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第31話  Fleetwood Mac 『Bare Trees』  (1974) U.K.

今夜の一曲  Sentimental Lady


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 2012年6月7日。ボブ・ウェルチの訃報が世界を駆け巡りました。死の三ヶ月前に脊柱を手術し、その後も激しい痛みが改善せず、苦悩の末のピストル自殺だったようです。

 ボブは、障害を抱えた自分を、最愛の妻に生涯ずっと世話をさせるのが許せなかったようです。実際、ボブは自分の母が父の世話に付きっきりの姿を見てきました。奥さんのウェンディ(Wendy)が9ページに渡る遺書と共に、ボブの遺体を発見しました。

 奥さんによれば、6週間に渡って処方されていた神経障害性疼痛薬『プレガバリン』(Pregabalin)が自殺の遠因だと語ったそうです。しかし、単独服用でそんな事があるのでしょうか。

 プレガバリンは日本では商品名「リリカ®カプセル」(Pfizer Japan Inc.)で、病院で普通に処方されています。ウェンディがどんな文脈でそう語ったのか不明ですが、気になるところです。

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 ボブ・ウェルチ(Bob Welch)がフリートウッド・マック(Fleetwood Mac)に在籍したのは、1971年から1974年まで。『Future Games』(1971)『Bare Trees』(1972)『Penguin』(1973)『Mystery to Me』(1973)『Heroes Are Hard to Find 』(1974)の、5枚のアルバムに関わっています。

 ボブは、クリスティーン・マクヴィー(Christine McVie)と並んで、ピーター・グリーン(Peter Green)、ジェレミー・スペンサー(Jeremy Spencer)主導のブルージーなMacをコマーシャル路線(Out of Blues, Into Pop)に振り向けた仕掛け人の一人です。

 彼がMacに参加するきっかけとなったのは、ジェレミーの失踪を受けてのギタリスト・オーディションの折でした。バンドの秘書役のジュディ(Judy Wong)が、高校時代の友人であるボブを引き合わせたという話です。

 ボブ・ウェルチ最大の成功。それは、パリス(Paris)解散後のソロ作『フレンチ・キス』(French Kiss)(1977)であることは、疑いない事実です。200万枚売り上げたプラチナ・ディスクでした。

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 『フレンチ・キス』は「Ebony Eyes」「Hot Love, Cold World」「Sentimental Lady」など、三曲のビッグ・ヒットを生みました。そしてその『悲しい女』(Sentimental Lady)の元歌がこれでした。この曲は、Macが1972年に発表した『枯木』(Bare Trees)に収緑されています。

 けれども問題はここなんです。『枯木』収録のバージョンは4'34"。『French Kiss』のバージョンは2'52"。要するにラジオ・カットを意識して曲を切り詰めたのです。すっきりコンパクトになりました。時代にマッチした新感覚でまとめ直した、と言うところでしょうか。この曲は大ヒットを記録し、全米8位まで昇りつめます。セルフカバーしてまでも、世に問いたかった曲。

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 ですが、私は複雑な思い。オリジナル曲はAORフィール満載の1977年版より、もっともっと繊細で、ガラス細工のような造り。

 1960年代後半以降は、シングルヒットに背を向けてでも大作指向に走ったり、コンセプト・アルバムをリリースしたり、とてもオンエアされないような実験的な試みに執着した時代。

 しかしそれでは、カルト人気に留まる運命に甘んじる事と同義だったのでしょうか。ミュージシャンとて人の子。霞を食っては生きられない、ということなんでしょうね。しかし、まぁ、この曲の魅力を改めて問う、という意味においては、ボブの目論見は見事に的中したわけです。

 歌詞についてですが、気になる箇所があります。コーラスの"14 joys and a will to be merry" の部分です。14 joysとは何でしょうか。ひょっとしたら聖書の中の文言かとも思うのですが、どなたか是非とも教えてください。<追記あり>

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<追記>

 その後、テキサス州在住のクリスチャン(プロテスタント)の米国人女性(JMさん)を含め、四人の方から貴重なご意見を頂きました。それをもとに「14 joys」について私なりの考えをまとめてみたいと思います。

 アメリカの映画やホーム・ドラマを見ていると、仲の良いカップルが相手を「ハニー」(Honey)とか「ダーリン」(Darling)などと呼ぶことがありますね。他にも「シュガー」(Sugar)「スウィーティ」(Sweetie)「パンプキン」(Pumpkin)などがあります。

 「マイ・ワン・ジョイ」(My One Joy)も同じ発想の呼びかけで、それを念頭にボブは愛する女性に「14 joys」と呼びかけているのではないでしょうか。「14」という数字に特別な意味があるわけではなく、たとえばボブの好きな数字の一つで、それをメロディに乗せただけではないか、と言うのです。

 友人のN98さんは、ネット検索したら「The 14 Stations of Joy」というページがヒットしたと教えてくれました。これについてJMさんに尋ねてみたところ、「聖書に該当の表現があるわけではありません」と言う答えが返ってきました。そして、このページの筆者に関して、「私見を交えて聖書を解釈してはいけないと思います。」「バイブルに書かれていることは、そのまま受け取るべきですから。」と語っています。

 また、友人のCHさんからは、次のコメントを頂いています。「ヨハネ14章のイエスが言う『自分は目に見える形ではもういなくなる、しかし、何かが残る』というのを、歌詞の中で一度姿を消した女性に重ねているもかも知れませんね。そういう文化圏じゃないので憶測にしかなりませんが。」

 また、先日、バンクーバー近郊に住むカナダ人女性(MF)さんから、次のコメントも頂きました。「14joysというフレーズは一般的な用法ではないので、想像もつきません。and a will to be merryに関しては、merryというのはhappyと同じ意味なので、『幸せになろうね』ってことでしょうか。それ以上はわからなくてごめんね~ 」ということです。

 歌詞の謎に、一石を投じる事が出来たとは思いませんが、しばしボブ・ウェルチの謎かけに付き合うのもヨシとしましょうか。みなさん、ありがとうございました。



Danny Kirwan – guitar, vocals
Bob Welch – guitar, vocals
Christine McVie – keyboards, vocals
John McVie – bass guitar
Mick Fleetwood – drums, percussion


<第112話 Paris 『Paris』 (パリス・デビュー) (1976)へ>

<第127話 Danny Kirwan 『Second Chapter』 (1975) へ>



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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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