第56話  Embryo 『Opal』 (1970) Germany

今夜の一曲  Opal


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 何と言ってもゴム風船ツキの変態ジャケですね。オークション見ると、「Perfect Baloon付き」のブツがある。半世紀ほど前の風船が「パーフェクト」であろうはずなかろうと思うのだが、マニア諸氏は、こういうセリフにメロメロである。

 伝え聞くに、1980年代はじめにして、既にこの愛すべき風船君は劣化してしなびたり、くっ付いたり割れてしまっていた。私は、見た事も触れたこともありません。まさに伝説です。

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 風船のないやつは、1990年以降、コンスタントに再発のレールに乗ります。友人はイタリアのMateriali Sonoli盤(1990)で手に入れたと言いますが、私はドイツのThink Progressive盤(1997)でようやく手に入れた新参者です。

 興味深いことに、実のところ風船はエンブリオの『オパール』だけじゃなかったらしい。バルーンの特典付きはオール(Ohr)創設期の以下の5作品と思われます。

OMM 56 000 - Floh De Cologne - Fließbandbabys Beat-Show (1970)
OMM 56 001 - Limbus 4 - Mandalas (1970)
OMM 56 002 - Bernd Witthüser - Lieder Von Vampiren, Nonnen Und Toten (1970)
OMM 56 003 - Embryo - Opal (1970)
OMM 56 004 - Tangerine Dream - Electronic Meditation (1970)

 ってことは、仕掛け人はレーベル側なわけね。「さあ、レーベル創設祭で盛り上げようぜっ!」ていうノリか。で、ゲートフォールド・カバーにスロットつけてバルーン付きにしたようだ。実にお馬鹿で楽しい話じゃござんせんか。

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 風船君のカラー・バリエーションはピンクだけじゃなかったとのこと。風船のデザインやテキストにもバリがあったのか、バルーンに「Macht Das Auf」(The Power Is On?)と書いてあったという話も漏れ聞こえてくる。

 いずれにせよ、Ohrのジャーマン・カルト・バンドというだけで卒倒する人もいるでしょう。プロデュースも、あのロルフ・ウルリッヒ・カイザー(Rolf-Ulrich Kaiser)だし。

 この『オパール』、レコードに針落としてみると(死語)、いかにもドロドロした混沌とした香りが危険すぎる。アシッド・ジャズ・ロックって言うのか、サイケデリック・プログ・ジャズって言うのか、どう表現したってあらゆる形容詞を拒否する勢いだ。

 デビュー盤『Opal』(1970)のタイトル曲が今夜の一曲。こいつは二日間で怒濤のようなレコーディングだったと言う。いい意味でも悪い意味でも、時代の空気を閉じ込めたフリーキーな味付け。ここには、後年のようなアフロ・エスニック色はない。

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 リーダーのクリスチャン・ブルヒャルトはマル・ウォルドロン(Mal Waldron)のカルテット出身。アモン・デュール(Amon Düül)の創設メンバーでもあり、フリークス・コミューン出身だった。

 音から漂う匂いはAmon Düül IIの『Phallus Dei』(1969)と限りなく双生児。それもそのはず、クリスチャンは同年Amon Düül IIと袂を分かっている。ここではLudwig Drumsを叩いている。

 加えて七変化する泥沼Gretch Guitarのジョン・ケリー(後にTen Years Afterへ)。変てこなブカブカSaxと Fluteにエドガー・ホフマン、Fender Bassにラルフ・フィッシャー。以上がバンド・メンバー。

 ゲスト陣も一癖も二癖ある連中ばかり。Violin(Motocello)が、後にBetweenに参加するロベルト・ディトレー、BassにAmon Düül IIのローター・マイト(ボーナス・トラックのみ参加)、BongosにPopol Vuhのホルガー・トルッチ、Vocalにベッツィ・アレー。思わずニヤリでしょうか。

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 それにしても、サイケ・フリークスたちのコミューンは、こうやって互いに日常的に出入りしつつ、底なし沼のジャムに陶酔していたのでしょうか。
 
 この奇天烈サウンドを快感に思うか、それとも居心地悪く感じるのかが、ノーマルとアブノーマルを分ける踏み絵でしょうか。突き抜ける爽快感を感じる御仁は、立派なアシッド・フリークだと太鼓判を押して差し上げます。

 今宵はやはり『Opal』(1970)『Phallus Dei』(1969)『Psychedelic Underground』(1969)、地獄の三連発で眠りにつきましょう。心地よい悪夢に包まれて快眠間違いなし。毒を食らわば皿までですよ。

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Christian Burchard / drums, vocals
Ralph Fischer / bass, vocals
Edgar Hofmann / saxophone, flute, percussion
John Kelly / guitar, vocals

+ plus
Bettsy Alleh / vocals
Roberto Detrée / motocello
Lothar Meid / bass
Holger Trülsch / bongos
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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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