第51話  Quiet Sun 『Mainstream』(1975)UK

今夜の一曲  Sol Caliente


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 英国人の父、コロンビア人の母。英国生まれながら、キューバ・ハワイ・ベネズエラで育った環境が、彼の音楽的素養を培ったのでしょうか。これがもっと形になるのは、後のソロ作ですが、そんな彼のルーツの一つがこのクワイエット・サン。

 クワイエット・サンは、フィル・マンザネラが、ロキシー・ミュージック加入以前に結成していたグループです。これはフィル・マンザネラ、ビル・マコーミック、チャールズ・ヘイワードが結成したPooh And The Ostrich Featherの発展形でした。

 しかし、やがてクワイエット・サンの活動も水入り状態。フィルはブライアン・フェリー(Brian Ferry)の家でローディとしてミキシング・コンソールをいじったり、当時ロキシーのギタリストだったデヴィッド・オリスト(David O'List)のためのギター・チューニングに余念がありませんでした。


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 ビルはロバート・ワイアット(Robert Wyatt)からマッチング・モール(Matching Mole)への参加を打診されます。また、チャールズはマル・ディーン(Mal Dean)のThe Amazing Bandや、デヴィッド・アレン(David Allen)のGongを行ったり来たり。デイヴ・ジャレットは音楽の世界を離れて量子力学の講師に。クワイエット・サンは1972年に解散しました。

 グループ名はビル・マコーミックの兄弟のイアンが読んでいた『The Year Of The Quiet Sun』の太陽黒点やソーラー・フレアの記事から引用したそうです。

 フィルは、ロキシー在籍中『Diamond Head』の録音にあわせてクワイエット・サンを再結成しています。再結成してまでレコーディングするほど、フィルにとっては思い入れの深いバンドだったんでしょう。


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 『メインストリーム』全曲と『ダイヤモンド・ヘッド』のマテリアルの半分は、クワイエット・サン時代に書きためた曲です。そう考えると、当時はまさに創作意欲に充ち満ちていた時期。

 レコーディングはアイランド・スタジオを26日間、一日あたり12時間借り切って、両アルバムをを同時平行で録音したといいます。ソロが昼12時から、クワイエット・サンは18時からの録音という強行軍だったそうです。

 しかも、時間の制限から、クワイエット・サンは二度の短いリハーサルだけしか許されませんでした。しかもベーシック・トラックのほとんどがファースト・テイクを余儀なくされました。


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 アルバムは New Musical Express誌のAlbum Of The Monthに選定され、アイランド・レコード(Island Record)では、バッド・カンパニー(Bad Company)やキャット・スティーヴンス(Cat Stevens)に迫る売り上げを収めました。

 逆風をものともせずに得た成功。才気走った人は、まさに「弘法筆を選ばず」。与えられた環境を厭うことなく、才能を遺憾なく発揮できるのでしょうね。あやかりたいものです。


Charles Hayward / drums, percussion, keyboards & voices
Dave Jarrett / Fender rhodes, steinway grand piano, farfisa & hammond organs, VCS3
Phil Manzanera / electric 6 & 12 string guitars, treated guitars, fender rhodes piano
Bill MacCormick / electric bass, treated bass, back-up voices

+ Plus
Brian Eno / synthesizer, treatments & Oblique Strategies
Ian MacCormick / back-up voices


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No title

こんにちは。

フィル・マンザネラはDiamond HeadとImpossible Guitarを愛聴しておりますが、Quiet Sunも今度聴いてみますね。

昔はアーティストが自分達のやりたいことをやらせてもらえなかったり、機材も充実してなかったいり、レコード会社との主従関係、取り巻く環境は今よりずっと悪かった筈ですが、そんな中でも素晴らしい作品は沢山ありますね。どこの世界でも優れた人は環境を言い訳にしないとも言いますし。与えれた限りある時間の中で、パワーが凝縮されているんでしょうね。

自分らしい戦い?

こんにちは。

Diamond Head や Impossible Guitarも聴いてみえたんですね!

yuccalinaさんがおっしゃるように、才能がある人は逆境をも味方につけてしまうんですよね。逆風が吹いているからと言って、それを言い訳にしないたくましさ。逆に、そんなプレッシャーやストレスを味方につけてしまうメンタリティ。

適度なプレッシャーの中で自分らしい戦いのできる人は素晴らしいです。音楽の世界だけじゃなくて、アスリートや役者さんにもそんな人がたくさんいます。自分は何かとすぐに泣き言を言いがちなので、早くそんな自分を卒業したいものです。




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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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