第25話  Small Faces  『Ogdens' Nut Gone Flake』 (1968)  UK

今夜の一曲  Happiness Stan

sf.jpg


 元々モッズ・バンドとして知られるスモール・フェイセズ(Small Faces)。彼らは4作目『オグデンズ・ナット・ゴーン・スペシャル』(Ogdens' Nut Gone Flake)で、ロック・サイケデリアを極めた。

 五連ポスター付き、タバコ缶をあしらった必殺の変形ジャケ。リバプールの老舗タバコ・ブランド (Ogden's Nut Brown Flake)をパロったそうですが、Nut BrownではなくNut Gone(いかれちまった)になってます。もちろん、この缶に入れるのはマリファナであって、タバコなんかじゃありません。

 「Lazy Sunday」も乱痴気騒ぎの末の作曲。反省の色もなさそうで、公序良俗に反してますね。B面コンセプトの「Happiness Stan」の構想もスティーヴ・マリオット(Steve Marriott)とロニー・レイン(Ronnie Lane)のスモーキング・ハイの産物。あ、スタンってのはロニーの親父の名前らしい。


sf3.jpg


 この組曲は、エキセントリックなアクター、スタンレー・アンウィン(Stanley Unwin)のナレーションに導かれるおとぎ話。スティーブとロニーは、スタンレーが持ちあわていないヒップな言い回しやコックニーイズムを教え込んだ。

 お空の月の欠けた半分を求めて放浪の旅に出る荒唐無稽も凄すぎるけど、これを否定する人は子供の心を忘れた詮ない大人、と後ろ指さされそう。

 でも、これは「人生の意味」を求める旅なので、まさに大人に向けてのメッセージというわけだ。それがハエの怪物が出てきたりのサイケ・トリップだったのは、時代のなせる技ですかね。

 でも、これ、ヘタれた音楽に成り下がるでもなく、UKアルバム・チャートで6週間にわたってNo1に君臨したのはサブカルの域を超えてる。


sf2.jpg


 A面B面のコンセプトがちぐはぐなのは、さすがにメンバーもこの路線に自信がなかったからに違いない。それでも、アルバムには捨て曲がないし、メンバーたちの演奏にはどこか突き抜けたセンスが光る。

 ザ・フーの『トミー』に1年先立つ「英国初のロック・オペラ」という触れ込みもイカしてる(死語?)。

 解せないのは、英国では絶賛されたものの、米国では159位どまり。ほとんど無視されたってことですね。

 当時のこうしたバンドによくあるように、彼らはライブでの楽曲の再現がきわめて難しい領域に足を踏み入れてしまった。でも、「Happiness Stan」組曲は、BBCの"Colour Me Pop"のスタジオライブ( Friday 21 June 1968)で、奇跡的に一度だけ再演されているんです。


sf4.jpg


 バンドの絶頂で解散に至るパターンはゾンビーズの『Odessey and Oracle』も同様。ダイナミズムを追い求めるライブを離れ、密室の作業に没頭するようになると、同じミュージシャンでも職種が違ってくる。ビートルズも同じ悩みを抱えた。

 『Ogdens' Nut Gone Flake』は2012年、三枚組のデラックス・エディションがリリースされた。こうしてスティーブやロニーの試行錯誤を追体験できる機会を得てみると、わくわくする昂揚感とは裏腹の、一抹の説明のつかない寂寥感さえ感じますね。


Steve Marriott − vocals, guitar, harmonica
Ronnie Lane − bass guitar, guitar, backing vocals, vocals
Kenney Jones − drums, percussion
Ian McLagan − keyboards, guitar, bass guitar, backing vocals, vocals
Stanley Unwin – "looney links"
Glyn Johns – recording engineer




スポンサーサイト

テーマ : サイケデリック
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

ゲスト・ブック
Profile

ticca

Author:ticca
 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
カテゴリ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR