第61話  Marion Maerz 『I Go To Sleep』 (1967) Germany

今夜の一曲  I GoTo Sleep


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 レイ・デイヴィス(Ray Davies)のこの曲のカバーは数多くあれど、これは変わり種。ドイツのガールズ・ポップ・シンガーのマリオン・マヤッツ(Marion Maerz)によるカバー。

 それにしても、このプロデュースがラリー・ペイジ(Larry Page)だとは気づかなかった。なるほど、キンクス(The Kinks)・トロッグス(The Troggs)つながりで納得。しかも、ドイツのみならず、英国でもシングル・リリースされてたとはね。ドイツ人女性としては、初めてビート・クラブ(Radio Bremen's Beatclub)で歌ったんだって。




 マリオンは1964年ハノーヴァー(Hannover)で、ペプシ・コーラ(Pepsi Cola)主催のタレント・コンテストで発掘されました。4曲歌ってコンテストの結果は第二位だったものの、ポリドールからレコーディング契約をオファーされます。1965年、彼女は本名のマリオン・リターシャイト(Marion Litterscheid) 名義で、二枚のシングルをリリースしますが、不発に終わります。

 契約を失ったマリオンですが、作曲家クリスチャン・ブルーン(Christian Bruhn)と作詞家ギュンター・ローズ(Günter Loose)との出会いが縁で、ハンサ・レーベル(Hansa)との契約に成功。Marionの名前で「Er ist wieder da」をリリース。これが全独6位のヒットを記録し、トップ10に10週ランクされました。オーストリアではチャート第2位の大ヒット。


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 ポール・マッカートニーの「マリオンの曲が好きだ」と言うコメントが知られています。特に「Er ist wieder da」のB面の「Blau, blau, blau」がポールのお気に入りだったようです。

 しかし、マリオンの絶頂は余りに短く、その後は大きなヒットに恵まれません。そんな中、1967年にレイ・デイヴィスの書いた「I Go To Sleep」を英独でリリース。チャートを賑わすことはありませんでしたが、このシングルは今では立派なコレクターズ・アイテム。


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 その後も意欲的に活動を続けますが、マリオンは与えられた歌を歌わされることに嫌気がさしていたそうです。1970年代に入り、マリオンはMarion Maerzの名前で再起を図ります。

 そしてリリースされたのが、バート・バカラック(Burt Bacharach)&ハル・デイヴィッド(Hal David)のカバー集『Singt Burt Bacharach』(バート・バカラック・ソングブック)(1971)。マリオン・フリークにとってはマスト・アイテムでしょうが、さほど話題になりませんでした。


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 プロデューサの ジークフリート・ロッホ(Siegfried E. Loch)の選曲した全12曲、全てドイツ語の訳詞をつけて興味深い仕上がりです。著名な訳詞家のミヒャエル・クンツ(Michael Kunze)を招き、アレンジャーとして、クラウス・ドルディンガー(Klaus Doldinger)のコンボでジャズ・オルガンを弾いていたイングフリート・ホフマン(Ingfried Hoffmann)を起用します。

 バカラックの秀逸なメロに乗るマリオンの魅惑的な歌唱にとろけそうになります。が、やはりバカラックやディオンヌ・ワーウィック(Dionne Warwick)の個性に負けてる。当たり前だけど・・・


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 その後、マリオンは子育て(娘マーシャMashaは、後に歌手デビュー)のために音楽の世界から身を引きます。しかし、後のインタビューを読むと、その決断を決して後悔していないようです。

 マリオンは70年代末に復帰して「Es War Nur Der Sommerwind」(1978)をヒットさせました。歌手、そして女優のマリオンは、インタビューの時点(March 2003)では、ハンブルクでバセット・ハウンドのポール(Paul)と悠々自適の生活のようです。

 ドイツのガールズ・ポップはフランスやイタリアなどに比べて、あまり紹介されてこなかったので、色々とヤブをつついてみると、予想もしなかったような宝石が飛び出します。時には、ヤブをつついてヘビが出ることもありますが(笑)。


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 とりわけ面白いのは、1989年にベルリンの壁が打ち砕かれるまでの東ドイツ(GDR)の存在。当時のドイツ民主共和国(東ドイツ)がどのように西側を意識していたかがほの見えて、興味は尽きません。私が好きなのは、イナ・マーテル(Ina Martell)とか ブリギット・アーレンス(Brigitte Ahrens)。

 ブリギットがアミーガ(Amiga)に残した初期の三枚は、とりわけレアで東独ギャル・ポップ・シーンのコレクターズ・アイテムです。

 まぁ、このあたりを探っていくと、泥沼状態ですね(笑)

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<第60話 The Kinks - I Go To Sleep へ>
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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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