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第45話  Opus Avantra 『Introspezione』 (1974) Italy

今夜の一曲  Il Pavone


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 ドネッラのおじさんは著名なテノール歌手。父もオペラ歌唱の先生。彼女は建築家への道を歩んでいました。大学の助手の口をオファーされながらも、最後の最後には音楽の道が諦められませんでした。そして、たどり着いたがこの世界。

 オパス・アヴァントラ(Opus Avantra)・・・作曲や指揮を一手に担うアルフレード・ティゾッコ(Alfredo Tisocco)のプロジェクトだと思われがちですが、実はそうじゃないんです。

 ジョルジオ・ビゾット(Giorgio Bisotto)と、ビゾットの友人でプロデュースを担当することになるレナート・マレンゴ(Renato Marengo)と、ドネッラ・デル・モナコ(Donella Del Monaco)。この三人が吹雪の夜にドライブしていて浮かんだコンセプト、ってのが真相。

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 ビゾットのクレジット(philosopher / ideologist)だけで、既に怪しさ炸裂ですね。しかし、ドネッラが言うには、ビゾットは厳密にはミュージシャンではないものの、文化人で教養が深く、現代音楽への造詣が深かった。

 ビゾット、マレンゴ、ドネッラの三人は、クラシックの素養とジャズ、現代音楽、情熱的でエモーショナルな歌唱など、様々なカテゴリーの音楽を融合させる野望を抱きました。そして、プロデューサ(Car Juke Box?)(or 編集者)のトニー・タジナート(Tony Tasinato)に話を持ちかけます。

 タジナートが紹介したのが、ティゾッコだったのです。彼らはすぐに意気投合、OPUS(work)+AVAN(t-garde) +TRA(dition).を結成します。命名はビゾットでした。ティゾッコがメンバーを集めます。トニー・エスポジート(Tony Esposito)だけは、レコ-ディング直前に参集。

 彼らの理想を具体化するには、厳密なルールを持つクラシックの世界では勝負できないとみて、様式に寛容なロックのフィールドで勝負することを決めます。リハーサルはティゾッコの家や、僧院の小さな劇場を借りることにしました。

 既存の音楽に新しい切り口を与えようとする意欲的な試みは、新鮮なものでした。けれども、彼らの音楽は難解すぎて、どのレーベルからも拒否されます。他のグループの音楽性とは違いすぎたのです。最終的に「勇敢にも」彼らを引き受けたのは、マレンゴが引き合わせたトリデント(TRIDENT)レーベルでした。

 彼らのファーストは、グループ名の Opus Avantra と、Donella Del Monaco の名前でリリースされました。今では慣例として、1曲目のタイトル『イントロスペツィオーネ(内省)』の名で呼ばれているようです。

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 近年、本作に絡んで、ステファーノ・アンドレオッツィ(Stefano Andreozzi)が興味深い指摘をしています。バックワード・マスキング(Backward Masking)についてです。

 オープニング曲の「イントロスペツィオーネ」“Introspezione”や「マーマレード」“La marmellata”の最後の「カリヨン」"carillon"の部分で、サブリミナル効果を狙うかのようにテープの逆回転が流れます。前者においては、古いドイツのミサの儀式の朗唱が逆回転になっています。こうした試みは、イタリアン・ロック(Rock Progressivo Italiano)では初めての試みだったようですね。

 この印象的なカバー・フォトについても触れておかねばなりません。ウンベルト・テレスコ(Umberto Telesco )による、悪夢を再現するかのようなカバー。サウンド・イメージをそのまま視覚化したかのような秀逸なスリーブ・デザイン。彼の代表作を以下にあげておきます。誰もが納得するマスターピースばかりですね。

Alan Sorrenti "Aria" (1972)

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Alan Sorrenti "Come Un Vecchio Incensiere All'alba Di Un Villaggio Deserto" (1973)

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Saint Just ‎ "Saint Just" (1973)

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Saint Just ‎ "La Casa Del Lago" (1974)

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 さて、彼らは決してレコーディング・バンドなどではなく、本拠地のヴェネト(Veneto)やローマ(Roma)で活発にステージ・アクトも行いました。

 セカンド・アルバムの『クロムウェル卿の奏する7つの大罪の為の組曲』(Lord Cromwell Plays Suite For Seven Vices)(1975)はドネッラ不在の作品。それでもティゾッコとドネッラのコラボは、その後も2008年の再編まで継続することになります。

 今夜の一曲、"Il Pavone"(イル・パヴォーネ)とは「孔雀」のことで、愛する男(ひと)の比喩として歌に登場します。

 『内省』・・・内容的にはピンと張り詰めた室内楽アンサンブルにドネッラの官能的なソプラノが乗るフォーマット。ただ、それが一筋縄ではいかない。美と狂乱のはざまで覚醒と昏迷を繰り返す様は、まさに比類なき世界。

 トリデント系の諸作が日本で大挙発売される以前に、縁あって入手し、衝撃を受けまくった私。以来、かれこれ四半世紀は聞いてきた勘定になります。儚い美しさと、狂気渦巻く特異な音空間はクセになりますね。


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 <追記> ビゾットはドネッラの夫でしたが、2011年7月、69歳で逝去されました。RIP



Donella Del Monaco / vocals
Alfredo Tisocco / keyboards, tastiere
Luciano Tavella / flute
Enrico Professione / violin
Pieregidio Spiller / violin
Riccardo Perraro / cello
Pierdino Tisato / drums
Tony Esposito / percussion, strumenti, effetti


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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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