。フリップは急遽、メンバーの穴埋めをした上で、ギグのためのリハーサルを行う必要に迫られました。

こうして1971年、新たなギグと、新作のための作曲活動がスタートしました。クリムゾンは三度に及ぶ英国ツアーの後、『Islands』をリリース。その後、米国ツアーを敢行。年が明けた1972年にも、引き続き米国ツアーをスタートさせています。


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「Ladies Of The Road」のコンサート初出はわかりませんが、手始めに1971年5月11日のギグの音源を聴いてみましょう。Plymouth Guildhallでの演奏です。これは珍しい演奏で、アルバム収録の構成とは全く違った曲が聴けます。

ライブにおける曲の基本構造は、メロ部をA、サビをB、GuitarソロをG、SaxソロをS、コーダの"Ladies Of The Road!"のコーラスをCとすると、次のようになっています。A1・A2・G・A1・B・A2・A1・B・G・C・S。最後のA1は二行のみです。

歌詞も、メロ部の4行目が少しずつ違ったり、コーダのコーラスとサックス・ソロとの間隔がかなり離れていたりします。歌詞に関しては、アルバムではA1でsmiledとなっているのが、ここではまだlaughedとなっています。

フリップのギターのファズも深く、ヴォーカルもVCSを通したような凄みのある音像になっていて、かなり邪悪なイメージが強調されたパフォーマンスとなっています。


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このPlymouth公演は、第一次英国ツアー(5/11~6/2)のものです。次に、第二次英国ツアー(8/9~9/28)の演奏を聴いてみましょう。1971年8月10日、Marqueeでのライブ・パフォーマンスです。

曲の基本構造に大きな変更が加えられ、A1・A2・S・A3・B・A4・A1・G・C・S。これは現行の構成にかなり近づいたものです。メロ部に新たにA3・A4が加わりました。しかし歌詞は全く異なっています。二行のみ歌われる二度目のA1は、最終的にアルバムではまだ見ぬA5に差し替えられる運命です。

A1の歌詞の一部は最終版とは異なり、SaidをCried、SmiledをLaughedで歌うヴァージョンになっています。サビのBも、何だかビートルズのイメージに一番近い印象で歌われます。

しかし、第一次英国ツアーのPlymouth公演との最も大きな違いは、何と言っても、ソロの構成が見直され、大きな変更が加えられたことです。つまり、A2とA3の間のソロがギターからサックスへと変わり、以後このパターンが踏襲されます。確かにunzippedの後のわいせつシーンを描写するのに、サックスほどふさわしい楽器はないでしょう。

もう一点ですが、最後のギターソロに続くコーラスとサックスは、ほぼ同じタイミングで演奏されるようになりました。


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さて、同じく第二次英国ツアーから1971年9月10日、Wolverhampton Civic Hall公演。この時期、A3とA4の歌詞がようやく確定したようです。

また、二行のA5メロが初めて登場。これが例のマロン・グラッセの歌詞が歌われる部分です。"Like marron-glaced fish bones. Oh lady hit the road!"ですね。 ただし、CriedとLaughedの部分はまだ変更が加えられていません。

演奏はひときわジェントルな雰囲気で始まります。Bのコーラス部にかけられたマルチ・エフェクトが繊細なタッチを醸し出し、好感が持てる演奏です。


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さて、今度は第三次英国ツアー(10/8~10/30)の1971年10月9日Preston公演。まだCried、Laughedのままの歌唱です。ところが、6日後のBournemouth Winter Gardens Concert Hall公演で一つの変化が・・・

それは、Criedの部分は相変わらずですが、これまでLaughedと歌ってきた部分が、最終ヴァージョンのSmiledに確定しているのです。

演奏面では、二度目のBでたびたび観客の茶々や笑いが入ること、そしてギターソロ部分が、ギターというよりも、バイオリンかメロトロンのようにも聞こえてしまうことが特徴です。

ブートですから、録音のクオリティの問題で、そう聞こえるのかもしれません。この日の演奏はとことん荒れ狂った末、無に昇華する感じですよ。昇華というより、昇天でしょうか(笑)。


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そして、翌日の1971年10月16日のBrighton Dome公演。ここではドラムスのパターンが違って新鮮です。

Aメロに絡むギターのオブリガードも妙にブルージーだし、ボズのヴォーカルもとことんアンニュイなムード。笑い声が絡んだり、二回目のBでは、何と語りが入ってくる点できわ立っている。


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次に第三次英国ツアーも終盤となった1971年10月29日、Sheffield City Hall公演。相変わらず歌詞はCriedのままですが、A1のバックのドラムスが途中リズム・キープをやめたり、ライドシンバルを鳴らしたりする。A3では、ギターがバッキング・パターンを変えたりします。

そして、コーダのサックス・ソロは、これまで聴いたことのないフレーズを連発し、最高のブロウで魅せるという展開です。


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そして1971年12月3日。満を持してクリムゾンの4枚目のアルバム『Islands』がリリースされます。ここでの「Ladies Of The Road」のバージョンは、VCSシンセが味付けに使われ、ギター・ソロの逆回転が挿入された完成版とも言うべきものに仕上がりました。

