第21話  Curved Air 『Air Cut』 (1973) UK

今夜の一曲  Metamorphosis


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 16歳だったエディ・ジョブソン(Eddie Jobson)。音楽アカデミーへの入学を望んでいましたが、年齢制限に引っかかって入学許可がおりず。やむなくバンド活動(Fat Grapple)をしていたところ、ギグのメイン・アクトのカーヴド・エア(Curved Air)の目にとまり、大抜擢されています。

 エディの起用はフランシス・モンクマン(Francis Monkman )とダリル・ウェイ(Darryl Way)の代役だっただけに、「大抜擢」という表現も大げさには聞こえません。実際、この曲における彼の活躍ぶりは、17歳にしてまさにバーチュオーゾ(巨匠)の域に思えます。

 ただし、第4作『エア・カット』(1973)の評判は惨憺たるものでした。前三作が、全てUK Top 20にチャート・インしていたのに対し、本作は泣かず飛ばず。

 前作までのクラシカルな要素が薄らぎ、カービー・グレゴリー(Kirby Gregory)のギターの際立つハード・ロック寄りの音となっています。後年、ソーニャ・クリスティーナ(Sonja Kristina)は「以前よりもっとロックなエッジが欲しかった」と語っています。

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 ファン心理というのは複雑なもので、フランシスとダリルのイメージを大切にしてきた人にとっては、本作は許しがたい暴挙に思えたのでしょう。まるで、どこかで聞いたことのある某バンドのコピーに感じた人がいたかもしれません。ただ、私は『エア・カット』はお気に入りの一枚。

 『Socond Album』(1971)リリース後、ベーシストのイアン・アイアー(Ian Eyre)は体調を崩し、マイク・ウェッジウッド(Mike Wedgwood)に代わって第三作『ファンタスマゴリア(Phantasmagoria)』(1972)をリリースすることになります。

 フランシスとダリルの音楽的見解の違いは最悪。修復不能な状態でした。フランシスはジャム・プレイを好み、ダリルは正確で精緻な音を完璧に遂行することを望んでいました。フランシスはダリルに敬意を表してはいるものの、互いに相容れない存在だと語っています。

 実際に、『Phantasmagoria』はA面はダリル、B面はフランシスの手による楽曲のショー・ケースとなっています。

 『Phantasmagoria』(1972.4発売)のツアー半ば、神経を病んだフランシスが脱退(Session活動を経てSkyへ)。続いて、ダリル(Wolf結成へ)とフロリアン(Kiki Deeのバンドへ)もバンドを去ります。

 残されたのは、ソーニャとマイクのみ。 このあたりは2007年のCherry Red TV Interviewでソーニャが生々しい証言をしています。興味のある方はどうぞ。




 二人は、カービー・グレゴリー、とジム・ラッセル(Jim Russell)、エディ・ジョブソンを迎えてツアーの残りを消化します。

 音的には全く別バンドでしたが、商業的な理由でカーヴド・エアの名前を使おうと提案したのは、マネージャのクリフォード・デイヴィス(Clifford Davis)でした。

 しかし、『エア・カット』のマーケティングの失敗、エディVSカービー&ジム組の主導権争いにより、バンドは活動のインセンティブを失います。ワーナーからも契約を打ち切られ、1973年夏に解散。エディはロキシー(Roxy Music)へ、カービー&ジム組はストレッチ(Stretch)へ。

 こう考えてみると、カーヴド・エアがいかに微妙なバランスの中で数々の名作を作り上げてきたかが一目瞭然ですね。

 前身バンドのシシファス(Sisyphus)以降、何度もメタモルフォシス(変容)を遂げてきたカーヴド・エア。その後も現在に至るまで、幾度となく離合集散。そのたびごと、新たな変容を遂げながら、音楽へのモチベーションを維持しています。それがまさにクリスティーナのカリスマティックな魅力なんでしょうね。

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Sonja Kristina / Composer, Guitar (Acoustic), Vocals
Mike Wedgwood / Bass, Composer, Vocals, Lead vocal on "Two Three Two"
Kirby Gregory / Guitar
Eddie Jobson / Keyboards, Mellotron, Synthesizer, Violin, Violin (Electric), Vocals
Jim Russell / Drums, Percussion



 
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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

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 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

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