第48話  Bobak, Jons, Malone 『Motherlight』(1969)UK

今夜の一曲  Mona Lose


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 ポスト・サイケの時代に、隠花植物のようにひっそりと怪しい花を咲かせたボバック・ジョンズ・マローンの唯一作。オレンジ・バイシクル(Orange Bicycle)出身のウィル・マローンの渦巻くようなオルガンに、ラウドなドラムス。マイク・ボバックとアンディ・ジョンズは、モーガン・スタジオ(Morgan Studios)のエンジニア出身です。

 モーガン・スタジオの創設者はモンティ・バブソン(Monty Babson)とバリー・モーガン(Barry Morgan)。 英国ロックの最重要作を生み続けてきたモーガン・スタジオ。

 一例をあげると、Pink Floydの『おせっかい』(Meddle)、Led Zeppelinの『Led Zeppelin II』やPaul McCartneyのファースト・ソロ『McCartney』、Yesの『海洋地形学の物語』(Tales from Topographic Oceans) など数え切れないほどの名作を産み出してきました。1973年、英国では初めてアンペックス(AMPEX)の24トラックMTRを導入した事でも知られています。

 ボバック・ジョンズ・マローンの『マザーライト』も、モーガン・スタジオで録音されています。ところが、配給元がモーガン・ブルータウン(Morgan Blue Town)というのがミソ。これはモーガン・レコーズ(Morgan Records)傘下のサブ・レーベルでした。

 そもそも、1968年にモーガン・スタジオの所有者のバブソンとモーガンの二人が作ったのがモーガン・レコーズでした。しかし、ハナから売れそうにない実験的なヤツはサブ・レーベルで行こうという訳でしょうか。いずれのレーベルも短命に終わりましたが・・・


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 そういうわけで、マイナーなプッシー(Pussy)とかレッド・ダート(Red Dirt)らが、お仲間だった。ボバック・ジョンズ・マローンは、スタジオ活動だけのワンショット・バンドだったのでしょう。ボバックによると、単に「楽しもうよ。」という遊び心の産物。

 内輪話としては、モーガン・スタジオが空いてる夜だったらタダで使わせてやるから、版権は全部バブソンがもらうぜ・・・って感じだったようです。まぁ、売れるはずもなかろうってことで・・・それでも「オランダではチャート・インしたって聞いたよ」とボバック。

 『Motherlight』のタイトルはジェームズ・ジョイス(James Joyce)の『ユリシーズ』(Ulysses)から。それにしても、あまりにアンチ・コマーシャル。500枚だけとか(これは再発盤?)、100枚程度とか、或いは友人用に50枚だけのプレスだったという説さえある。よくわかりません。当然オリジナルは600ポンドの高値をつけてますね。日本円にして10万円以上かぁ。全くため息が出ます・・・

 「バッド・トリップ・サイケデリア」という人もいれば、「プレ・プログレ期の傑作」とする人もいます。「音はクダらないけどジャケは秀逸」というイタい意見まで。でも、私はこれが好きなんです。ウィル・マローンのブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)への直截(ちょくさい)な敬意やProcol Harum、初期Pink Floydの影響を巧みに消化しています。


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 アンディ・ジョンズのエンジニアとしての職歴は、Jethro Tullの『スタンド・アップ』(Stand Up)、Led Zeppelinの初期作群、Rolling Stonesの70年度初頭作の数々、Joni Mitchellの『シャドウズ&ライト』(Shsadows & Light)など、まさに華々しい。

 プロデューサとしても、Humble Pie, Free, Van Halen, Televisionの大ヒット作『マーキー・ムーン』(Marquee Moon)の共同プロデュースにも当たっています。そうそう、アンディ・ジョンズは、グリン・ジョンズ(Glyn Johns)の弟でした。ってことは、アンディ・ジョンズのJonsのスペルはペンネームで、本当はJohnsでしょうか。

 YTさんからご指摘いただいたのですが、ジョンズはB'zの「Real Thing Shakes」のプロデュースも担当しているそうです。ちょっと引用させて下さいな。

 「ドラムもサトリアーニ(Joe Satriani)繋がりかグレッグ・ビソネット(Gregg Bissonette)でしたよ。」「地元のレコード屋で初めて聞いた時に、『この曲のプロデューサーかエンジニアは絶対外国人!』と、根拠のない確信を持ったものです。まさかあんな超大物とは思いませんでした。さすがB'zおっ金持ちー!」 YTさん、情報サンキュです!

 マイク・ボバックはその後、The Kinks, Faces, Donovan, Rod Stewart, Greenslade, Carly Simon, UFOらの大御所のレコーディング・エンジニアを務めます。

 ウィル・マローンもIron Maiden, Black Sabbath, Rick Wakeman, The Whoのプロデュースやアレンジ、オーケストレーションを担当します。

 さて、『Motherlight』に浸って腑抜けたところで、お次はウィル・マローンのソロでも引っ張り出してみましょうか。毒を食らわば皿まで。こいつは何故か発売後、回収されてますね。そんなミステリーも良いおかずになります。(笑)


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Wilson Malone / Keyboards, Drums, Recording Supervisor
Andy Jons / Bass, Engineer
Mike Bobak / Guitar
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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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