きわだった違いがまだあります。それはA1の歌詞の一部で、これまで一貫してCried, "Peace と歌ってきたのが、突然Said, "Peace に変更されているのです。これはちょっと首をかしげたくなります。というのもアルバムのレコーディングが10月とされているからです。


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第三次英国ツアー(通称オータム・ツアー)は、10/8~30までとなっています。その間にレコーディングに入ったと考えるのは、不可能ではないにしても、スケジュール的にオーバー・ワークな気がします。

となると、ツアー日程を除外すれば、レコーディングが可能だったのは9/29~10/7迄か、10/31以降と考えるのが自然だと思うのですが・・・しかも、10/29のシェフィールド公演でCried, "Peace と歌っていることからすると、Said, "Peace に変更されたのは、10/31以降とする想像の方が自然だと思うのですが・・・

確かフリップの詳しい日記があったと思うのですが・・・まぁ、でもフリップのことなので、ステージの合間を縫ってレコーディングしていたかも知れないし、ここではボズのVoはまさに最終段階だったと思うのですがね。

アルバム・リリース後、クリムゾンは米国ツアーに出ます。第一次が11/10~12/11、第二次が1972年2/11~4/1です。この期間のクリムゾンのライブ音源を、一つだけ取り上げておきましょう。この曲に、なかなか面白い解釈を加えています。


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1972年2月26日、Jacksonsvill公演。まず、アルバム最終版だったはずのA1の Said, "Peace が Cried, "Peace に逆戻り。そして、A4の出だしの歌詞を、A3の出だしと間違えて歌ってしまいました!

つまり、Stone-Headed を High Diving と歌ってしまいました。さらに二度目のサビメロBの4行目がきわめつけ。オリジナルのラインを捨てて、突然ボズがキレまくる。"Oh, lady. Hit the road!! Yeah yeah yeah etc.."

これが無茶苦茶ソウルフルでかっこいい。アドレナリン全開でぶち切れたボズに喝采を贈りたいところですが、フリップ氏はこれにイラっときたのではないでしょうか。演奏慣れしてきたせいか、余裕と言うべきか。幾分スキも感じますが、全体的に生音を重視した造りで、好感の持てるパフォーマンスです。

ひとつ書きもらしました。アルバム・バージョンのコーダはギグのそれとは違った構成になっています。最後のギター・ソロの後が、サックスとエレピに引き継がれ、コーラスが入るのが遅れる点です。A1・A2・G・A1・B・A2・A1・B・G・S(+el-p)・Cですね。

おおざっぱに書きましたが、ブリッジ部分もボズの歌い方やコーラスのつけ方、エフェクトのかけ方が違う等、コアな楽しみが出来ますので、クリムゾン病患者の皆様におかれましては、今後とも是非、病気をお楽しみ下さい。

私は健全な社会生活をまっとうしないといけないで、これにて失礼いたします。

誰ですか、「もうすでに不治の病(やまい)」と言っているのは?




Robert Fripp – guitar, mellotron, harmonium, sundry implements
Peter Sinfield – words, sounds and visions, cover design & painting
Mel Collins – saxophones, flute, bass flute, backing vocals
Ian Wallace – drums, percussion, backing vocals
Boz Burrell – bass, lead vocals, choreography

Paulina Lucas – soprano vocals
Keith Tippett – piano
Robin Miller – oboe
Mark Charig – cornet
Harry Miller – double bass
Uncredited musicians – strings


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妙に納得!

こんばんは!
納得できるということは既に感染、いいえ、失礼いたしました、発病しているということでしょうか?
病に気付き、それを楽しみと思えるとしたら、末期的症状かな?
抜け出す、治療を試みる気もないので、できる限り永続きするよう望みたいものです。

妙に納得(笑)

popontaさん、その通りですね。
本人は直す気もないし、まっとうな道を歩もうという気もないところがいけません(笑)
しっかりこの悪徳の道を突き進みたいと思います(笑)

こんばんは

いやー、nice読み応え!面白かったです。

かえすがえすも、オーディションの段階で、Bozではなく
EGのスタッフ総意の通りにブライアンフェリーが通っていたらと、
タラレバで考えると、なお楽しく読めたりするわけですね!。

まあ、2dn段階のエルトンジョンは、akirakaniEGの勇み足ですが、
その時の違約金で、エルトンは「人生の壁」の録音が完了出来た
といいますから、世の中不思議です。

エルトンの、フリップに云わせれば「カエルを踏みつぶしたような声」
で、Cat Foodを聴いてみたかったような…。

なにしろビョーキ仲間に会えて嬉しいです!。

コメントありがとうございます

pipco1980さん、はじめまして。

コメントありがとうございます。しかも、光栄にも「ビョーキ仲間」に加えていただきうれしく思っています。(笑)

まぁ、「一度はブログをかじってみよう」という軽いノリだけで始めた本ブログです。ですが、100話を越えると、「もうこれくらいでいっかーーっ」なんて自分的にはマンネリだったりします。

そんななか、こうしたコメントいただくと、「もうちょっとつづけよっかな」などと乗せられてしまいますね。(笑)

書き込んでいただいた「人生の壁」の話など、面白いです。Cat Foodの話、笑えます。今後ともよろしくお願いいたします。




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ticca

Author:ticca
 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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