第77話  Dionne Warwick 「Do You Know The Way to San José / Let Me Be Lonesome」 (1968) U.S.

今夜の一曲 Do You Know The Way to San José


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 昨年(2013)年3月、ディオンヌ・ワーウィックが自己破産したというニュースが流れ、世界中のディオンヌ・ファンが深いため息をついた。

 グラミーの受賞回数5回、ビルボードHot 100 Pop Singlesに送り込んだヒット40曲など、彼女の偉業を語るデータには枚挙にいとまがない。これまでに全世界で1億枚以上のアルバム・セールスを挙げてきた事でもわかるように、彼女は60s~80sに絶大な人気を誇る女性シンガーだった。

 ニューヨークのレコーディング・スタジオでドリフターズ(The Drifters)のバック・コーラス(「Mexican Divorce」のレコーディング)を務めていたとき、バート・バカラック(Burt Bacharach)の目に留まったのが、デビューのきっかけ。その後は歴史が語る通りだ。

 1963年のデビュー以来、バート・バカラック=ハル・デイヴィッド(Burt Bacharach = Hal David)という優れたソング・ライティング・チームに支えられ、続けざまにヒットを連発する。エスニック的にはグラミーを受賞した最初のアフリカン・アメリカンの女性シンガーという事になるだろう。


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 さて、彼女の破産申請だが、ニュージャージーの破産裁判所に提出した申告書によると、彼女の総資産はわずか$25,500だったというから驚きだ。その内容はと言うと、たとえば毛皮のコート二枚だとかダイヤのイアリングとかがリストに挙がっている。不動産資産も含め、彼女は現在、どんな生活を強いられているのか。

 もともと、今回の自己破産は1991年に遡る財務管理の不行き届きが原因らしく、負債総額は$10,700,000!これらの額を国税庁(IRS)やカリフォルニア州(FTB)に対する税負債(事業税?)という形で滞納していた。

 この額に含まれるかどうかわからないが、弁護士やビジネス・マネージャに対する負債も計上されている。どうやら滞納していた税金自体は全て返済されたようだが、滞納に伴う利息や罰金、手数料などを考慮すると負担額は驚くほど膨大だ。

 ディオンヌ側は返済計画を提示したものの、行政に受け入れられるレベルではなかったようで、けっきょく納税の督促に追いつかずに自己破産に踏み切った。まったく悩ましい話である。

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 彼女の業績として、忘れてはならないことがある。それは、AIDS基金へのチャリティー活動に象徴される社会貢献だ。スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)やエルトン・ジョン(Elton John)、グラディス・ナイト(Gladys Knight)らとのコラボ盤が大ヒット。

 その300万ドル超の収益は、全額AIDS研究財団に寄贈された。この曲こそが、バカラック&キャロル・ベイヤー・セイガー(Carole Bayer Sager)組が制作した「愛のハーモニー」(That's What Friends Are For)(1985)だった。

 さて、「Do You Know The Way To San José」に話を戻そう。この曲は、最初に出来上がったのがバカラックのメロディで、それにデイヴィッドの詩が伴って完成した。サンノゼというのは、デイヴィッドが海軍時代に駐留した街だった。ディオンヌにとって最初のグラミー曲。だが、本音を言えば彼女はこの曲は気に入らなかったようだ。


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 私がこのを好きな理由は、思いっきり個人的なものだ。中学生時代にオヤジに買ってもらったラジカセ付属のデモンストレーション・カセット。そこにこの曲のインストが収録されていた。酸いも甘いも想い出がいっぱい詰まった曲、というわけだ。

 もう一つの理由は、曲中の主人公の描かれ方にある。大志を抱きつつ、夢破れて故郷に戻る悲劇の主人公。しかし、そこにあるのは落胆や絶望ではなく、不思議に諦念と安息と希望に満ちている。その心象を映してか、曲想も明るくキラキラしている。まるで天上から光の粒子が降り注ぐようなサウンドと唱法。どこを切り取ってもマジカルでファンタスティックだ。

 自己破産後の2013年7月、来日してブルーノート東京でゴージャスな2daysコンサートを開いたディオンヌ。いつまでも、きらきら輝いていて欲しいものですね。


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 さて、次回は再びイタリアへ。政治犯罪者の歌です。
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 音楽ネタを中心とした雑記帳です。

 60年代後半から70年代にかけてのワールドワイドなロック、ポップス、プログレ、アシッド、サイケ、フォーク、ジャズロック、ジャズなどの話題を主に、ひっそりメモってます。

 それぞれの記事はその時々のフィーリングで書いていますが、基本形はある曲をきっかけに感じた雑感が題材になっています。

 私は単なる音楽愛好家ですので、記事に関しては、思い込みや勘違いがたっぷりあることかと思います。その点はご容赦願います。もし、お気づきの点があれば、ご指摘下さい。

 個人的に思い入れのあるものを主に綴っていますので、マイナーかつ気まぐれなセレクション、お許し下さい。

 それでは、今宵の音楽夜話におつきあい下さい。

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