第39話  Keith Tippett Group 『Dedicated To You But You Weren't Listening』 (1971) UK

今夜の一曲   Dedicated To You But You Weren't Listening
          <その3> キース・ティペット・グループ編

kt4.jpg


 今度はキース・ティペット・グループによる演奏です。彼らのセカンド『Dedicated To You But You Weren't Listening』からの曲。第37話と第38話で触れたように、元歌はソフト・マシーンの『Volume Two』に収められています。

 これまた不思議。アヴァン・ジャズの旗手として登場した彼らが、わざわざアルバムのタイトル・ソングとしてこの曲を選んだ意図は何でしょうか・・・

 しかも、アルバム・タイトル曲だというのに、このバージョンは、たったの36秒というランニング・タイム。

 さらに、レコーディング・メンバーは、マーク・チャリグ(Mark Charig / Cornet)とエルトン・ディーン(Elton Dean / Sax)の二人だけであって、リーダー(キース・ティペット)不在。

 加えて、その演奏は原曲の持つ空気とは無縁そうな、シニシズムともユーモラスとも取れる軽妙洒脱。キース・ティペットの思惑は一体・・・!?

kt3.jpg


 ファーストの『You Are Here, I Am There』(Jan.1970)と比べて、キング・クリムゾン(King Crimson)、ソフト・マシーン(Soft Machine)人脈の存在感あふれるセカンド。

 ティペットのホーナー(Hohner)のエレピは言うことなし。エルトン、ニック、マークの三管構成も鉄壁の布陣ですが、独特の匂いのするゲイリー・ボイル(Gary Boyle)のギターも実に不思議ちゃんです。

 ドラムス&パーカスにはロバート・ワイアット(Robert Wyatt)やフィル・ハワード(Phil Howard)などのお歴々が参戦。ベースはお馴染み、ネヴィル・ホワイトヘッド(Neville Whitehead)とロイ・バビントン(Roy Babbington)です。

 ちなみに、ネヴィルは、ロバート・ワイアットのThe End Of An Ear、アイソトープのDeep End、エルトン・ディーンのJust Usにも、その名がクレジットされています。

 それから、ネヴィルの業績の中で、決して忘れてはならないのが、New Violin Summitです。 Don 'Sugar Cane' Harris、Jean-Luc Ponty、Nipso Brantne、Michał Urbaniakの面々ですね。

 ロイは、Alexis Korner のBootleg Him!、 Ian Carrの Belladonna、 Nucleusの Labyrinth、Elton DeanのJust Us、Soft MachineのFourth、Fifth、Seven、Bundles, Softs。Keith TippettのBlueprint、Ovary Lodge、Carol Grimes のFools Meeting (With Delivery) などなど。

 意外なところでは、Magna Cartaとか Jackie McAuley、Elvis Costello、Anna Oxaなどはびっくりケースでした。

 整合性とか予定調和に縛られず、どうしようもないほど英国ジャズ・ロック臭ぷんぷん。とりわけ「Green & Orange Night Park」にはノック・アウトされましたよ。

kt1.jpg


 ティペットはキング・クリムゾンの『In The Wake Of Poseidon』(May.1970)『Lizard』(Dec.1970)に参加、フリップからクリムゾンへの参加を要請されます。しかし、ティペットは自らのバンドにこだわります。そして本作を制作。(Jan. 1971)

 ティペットはこの後、センティピード(Centipede)(Jun.1971)で創造的なエネルギーのビッグ・バンを迎えます。さらにクリムゾンの『Islands』(Dec.1971)へもチャリグと共に出向。

 それにしても、このアルバムの価値をいっそう高めているのは、ロジャー・ディーン(Roger Dean)のスリーブと、ヴァーティゴ(Vertigo)の渦巻きかもね(笑)

kt2.jpg



Keith Tippett / Piano, Electric Piano
Elton Dean / Alto Saxophone, Saxello
Neville Whitehead / Bass
Roy Babbington / Bass, Bass Guitar
Tony Uta / Congas, Cowbell
Mark Charig / Cornet
Bryan Spring, Phil Howard, Robert Wyatt / Drums
Gary Boyle / Guitar
Nick Evans / Trombone


<その1> ロバート・ワイアット & ヒュー・ホッパー編へ
<その2> ロバート・ワイアットのソロ編へ
<その4> マッチング・モール編へ




スポンサーサイト

テーマ : プログレ
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

初めまして

足跡から来ました。
私はロックは30年以上、色々と聴いてきましたが、プログレはずっと避けて来ていて、最近やっと聴かず嫌いを抜け出したところです。キース・ティペットの名前は、ジュリー・ドリスコールの旦那様でジャズピアニストと聴いてましたので、興味を持ってました。やはり、プログレ人脈なんですね。
是非聴いてみようと思います。

Re: 初めまして

yuccalinaさん、コメントありがとうございます。
実は私にも聴かず嫌いは、一杯あるんですよ(笑)
でも、いい音楽に出会った時の感動はひとしおですね。
音楽というのは、やはりTPOが大切です。
無理して聴いてもつまらないけれども、先入観を取り去って聴いてみると、思いの外しっくりくる事もあったりします。
などと、偉そうなこと書いてすみません。
キース・ティペットはジャズ畑のピアニストですが、前衛的な側面も持ち合わせているので、好みを分けたりします。
それでも、長年に渡って音楽に真摯に向き合う姿には感動させられます。
今年の5月末には来日コンサートが予定されていましたが、ウイルス性の病気ということで、残念ながら来日延期になってしまいました。
プロとして初めてだそうで、本人も無念でしょうね。
そうそう、私も、ジュリー・ドリスコールも大好きですよ!



ゲスト・ブック
Profile

ticca

Author:ticca
 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カテゴリ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR