第138話 Serge Gainsbourg『Histoire De Melody Nelson ‎』 メロディ・ネルソンの物語 (1971)

今夜の一曲 Ballade De Melody Nelson

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こいつには打ちのめされましたね~、完膚なきまでに(笑)。

ゲンズブールがいかに変態かなんて、そんな週刊誌チックな話はどうでもいいんです。ゴッホ(Vincent Van Gogh)がどんなに奇行に走ろうが、その作品の芸術性にミソがつくことなんてないのと同様に。ゲンズブールにしたって、カラヴァッジョ(Caravaggio)みたいに殺人は犯していないですからねっ。


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そうは言っても、中年男のゲンズがロールス・ロイスをすっ飛ばしていて、チャリのメロディをひき殺しそうになりながら、この14歳女児をなんで口説き落としてしまうのか、これは確信犯でしかないですわ。

メロディ・ネルソンが、たとえロー・ティーンだったとしても、それはそれで架空の物語なので、まぁ、いいんです。もっとも架空と言っても、このストーリーはwikiると「ロリ志向の自伝まがい」(The Lolita-esque pseudo-autobiographical plot)なので、危ない男であることに変わりはありませんがね。


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このアルバムはゲンズやバーキンのトーキング・ヴォイスが主役を演じつつ、実はジャン・クロード・ヴァニエ(Jean-Claude Vannier)のオーソドックスでありながら、どこか屈折したオケやコラールの存在感が圧倒的なんです。

ところがですよ、この音源がCD化されたことで聞こえてしまったのが、ベースとドラムスの声でした。70年代初期特有の、もたったドラムスと、アタックに個性のあるカリッとしたファンキーなベースのうねりと絡み。時宜を得て奔放に唸りをあげるギターもジャンキーだ。こいつは、まさにアシッド・トキシック!


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で、誰なんだ?プレーしてるのは。調べてみるとこのアルバム、何と英国でレコーディングされている。ロンドンにあるマーブル・アーチ(Studio Marble Arch, London, England)じゃん。これはフィリップス系のスタジオだよ。

ってことは、バックを務めるのは、ここでプロダクションに雇われたスタジオ・ミュージシャンたちだ。このミュージシャンたちは長年、ノー・クレジットだった。けど、近年のメロネル再評価に伴って、ここぞとバックヤード音源がご開帳になったりで、謎の解明も進んだ模様。

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それによるとだ、ベースはブライアン・オジャース(Brian Odgers)。オジャースと言えば、すぐに思い浮かんだのはアル・スチュワート(Al Stewart)の作品です。確認してみると『Love Chronicles』(1969)『Orange』(1972)『Past, Present & Future』(1973)ですね。

他にも調べてみたらこれがまた面白い。たとえば、

ジャン&ロレイン(Jan & Lorraine)の『Gypsy People』(1969)
ジョン・マクラフリン(John McLaughlin)の『Extrapolation』(1969)
マイケル・ギブス(Michael Gibbs)の『Michael Gibbs』(1970)
ショーン・フィリップス(Shawn Phillips)の『Second Contribution』(1970)
ルー・リード(Lou Reed)の『Lou Reed』(1972)
ティア・ナ・ノーグ(Tir Na Nog)の『Strong In The Sun』(1973)
ダナ・ガレスピー(Dana Gillespie)の『Weren't Born A Man』(1973)
キャサリン・ハウ(Catherine Howe)の『Harry』(1975)
などなど・・・


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どんなスタイルにも合わせられる器用さは、ベイカー・ストリート・フィルハーモニック(Baker Street Philharmonic)の『By The Light Of The Moon』(1970)収録曲「Daydream」一つ取り上げても一聴瞭然ですね。

調べてみて収穫だったのがスウィート・サーズデイ(Sweet Thursday)の同名アルバム(1969)(Tetragrammaton Records)。このアルバム、これまではゲスト参加のニッキー・ホプキンス(Nicky Hopkins)にしかキョーミなかったんです。ところが、オジャースのベースはオープナーからして鳥肌モノじゃないですかぁ。


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オジャースは自分のスタイルを創り上げてきたというより、時代の音を体で表現する才能に恵まれていたんでしょうね。ゲンズブールの諸作にも、以後、うねうねと関わっていきます。『Vu De L'Extérieur』(1973)『Rock Around The Bunker』(1975)『L'Homme À Tête De Chou』(1976)とかね。

なお、ドラムスのダギー・ライト(Dougie Wright)もデラム(Deram)系にワクワクするようなアルバムを残しています。一例をあげると・・・


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サンフォレスト(Sunforest)の『Sound Of Sunforest』(1969)
ウィスラー(Whistler) の『Ho-Hum』(1971)
コズミック・アイ(Cosmic Eye)の『Dream Sequence』(1972)

ゲンズネタを語り始めたら底なし沼です(笑)。そうそう、メロディ・ネルソンに打ちのめされた私をさらに興奮のるつぼに放り込んだのがこれ。"La Horse"(1969)。


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ピエール・グラニエール・ドフェール(Pierre Grannier-Deferre)の映画『La Horse』(麻薬)のテーマ。プロモ用の7インチ45RPMしか存在しなかった激レア級。ここでもヴァニエ(Jean-Claude Vannier)の力は大きいぞ!SideBが "L'Alouette" (1969)ですね。

つくづくゲンズブールは全く油断ならないオヤジだぜ。


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Lyrics, Music, Piano, Vocals – Serge Gainsbourg
Vocals – Jane Birkin
Bass – Brian Odgers
Drums – Dougie Wright
Lead Guitar – Vic Flick
Rhythm Guitar – Big Jim Sullivan
Piano, Organ, Harmonium, Timbales – Jean-Claude Vannier
Keyboards – Roger Coulam
Choir – Grand Orchestre À Cordes Des Jeunesses Musicales De France
Cor Anglais – Georges Barboteu
Electric Violin – Jean-Luc Ponty
Orchestra conductor, arranged by – Jean-Claude Vannier


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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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