スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第60話  The Kinks 『Kinda Kinks』  (1965)  U.K.

今夜の一曲  I GoTo Sleep


kindakinks2.jpg


 ザ・キンクスの代表曲が何かは、議論百出かと思いますが、この曲はわたし的には心に響く曲。レイ・デイヴィス(Ray Davies)がピアノで弾き語るデモ曲。キンクスとしてレコーディングされることはありませんでした。彼らのセカンド『カインダ・キンクス』のボーナス・トラックとしての収録です。

 デモのクオリティながら、とろけるようなラヴ・ソングです。この曲は当時の妻、Rasaの出産を待ちわびて、「生まれてくる赤ちゃんのための子守歌」として書き上げたというイメージでしょうか。

 レイはこの曲を、大好きなペギー・リー(Peggy Lee)に贈りました。キンクスが全米ツアーに出る直前のことです。


pegeelee.jpg


 このデモを元に、ペギーが歌った曲が『Then Was Then...Now Is Now』(1965)に収められています。ペギーも、この曲はかなり気に入っていたようです。

 同年、UKポップ・グループのアップルジャックス(The Applejacks)がカバー。ベーシストがMegan Daviesと、デイヴィス姓だったために、「レイの姉か!?」という噂が流れました(苦笑)。事実、デイヴィス一家は女系で、レイの兄弟のうち、年長の4人は全員女性だったという話です。


applejacks.jpg


 同じく、1965年、シェール(Cher)の姉御がこの曲をカバー。


cherigotosleep.jpg


 しかし、もっと驚いたのが、プリテンダーズ(The Pretenders)のクリッシー・ハインド(Chrissie Hynde)によるカバー。『Pretenders II』(1981)に収録され、プロモ・ビデオも震っちゃう出来でした。

 英国の若いロック・ファンたちは、プリテンダーズのこのカバーによって、レイ・デイヴィスを再評価した人が多かったのではないでしょうか。英国では、シングル部門第七位まで上昇しました。

 にわかに信じられなかったのは、クリッシーがレコーディング時には、ペギー・リーのバージョンも、シェールのバージョンも、一切聞いた事がなかったという話です。ほんまかいな。

 クリッシーによると、キンクスの最初の三枚のアルバムの版権を持つ会社から、1965年のレイのデモを収めたカセット・テープを受け取っただけだと言います。普通に考えるとちょっと信じがたい話ですが、ソースはインディペンダント誌(Independent)なので、あながち一笑に付すことはできません。




 クリッシーとレイの間には、ナタリー(Natalie)という名の娘が生まれています。2人は正式に結婚しようとして、結婚届を提出しに行っています。しかし、2人が口論しているのを見て、役所の係官が婚姻届の受け取りを拒否したという話が伝わっています。やれやれ。

 クリッシーはベジタリアンで、熱心な動物愛護運動家。彼女の「マック(McDonald's)に爆弾を仕掛けろ!」という過激な発言はよく知られています。娘のナタリーも活動家で、警察当局に逮捕されたほどのアクティビスト。

 レイとクリッシーはやがて破局を迎えます。1984年、クリッシーはシンプル・マインズ(Sinple Minds)のリード・シンガー、ジム・カー(Jim Kerr)と結婚。

 2007年のこの写真は興味深いですね。真ん中がChrissie Hynde(55)。左がレイ・デイヴィスとの間に生まれたNatalie Rae Hynde(24)。右がジム・カーとの間に生まれたYasmin Kerr(21)です。 残念ながら、クリッシーはジムとの関係を1990年に精算してしまいますが・・・


ddd.jpg

 そうそう、クリッシーはかつてジャーナリストとしても活躍しています。ブライアン・イーノ(Brian Eno)やスージー・クアトロ(Suzi Quatro)へのインタビュー記事があると聞きました。

 ところで、レイとクリッシーの間に生まれたナタリーが逮捕されたという話に戻りましょう。罪状は、天然ガスの掘削に関連する「問題行動」(当局の表現)でした。

 ナタリーが反対したのは、石油会社によるシェール・ガス(Shale Gas)の掘削に関して。ナタリーはガスを採取するための「水圧破砕法」(フラッキング/Fracking)に対しての抗議活動を行っていました。

  「水圧破砕法」というのは、天然ガス採掘のために、地層中に大量の水と化学物質を高圧で注入する手法です。このやり方による地下水の汚染が以前より懸念されていました。会社側は、「地下水の汚染はない」と言明しているものの、汚染された蛇口からの水がマッチの火で燃え上がるという事案が発生しています。

 地下水の汚染以外にも、大量の水使用による開発エリアの水不足や、人工地震などが懸念されています。この水圧破砕法という手法に対する反対を訴えるために、2012年8月29日、アーティストやジャーナリストたちが立ち上がりました。(Artists Against Fracking)




 一例をあげると、ショーン・レノン、ジュリアン・レノン、オノ・ヨーコ、ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、ロバータ・フラック、レディ・ガガ、デヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュ、ビースティ・ボーイズ、ジャクソン・ブラウン、グレッグ・ローリー、デヴィッド・バーン、ジョー・ウォルシュ、ロバート・デ・ニーロ、トッド・ラングレンなどなど。

 それにしても、大きな話題になったのが、水圧破砕法を援護して反対派を封じ込めてきたエクソン・モービル(ExxonMobil)のCEOのレックス・ティラーソン(Rex Tillerson)が、自分が経営するテキサスの農場近くで水圧破砕が行われると聞いて、その計画に反対する訴訟に加わったという報道でした。

 でも、これは人ごとではありません。本年春、秋田県の男鹿で「水圧破砕法」によるシェール・ガス採掘の試みが始まりました。エネルギー確保と環境汚染、どちらを取るかは思いっきりデリケートな問題ですね。


<第61話 Marion Maerz - I Go To Sleep へ>


antifracking.jpg


Ray Davies / lead vocals, backing vocals, rhythm guitar, piano
Dave Davies / lead guitar, backing vocals, lead vocal
Pete Quaife / bass guitar, backing vocals
Mick Avory / drums
スポンサーサイト

テーマ : 洋楽ロック
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

ゲスト・ブック
Profile

ticca

Author:ticca
 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
カテゴリ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。