第72話  Mellow Candle 『Swaddling Songs』 (抱擁の歌) (1972) U.K.

今夜の一曲 Sheep Season


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①<ゲイリー・ムーアとメロウ・キャンドルを結ぶ糸>

 驚いた。ゲイリー・ムーア・バンド(The Gary Moore Band)のメンバーに、フランク・ボイラン(Frank Boylan)(b)の名前があるではないかっ!知らなかった~。ボイランはメロウ・キャンドルのベーシストだった。メロウ・キャンドル脱退後、彼は短期間ながら、ゲイリー・ムーア・バンドに参加していたのだ。(1972.7~12??)

 かたや、ボイランに代わってメロウ・キャンドルに参加したのは、何とあの、元スパイロジャイラ(Spyrigyra)のスティーヴ・ボリル(Steve Borrill)だった。全く度肝を抜かれる。

 しかし、バンドを立て直そうとするも、ひたすら売れなかったメロウ・キャンドルは解散を余儀なくされる。

 このバンドの顔は、フェアリー・ボイスの二人、クロダー・シモンズ(Clodagh Simonds)とアリソン・ウィリアムズ(Alison Williams)の二枚看板だ。聞く者を天上の世界に誘う二人の天使の歌声は、まさに英国プログ・フォークの至宝。


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 しかも、彼女たちは歌声を提供するだけでなく、作曲にも大きく貢献しているし、シモンズ嬢のリリカルなピアノ・プレイに頭くらくらである。

 勿論、アルバムの輝きは決して彼女たちだけの功績ではない。デイヴ・ウィリアムズ(David Williams )(g)、フランク・ボイラン(Frank Boylan)(b)、ウィリアム・マレイ(William Murray)(ds)らの巧妙なバッキング。これが、二人の愛くるしいヴォーカルにうまく溶け合い、独自の幻想的な世界を紡ぎ出していく。これぞまさに、バンドの不思議なケミストリーだ。

 私がこの『抱擁の歌』(Swaddling Songs)(1972)のサウンドに触れたのは、EdisonのERC再発(CD)だったので、時代的には随分遅くて1989年。それまでは、まさに噂先行の孤高のアルバムだった。

 一度、原盤を手にしてみたかったが、さすがプライスも怪物なみ。「お安くしときまっせ」と言われても、2000ポンド(37万円)ですからね。Record Collector見ると、M-/M-のミント・コピー(中古盤として良好状態)で8900ユーロ(130万円)だった!オリジナルに取り憑かれたら、当分はホームレス街道一直線だ。


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 そこであっさり諦めて、怪しい再発モノに手を出した。こいつがゲート・フォールドでも何でもない代物。シングルジャケの裏面には哀れ、バーコードまでついている。ちなみにメイド・イン・EECのSDL7番ってやつ。でも、おかしいな。SDL7ってのはデッカ盤オリジナルのロット番号じゃなかった?

 その、いかがわしいレコードを手に取ってみると、ジャケ裏の貼り合わせ面の糊がぶわ~ってはみ出てる。カウンターフィート(模造品)特有の怪しさ大爆発だが、それでも一応DERAM(レッド&ホワイトのバージョン)と書いてあってカッコいい。余談ながらDeramってのはNova同様、Decca傘下の濃い実験的レーベルだったね。

 LPサイズだといいこともある。表ジャケの右側中央にあるイラストレーターのW. David Ansteyのサインもデザインの一部だと思うし(ジャケ裏はW.D.Aの記載)、内ジャケのメンバー写真や歌詞も、あのサイズでこそ生きてくる。世間では、これを自己満足と言う。ひひひ。

 友人は、数年前に出たリイッシューの二枚の7"シングル欲しさにBox Set買ってる。そりゃ、なかなかモノホンにはお目にかかれませんしね。


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 クロダー・シモンズはメロウ・キャンドルに参加した時、まだまだケツの青い11才だった。あ、いや、さすがに英国人には蒙古斑はないと思われますがね。

 1stシングルの「Feelin' High/Tea With The Sun」(1968)の頃で15歳。ってことは『Swaddling Songs』で18~19歳かぁ!エディ・ジョブソンもびっくりですね。(意味不明)

 クロダー・シモンズはメロウ・キャンドル解散後、ヴァージン・レコード(Virgin Records)の社長であるリチャード・ブランソン(Richard Branson)の秘書をしていたって噂もある。ホントでしょうか?

 私が聞き及んでいるのは、クロダー・シモンズは、南アフリカに移住したアリソン&デイヴィッド組とは異なって、英国に根ざした活動にこだわったこと。でも、彼女はマイク・オールドフィールド(Mike Oldfield)と仲良くしてたから、ひょっとしたら、ヴァージン秘書説もあながち・・・

 次回はこのあたりの曖昧なところを白黒つけましょう。


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Frank Boylan / bass
William Murray / drums
Clodagh Simonds / vocals, keyboards
Alison Williams / lead vocals
David Williams / guitar, vocals





第73話 ②<アリソンの四つの姓の謎を解く> へ
第75話 ③<メロウ・キャンドル~光と影> へ
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 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

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 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

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